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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード12:祈りの先で
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祈りの先で - 1

「……お母様……」


イリスは、ノクスの言葉をひとつひとつ噛み砕くように、静かに聞いていた。


「母上が、あいつの結界を破れたのは……僕の力があったからだと思う」


ノクスの能力は、空間を越える力。

結界や障壁といった概念そのものを無視する、異質で強力な力だった。


「……それで、お母様は?」


イリスが問いかけた、その時。


「ここからは、私が話すわ」


静かな声とともに、7人の前に姿を現したのはエリシアだった。


「エリシアさま……!」


セラが目に涙を浮かべ、駆け寄って抱きつく。


「セラ……無事で良かった……フィオも」


名を呼ばれ、フィオは申し訳なさそうに視線を伏せた。


「……エリシア様は、イリス様のお母様のことをご存知だったのですね」


リオの問いに、エリシアは小さく頷く。


「城から逃げたエリオネは、国から手配されていたわ。そんなある日……彼女によく似た女性が、礼拝堂に現れたの。まだ幼いノクスを、抱いたままね」





夜の礼拝堂。

普段は誰も訪れない時間帯に、人影があった。

当時、礼拝堂に仕えるただのシスターだったエリシアは、その夜、見回りを任されていた。


「……お祈りですか?」


静かに声をかけると、床に座り込んでいた女性が顔を上げた。

その頬を涙が伝っていた。

粗末な布を身に纏い、ひどく疲弊したその姿は、王妃とは思えなかった。

実際、エリシアは彼女が手配中の人物だとは、気づかなかった。

エリシアと目が合った瞬間エリオネは、ほっとしたように微笑み、そのまま糸が切れたように倒れ込んだ。


「……っ! だ、大丈夫ですか!?」


慌てて駆け寄ったエリシアの腕の中には、強く抱きしめられた赤子の姿があった。

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