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 夜は明け、僕は王都を出た。南門を出てすぐ、迎えの馬車が来てくれていた。


 馬車に乗り込み、門番に軽い会釈をする。


 すぐに馬車が出発する。そのまま山間に入り、そして山間を抜ける。半日ほどかけて、僕はキードに帰った。



  ⬜︎



 村の門は、王都に行った後に見るととても質素で小さく見えた。今までこんなことを思ったことは一度もなかった。

 少し空が赤くなった頃、僕はキードの門をくぐり、両親、そして村長と再開した。皆暖かく出迎えてくれた。僕の表情に出ていたかもしれないが、王都で上手くいかなかったことは見透かされている気がした。


「テル、おかえり。帰ろう。」

「…うん。」


 3人で並んで歩きながら、家に向かった。

 村の復興は進んでいた。まだ時間はかかるらしいが、瓦礫の撤去は大方終わったと聞く。

 避難所も用意されていて、家を失った人は今もそこで暮らしているらしい。

 学校は来週始めから再スタートするそうだ。友人は皆無事だろうか。少しだけ気がかりだ。


 家に帰ると、夕飯のいい匂いがした。僕は目を閉じて、ゆっくりと呼吸をした。そうすると、僕の暗くなった気持ちも、少しだけかき消してくれる気がした。



  ⬜︎



 食卓にて、夕飯を食べながら両親と王都で過ごした三日間の話をした。


「帝剣杯というものがあってね!僕見てきたんだ。凄かったんだよ。ガンナーっていうおじさんが…」


 僕は夢中で話した。途中途中で喋ってばっかいないで食べなさいと注意を受けたが、それも致し方ないことだった。王都で過ごした3日間は、16年間田舎で過ごしてきた僕にとって、刺激的すぎたのだ。


「帝剣杯が面白かったのは分かった。剣聖様には会えたの?それが目的でしょ?」

「会えたよ。弟子入りも申し込んできちゃった。」

「えぇ、あんたってやつは…で?なんて言ってた?」

「条件付きってやつ。でも無理難題だったよ。リンケージ学院首席入学ができたら、だってさ。」


 親は笑いを堪えきれないようだった。リンケージはそりゃ厳しいなあ、と父親は言っていた。



  ⬜︎



 夕飯を終え、僕は木刀を握りしめて外に駆け出した。流石に、いや結構悔しかった。


 王都からキードに帰ってくる途中、自分なりに修行のメニューを考えていたのだ。

 両手振り100回、片手振り100回ずつ、基本フットワーク100回…

 

 やるしかない。やりながら、最適化に向かっていけば良い。あと2年。あと…


 無我夢中で剣を振っていた。1、2、3と声を出しながら。一振り一振りに、悔しさをぶつけるつもりで。


 指南書は読み込んだから、あとは実践するだけ。魔法?の使い方は分からない。また本屋にでもいけばヒントがあるんじゃないかな。何事もまずは基礎から、だと思う。


 夜風が冷えてきて、それでも無理して素振りを続けていたら、母に怒られた。僕の1日目はこれで終わった。



  ⬜︎



 入浴を済ませ、ベッドに寝転がる。



 なんか、違うな。こんなはずじゃ無かったのになぁ…



 目尻を、暖かい涙が伝った。



 こういうのってさ、いつか報われるのかな。



 何度も、誰も答えてくれない問いを、天井にぶつけた。



 でも、明日も明後日も、やるしかないんだよな。やらないと、可能性はゼロのまま。やるしかない。やるしかないんだよ。



 眠気を感じて、布団を被る。そのまますぐに、眠りに落ちた。



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