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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード11:記憶
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記憶 - 1

玉座の間。

冷たい光が差し込む窓の向こうで、レオナルトは静かに目を閉じていた。


王宮は、イリスとリオの捜索が開始されていた。

この騒がしさは、あの頃のことを思い出す。

エリオネがここを逃げた……あの日のことを。



━━━━



若き日のレオナルトは、王としての重責に疲れていた。

国の未来を背負うことは、まだ自分には重すぎる鎧だった。

そんな時、息抜きで訪れた王宮の図書室。

ここは一般人でも許可が降りれば出入り自由な場所。

そこで彼女……エリオネを見かけた。

森林のような深い緑色の髪を後ろで束ねた女性が、古びた書物を手に取っていた。

柔らかく光るその瞳に、なぜかレオナルトは釘付けになる。

金色の光が差し込む窓辺で、指先が頁をなぞる仕草は、どこか神聖にさえ見えた。


「――お前、熱心だな」


つい声をかけた自分に、彼女は顔を上げ、柔らかく微笑んだ。


「読書は、世界を知ること。知れば、守るべきものも見えてくるでしょう?」


その言葉に、レオナルトは息を飲んだ。


「王は迷子ですか?」


くすりと冗談交じりで放ったその言葉に、レオナルトは思わず眉をひそめる。

知性とユーモアを兼ね備えたその目は、ただの書物好きではないことを告げていた。


レオナルトはその日から定期的に図書館へ通った。

2人の間に、言葉のやり取りが自然と流れる。

政治の話、歴史の話、時には些細な冗談まで。

若き王は気づけば、国のことを忘れ、ただ彼女の話に耳を傾けていた。


「君は……特別だ」


気がつけば、自然と口をついて出た言葉だった。

エリオネは少し笑みを浮かべ、目を細めた。


「ありがとうございます」


出会ったばかりの2人だったが、それぞれが背負うものを、言葉にせずとも感じ取っていたのだ。

そして、2人の物語はこの瞬間から、静かに、しかし確実に始まったのだった

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