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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード10:交響
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交響 - 6

暗い通路の先。

冷気と石の匂いの中。

クロの部屋に、2人はいた。

クロの仮面の奥の視線が、イリスをじっと捉える。


「……ここが、あなたの居場所ですか?」


イリスは尋ねた。


「そうだな」


クロの声は静かだが、どこか含みがある。

イリスは眉をひそめる。


「この部屋に来る前に……お母様の匂いがした」


クロは仮面を軽く触れ、ゆっくりと頷く。


「感じたのか。そうか、やはり、お前は母親を……」


言葉を途切れさせ、視線は遠くを見つめる。

イリスは少し動揺した。


「私……お母様のこと、知りたいんです」

「……知ることは、時に苦痛を伴う」


クロの声には、わずかな迷いが混じった。


「それでも、探すと決めたんだ。お母様の手がかりを……父のことも……」


イリスの瞳は、迷いなく揺るがない。

クロは少しの沈黙の後、ゆっくり口を開いた


「……ここはかつて、お前の母親、エリオネと子供が身を隠していた場所だ」

「……子供って、私の双子の兄弟のことか?」

「……あぁ……そうだな」


しばらく黙ったクロは、覚悟を決めたように告げた。


「皆を集めよう。全てを話そうか」



━━━━



ヴェイル拠点・大広間の中央にクロは立っていた。

イリス、リオ、ロイ、セラ、フィオ、アルベルト、全員の視線が彼に向けられる。


「……全員揃ったな」


クロの声は穏やかだが、鋭さを帯びていた。

そっと、仮面を取ると、奥からはあの日見た、イリスに瓜二つの顔が現れた。


「……え……イリスさまに……そっくり」


セラが思わず呟く。


「話すべきことは多い。だが、まずお前に確認したい」


クロは一歩前に出て、イリスの目を見る。


「……お前の母の計画、王の計画、お前は本当に覚悟があるのか?」


イリスは拳を握り、目をそらさずに答える。


「……覚悟? 私に選択肢があるなら、母の意志を継ぐ」


クロはゆっくり頷き、少し微笑む。


「僕の本当の名前は、ノクス。そしてイリス……君の双子の兄だ」

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