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 リンケージ学院。僕も、僕ですらも聞いたことがある。国内トップの、戦士学校だ。それは世界規模で見ても然り。入学できただけでも、村の栄誉として語り継がれるぐらいの…

 お父さんが昔、聞かせてくれたことがあったな。卒業した者はもれなくその後の一生が確約されてると。


「えっと…入学、でなく首席入学…であってますよね?」

「ああ、もちろん。」


 なるほど。なるほどなるほど。流石に厳しい、か?いや?諦めちゃあ、いかんだろう。僕は、剣聖の目を見据えた。


「分かりました。僕が18歳になる二年後、楽しみにしておいてください。約束、忘れないでくださいね。」


 もちろんだ。ワクワクして待ってるよ。その言葉で、僕と彼の対話が終わった。僕は第三客間を後にした。扉が閉まる音が、少しうるさかった。



  ⬜︎



 ホテルに戻り、僕は顔を枕に埋めた。くっそぉ…そりゃそんな簡単には行かないかあ…くっそぉぉ……


 おそらく枕は、涙で滲んでいただろう。嗚咽を、枕が受け止めてくれていた。自分が今、どれだけ惨めな顔をしているかなんて、知りたくもなかった。


 しばらくして、少し切り替えた。まずはやってみなきゃ分かんないじゃないか!きっとそうだ!それに、めちゃくちゃ腹が減った。

 どこか美味しい店に行こう。揚げ物が食べたい。


 明日の朝、ホテルのチェックアウトをする。荷造りを少し進めてから、ホテルを出た。



  ⬜︎



 ご飯屋探しのために、王都を散策する。これが、王都で過ごす最後の夜だ。点々と灯る光が、何かこう僕を慰めているみたいで、少しだけ沁みた。


 いい店があった。定食屋だ。ドアを開けると、カランカランと乾いた鈴の音が鳴った。いい匂いが、鼻腔を掠めた。


「いらっしゃいませ〜、おひとり様ですか?」

「はい、一人です。」

「ではカウンター席にご案内しま〜す。」


 カウンターに座ると、メニューをパラパラと捲る。これもいいなぁ、あでもこれも美味しそう…


 と、不意に隣の人に話しかけられた。


「よう、兄ちゃん。朝ぶりだな。」

「えっ、ガンナーさん?!」


 やけに大きい人が隣にいると思ったら、帝剣杯で大活躍を見せたガンナーさんだった。



  ⬜︎



「ここのオススメはな、フォブカツ定食だ。若干値は張るが、美味いぞ。」


 フォブというのは北部地方原産の哺乳類で、芳醇な肉汁と引き締まった肉が特徴だ。高級品として知られている。それをカツにするなんて、美味しいに違いない。


「じゃあ、せっかくなのでそれにしますね。あっ、帝剣杯見ましたよ!ガンナーさん凄かったです!!」

「いやあ衰えたよ。まぁ、老体をこき使って頑張った方だとは思うがな。で、剣聖様には会えたのか?」


 厨房の方では、ジュワーといい音が鳴っていた。僕の頼んだ定食が調理中なのだろう。涎が出てくる。


「はい、会えました!でも…」


 僕はポツリポツリと先程の出来事を語った。


「なるほどなぁ、リンケージ首席か…なかなか酷なことを言うな。」

「誰か僕に剣を教えてくれる人がいれば良いんですが…」

「悪ぃけど、俺が教えてやることはできねえ。俺の剣は古いんだ。二年で首席はおろか入学させられるかも怪しい。」

「そうですか…まず自分で頑張ってみますね!」


 定食が運ばれてきた。あ、これ絶対うまいやつだ。


 …そして案の定、気付いたら器がキレイになっていた。タイムスリップをしてしまった。



  ⬜︎



 ガンナーさんと別れ、ホテルに戻る。少し風が冷たかった。僕は冷えた空気を大きく吸って、それから夜空を見上げた。



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