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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 眠瑠
エピソード9:出口
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出口 - 7

通路は、湿った冷気が漂っていた。

そして、どこか懐かしい匂い。

胸の奥がじんわりと温かくなる。


(お母様)


声は聞こえず、姿も見えない。

けれど、確かに“そこにいた”。

この道を通った人の想いが、石に、空気に、残っているのをイリスは感じた。



━━━━



通路を抜けると、荒れた草木が広がる王宮の裏へと出た。

人の気配はなく、長い間、誰も立ち入っていない場所。

もちろん、イリス自身も来たことはなかった。


「遅かったな」

「……誰だ」


そこには2人を待っていた、黒衣と仮面を纏った人物。

そこに立っていたのは、ヴェイルのトップ……クロ。

イリスは反射的に身構えるが、リオは剣に手をかけない。


「……彼がヴェイルのトップ、クロです」


リオが、小さく囁く。

クロは、仮面の奥で僅かに笑った気配を見せた。


「……リオ……手を組んだのか」


イリスの問にリオは、ほんの少しだけ視線を逸らす。


「敵じゃないと、判断しただけです」


リオはロイがやってきたあの日、ヴェイルの本当の計画を知った。

そして、ヴェイルと手を組むことを選び、イリスを助けることを決めていた。


「計画通りだ……さあ、行こうか」


そう言って、クロは仮面に手をかけ、ゆっくりと、それを外した。


その瞬間、イリスの呼吸が止まる。


同じ瞳。

同じ色。

同じ、奥に沈んだ光。

まるで、鏡を見ているかのようだった。


「……っ」


言葉にならない。

顔立ちも、雰囲気も違う。

それなのにイリスの中で“同じ血”だと、本能が告げていた。

クロは、イリスをまっすぐ見つめる。

その声と顔は、イリスに懐かしさすら感じさせていた。

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