13
夜は明け、僕は王都を出た。南門を出てすぐ、迎えの馬車が来てくれていた。
馬車に乗り込み、門番に軽い会釈をする。
すぐに馬車が出発する。そのまま山間に入り、そして山間を抜ける。半日ほどかけて、僕はキードに帰った。
⬜︎
村の門は、王都に行った後に見るととても質素で小さく見えた。今までこんなことを思ったことは一度もなかった。
少し空が赤くなった頃、僕はキードの門をくぐり、両親、そして村長と再開した。皆暖かく出迎えてくれた。僕の表情に出ていたかもしれないが、王都で上手くいかなかったことは見透かされている気がした。
「テル、おかえり。帰ろう。」
「…うん。」
3人で並んで歩きながら、家に向かった。
村の復興は進んでいた。まだ時間はかかるらしいが、瓦礫の撤去は大方終わったと聞く。
避難所も用意されていて、家を失った人は今もそこで暮らしているらしい。
学校は来週始めから再スタートするそうだ。友人は皆無事だろうか。少しだけ気がかりだ。
家に帰ると、夕飯のいい匂いがした。僕は目を閉じて、ゆっくりと呼吸をした。そうすると、僕の暗くなった気持ちも、少しだけかき消してくれる気がした。
⬜︎
食卓にて、夕飯を食べながら両親と王都で過ごした三日間の話をした。
「帝剣杯というものがあってね!僕見てきたんだ。凄かったんだよ。ガンナーっていうおじさんが…」
僕は夢中で話した。途中途中で喋ってばっかいないで食べなさいと注意を受けたが、それも致し方ないことだった。王都で過ごした3日間は、16年間田舎で過ごしてきた僕にとって、刺激的すぎたのだ。
「帝剣杯が面白かったのは分かった。剣聖様には会えたの?それが目的でしょ?」
「会えたよ。弟子入りも申し込んできちゃった。」
「えぇ、あんたってやつは…で?なんて言ってた?」
「条件付きってやつ。でも無理難題だったよ。リンケージ学院首席入学ができたら、だってさ。」
親は笑いを堪えきれないようだった。リンケージはそりゃ厳しいなあ、と父親は言っていた。
⬜︎
夕飯を終え、僕は木刀を握りしめて外に駆け出した。流石に、いや結構悔しかった。
王都からキードに帰ってくる途中、自分なりに修行のメニューを考えていたのだ。
両手振り100回、片手振り100回ずつ、基本フットワーク100回…
やるしかない。やりながら、最適化に向かっていけば良い。あと2年。あと…
無我夢中で剣を振っていた。1、2、3と声を出しながら。一振り一振りに、悔しさをぶつけるつもりで。
指南書は読み込んだから、あとは実践するだけ。魔法?の使い方は分からない。また本屋にでもいけばヒントがあるんじゃないかな。何事もまずは基礎から、だと思う。
夜風が冷えてきて、それでも無理して素振りを続けていたら、母に怒られた。僕の1日目はこれで終わった。
⬜︎
入浴を済ませ、ベッドに寝転がる。
なんか、違うな。こんなはずじゃ無かったのになぁ…
目尻を、暖かい涙が伝った。
こういうのってさ、いつか報われるのかな。
何度も、誰も答えてくれない問いを、天井にぶつけた。
でも、明日も明後日も、やるしかないんだよな。やらないと、可能性はゼロのまま。やるしかない。やるしかないんだよ。
眠気を感じて、布団を被る。そのまますぐに、眠りに落ちた。




