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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード11:記憶
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記憶 - 4

玉座の間。

レオナルトは、冷たい指先で机を叩いていた。


目の前に広げられているのは、カシウスに命じて集めさせた報告書。

王妃・エリオネの過去について記されたものだった。


彼女は、昔から自分の素性を語りたがらなかった。

スラム街育ちの人間も珍しくない国だ。

これまで敢えて詮索はしなかった。

……だが。

能力者であるなら、話は別だ。

能力の内容次第では、国のために協力してもらう必要がある。

希少価値の高い能力者は特に。


レオナルトは、報告書の一文に視線を留める。

そこに記されていたのは、特定の家系にのみ現れる力。

しかも、その生きている血筋の中で、ただ1人にしか宿らないという能力。


“世界と世界を結ぶ力”


「……馬鹿げている」


そう呟きながらも、レオナルトの指は止まらなかった。

伝承。

神話。

現実離れした言葉ばかり並んでいる。

これまでなら、読み流して終わっていたはずだったが、あの夜の光景が、脳裏に蘇る。

裂けた空。

現れた白い扉。

そして、鍵穴から双子へと伸びていた光。


「……なるほどな」


レオナルトの口元が、わずかに歪む。

エリオネ1人では、扉を“現す”のが限界。

だが、力は確かに双子へ流れていた。

机の上に広げられた文献の1つを、指でなぞる。

そこには、“能力者”と“双子”の相関関係が記されていた。

成長とともに、力は分かれ、そして補い合う。

2つで1つ……片方では不完全。


「……イリスとノクス。お前たちか」


2人が揃ってこそ、より強く安定した“扉”が開かれる。

レオナルトは考えた。

表向きは、国の安定のため、王族として教育し、守り育てる。

その裏で……力を引き出し、利用する。

エリオネ。

イリス。

ノクス。

3人は鍵だ。


この夜、異世界への扉を開くための冷徹な策略は、確かに動き始めていた。

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