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出口 - 6
遠くで、複数の足音がした。
イリスとリオを探す音だろう。
リオはイリスの前に出て、剣に手をかけた。
「……リオ、待て」
イリスが、低く声をかける。
目線の先には、一見、なにもないただの壁。
その壁にイリスは手を当てた。
イリスは、そこに“違和感”を感じていた。
「ここに、隠れ道がある」
読む力が、静かに働いた。
かつてエリオネが、双子の片割れを抱き、逃げるために通った道。
言葉にならない記憶が、イリスの中に流れ込んでくる。
リオは何も聞かず、ただ頷いた。
イリスが石壁の一部を押すと、カタン、という小さな音がして、壁がわずかに沈む。
すると、そこから隙間が生まれ、冷たい空気が流れ出した。
「……やっぱり」
壁の向こうには、闇があった。
人が1人、やっと通れるほどの細い通路。
足音と、剣の擦れる音が近づいてくる。
「イリス様、先に」
イリスは迷わず通路へ身を滑り込ませ、リオが続く。
2人が中へ入ると、石壁が静かに閉じる。
王宮の地下で、2人は音もなく姿を消したのだった。




