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異世界転生しちゃったので忍者になってみた  作者: 羽越世雌
第2章:どんどん「忍術」の定義が歪んでいく
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第49話:最終決戦:神界を畳んで、実家に帰りたい

「……もういい。もう、全部おしまいだ」


更地になった屋台の跡地で、ツヨシは冷徹な眼差しで空を仰いでいた。

足元では、神々が「ツヨシ様が踏んだ土」をスプーンで掬って宝物庫に運び込んでいるが、そんな光景すら今の彼にはどうでもよかった。


屋台を爆破してもダメなら、この「神界」という営業所そのものを閉鎖するしかない。

幸い(?)、神々はツヨシの行動をすべて「至高の儀式」と勘違いしている。ならば、その勘違いを最大限に利用して、「神界の全電源オフ」を誘導してやる。


「皆の衆、聞けえええい!!」


ツヨシが声を張り上げると、ゴミ拾い(聖遺物回収)に勤しんでいた数万の神々がピタリと動きを止めた。


「ツヨシ様が……喋った!?」

「次のメニューの告知か!? それとも新しい爆破の予約か!?」


「違う! 本日のスペシャルメニューは……『神界の総決算:大掃除(閉店作業)』だ!!」


ツヨシは適当な木の棒(神々には『真理の杖』に見えている)を天にかざした。

「いいか、今の神界は汚れすぎている! 魔力が飽和し、信仰心が凝り固まっている! このままでは、俺の究極の料理は完成しない! 一旦、この世界の『根源のスイッチ』を切り、真っさらに戻す必要があるんだ!!」


「な、なんだってー!?」

「神界のシャットダウン!? そんなこと、創世神様でもやらなかった過激な調理法……!」

「さすがツヨシ様! スケールが違いすぎる!!」


神々は動揺するどころか、またしても「新しい感動」に震え始めた。

ツヨシは内心で(よし、乗ってきた!)とガッツポーズ。


「さあ、まずはあそこにある『神界のコア』だ! あれを『電源オフ』の方向に回せ! あれはバルブだ! 煮込み鍋の火加減を調節するのと同じだ!」


神界の核――。それは本来、世界の安定を司るデリケートな超古代文明の遺物。

普段なら誰も触れようとしない禁忌の領域だが、神々は「ツヨシ様のレシピなら仕方ない」と、総出で核に飛びついた。


「重い! だが、これが究極の出汁を取るための作業だと思えば……!」

「回せ! 逆時計回りに! ツヨシ様が『実家に帰りたい(=源流への回帰)』と仰っているんだ! それこそが真の救済だ!!」


ギギギ……と、世界が軋む音が鳴り響く。

空の色が紫から灰色に変わり、神々の背後にある後光(光輪)がチカチカと点滅し始めた。


「よし、いいぞ! 次はそこにある『因果律のブレーカー』を落とせ! それはただの『お会計チェック』だ!」


「おおお! チェック! 聖なるチェックですね!!」

バハムートが全力のブレスでブレーカーを焼き切る。


パチン、パチンと、神界の照明(星々)が一つずつ消えていく。

ツヨシの心はかつてないほど晴れやかだった。

(これだ……。これさえ終われば、俺はあのアパートの、狭くて静かな、神のいない部屋に帰れるんだ。コンビニ弁当を食べて、誰にも感謝されずに寝るんだ……!)


「ツヨシ様! 神界のエネルギー残量、あと5%です! ログインボーナスも停止しました!」

トールが報告に来る。顔はボロボロだが、やり遂げた男の顔をしている。


「よくやった。最後の1%……それは俺が引導を渡してやる」


ツヨシは、自分のポケットに残っていた「実家の鍵」を握りしめた。

この鍵を、消えかかった『神界の核』に突き立てれば、回路がショートして完全に強制終了(閉店)するはずだ。


「……あばよ、勘違い野郎ども! 俺は、俺の日常に帰らせてもらう!!」


ツヨシが鍵を突き立てた瞬間、神界はかつてないほど真っ白な光に包まれた。

視界が消える。音が消える。神々の「ありがとうございましたー!」という場違いな叫び声だけが、遠くで響いていた。


(……勝った。俺は、閉店に成功したんだ……)


意識が遠のく中、ツヨシは確信していた。

次に目を開けたとき、そこにあるのは「お帰りなさいませ、お客様」という声ではなく、目覚まし時計の不快なベルの音だと。

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