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帝国の皇子達  作者: 秋山らあれ
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3. 第四皇子の独白〜エピローグ

 




 父である皇帝から、北国メインデルトへの遠征の命が正式に下ってから、アルディスの様子が少しおかしい。もともと口数も少なく、笑顔を見せる事も少なかったが、この処頓に沈んでいる。その彼の微妙な変化に気付く者は、恐らくは他にいまいが、生まれた時から彼を見て来た私の目は、ごまかされはしない。戦を前にして気が張っているというのとも違う。そもそも初陣でもあるまいし、あのアルディスがその為に緊張するとも思えない。一体何があったのかは、分からない。尋ねたところで、あの頑な弟が、私に理由わけを話すとも思えない。


 季節はもう、夏を終えようとしているというのに、父は我々に冬の厳しい極北のメインデルトを早急に落とせと言う。そして私にその国の王女を娶る様に命じた。ここへ来て尚、父は私にかの国の王女をめあわせたいのかと思うと無性に腹が立って来る。しかも国を滅ぼしてから王女を手に入れろと言う。

 

 私は、ふと考えた。もしもメインデルトが落ちたら、アルディスは又いつかの様に戦利品とされる王女に手をかけるであろうか....と....。父は激怒するであろうが、私はそうなろうとも構わないと考える。敵国民の感情を逆撫でする事になろうとも、構うものか....。戦に憎しみは付き物である。アルディスが戦利の証とされる女達を死なせたがる気持ちも分からなくは無い。彼の母であるルウィーラ姫の境遇を思えば、それは当然とも言える事なのであろう。

 ルウィーラ姫の呪詛の言葉.......。気の触れた己が母親の、己が父を呪う言葉を聞きながら、あの哀れな弟は成長したのだ。


 願わくは、将来彼の妻となる女が戦利の証などでは無い事を私は切に祈る。私の望みは、ただそれだけである。そう...、只それだけなのである........。



  帝国の皇子達  終



 こんな陰気な話に最後までお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました。

 今度は明るい話を書きたいものです。などと思ってみても、性格が陰気なせいか、物語も陰気になってしまいましてですね、やれやれ......。


 それでは皆様の御幸運を祈って....   

  

 秋山らあれ

 

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