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記憶 - 2
王宮の庭に春の陽光が差し込む頃、エリオネは静かに体を休めていた。
その小さな身体に2つの命が宿っている。
お腹の子が双子だということを知った時、王レオナルトは一瞬、迷いが生まれた。
「本当に……2人なのか?」
驚きと同時に、胸の奥が熱くなる感覚。
だが、エリオネは微笑みを浮かべ、王の手を取った。
「大丈夫。私たち、2人で守るのよ」
その声は静かで力強く、まるで小さな王宮そのものを支えているかのようだった。
エリオネの目には迷いはなかった。
2つの命を守り抜こうと決意していたのだ。
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そして出産の日。
王宮内でも、ほとんど人に知られず、静かに命が生まれた。
泣き声は、ほとんど風の音にかき消されるほど小さかったが、2つの小さな命は確かに存在していた。
レオナルトは、2人の赤子を抱きながら呟いた。
「これが……未来か」
そして、彼の胸には、父として、王として、そして何より人として、守るべき覚悟が生まれていた。
エリオネは、そっと王の手を握った。
「この子たちのために、私たち、力を合わせましょう」
小さな手に握られたのは、愛と覚悟。
そして、未来に待つ困難への、静かな誓いだった。




