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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード11:記憶
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記憶 - 3

王宮の回廊。

レオナルトは夜更けまで書類を整理していた。

ふと視線を上げるとエリオネの部屋辺りから、月明かりに揺れる影が目に入る。


「……なんだ?」


違和感に導かれるように、レオナルトは部屋へ向かった。


部屋の扉を開くと、室内は静まり返っていた。

双子はベビーベッドの中で、寝息を立てていた。

小さな双子の寝顔……本当に愛おしい。

視線を双子から離し、ベランダへ目を向けると、そこにはエリオネが立っていた。

彼女の手元から、淡い光がこぼれている。

次の瞬間……空間が、裂けた。

エリオネの目の前に現れたのは、白く輝く巨大な扉。

両開きの扉の中央には、2つのドアノブと、2つの鍵穴。

鍵穴から溢れた光は、細い線となり、双子へと伸びていた。

光は優しく、確かに、双子を包み込んでいた。


「……これは……」


レオナルトは、息を呑んだ。

その声に、エリオネがはっと振り返る。


「……っ!? レオナルト様……!」


彼女の動揺と同時に、扉は空に溶けるように消え去った。

まるで、最初から存在しなかったかのようだった。


「今のは……なんだ?」


低く、抑えた声。

エリオネは開きかけた口を閉じた。


「……」

「聞こえなかったのか。答えろ」


強まった声に、エリオネは一瞬だけ目を伏せ、静かに首を振った。


「申し訳ございません……言えません」

「……そうか」


レオナルトの視線が、冷たくなる。

それ以上何も言わず、部屋を後にした。


エリオネ。

彼女は自分にも明かせない力を持っている。

そして、双子。

生まれたばかりの小さな手には、確かに“何か”が宿っていた。


「……調べる必要があるな」


その呟きは、すでに計画の始まりだった。

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