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我が親友へ捧げる。ホロライブの愛  作者: リベンジャー
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第十七話 繋がり

家を飛び出た私は爆音が轟いてきた方向へ一直線に走っていく。

今、家にはあの女の子もいるけど、家から避難場所はかなり近いし、異変に気が付いてからでも十分に間に合うはず。


それより私はフレアの代わりに時間を稼がなければいけない。

その為には。

私は、グッと握りしめたノコギリに目を下ろし、ゴクリと息をのみ覚悟を決めようと心のなかで自分に鞭をうつ。


状況を把握していないエルフ達は寝巻き姿で、足を止めてなるものかと全力で走る。

その中で一人のエルフが私の手を取る。


「ヒュームちゃん何が起きているの!?フレア様は!?」


「奴らが攻めてきてる。きっとさっきの爆音は第一の砦が壊された音だと思う。 フレアは...。」


「第一の砦って、ヒュームちゃんが向かっている方向じゃないか!フレア様に何があったかは分からないけど早く避難するよ!」


私を連れていこうとするエルフの女性に歯向かう様に私はその場に立ち拒んだ。


「私が何とかする。その間に逃げて。」


「逃げてって、知ってるでしょ?決まりでフレア様以外の女子供は避難場所に行くって。」


「うん。それでも私は。」


私はソッと彼女の手を取って腕から引き離した。


「私の為にエルフ達を守るよ。」


何かを言いたそうだった彼女を振り切るヒュームの足は突風の如くスピードでその場に向かう。


(第一の砦を壊したのなら恐らく足止めにはなっているはず。)


これまでもいくつもの砦を壊されては修復していく度にその仕掛けも変えてきたらしいが、その脅威の前にそれほど効果はなかった。

ならと、趣向を変えて修復した今回の砦は倒すのではなく、完全なる足止めと隙を作っての追撃だけど遅れてしまったらもともこもない。


(早く行って男エルフ達と合流しないと!)


だが、そんなヒュームを待ち受けていたのは信じられない光景であった。

金音が甲高い雄叫びを空に上げて、悲鳴が恐怖の世界に誘う。

もしこれが地獄の前触れだとしても、しょせん地獄は地獄だった。


(な、なんで...。)


「な、何してんだ!?お前ら!」


私と同じ桑を武器に振るっている男性エルフが戦っているのは同じエルフだった。


「そいつらは俺達の敵だぞ!?」


「敵?ち、違う...!この子は私の子供なんだ。お願いだ!時間をくれ!」


仲間割れだった。


どうしてこんな簡単な事にも気が付かなかったのか、子供が敵になるのとでは話が変わってくるなんて考えればすぐに分かる事だったはずなのに。


『今でも外を探している者もいる。』


今、味方に桑を振るっているエルフ達は外で子供達を見つけた者達。

つまりフレアが言っていた実親。


(ん?ちょっと待って?)


ヒュームは今自分が仮定した事に違和感を感じ、そして、その違和感を理解した瞬間一気に毛が逆立ち、冷や汗が吹き出した。


(どうして外で襲われなかったの?)


だが、その理由を一瞬で見つける事は難しくなかった。


(まさか、実親を敵と感知させない精神魔法をかけていたとしたら!?)


もしそうだとしたら全ての事が気持ちが悪いほどに結び付いた。

密かに抱いていた疑問の一つである砦の仕掛けもそうだ。


あの仕掛けは足止めと追撃をするために作られた砦であるはずだが、相手が子供であれば壊滅だって難しくはなかった。

なのに壊滅どころかここで暴れている事実が足止めにもなっていない事を物語っている。


では、なぜそんなことが起きているのか。

答えは簡単だった。

『壊した』のではなく、『壊してもらった』からだ。


砦を作ったのは皆だ。

ならその作った順序を逆にすれば仕掛けが発動せずに壊せられる事なんて百も承知。

そして、今の混戦と言うわけだろう。

だとすればフレアが言っていた存在も濃厚になる。

ヒュームの怒りが拳に伝わって持っている桑がキシキシと軋む。


「時間をくれだって!?お前達の子供は私達を殺そうと暴れている!気高きエルフのまま天に還す事が出来るのは今しかないんだぞ!?

それにお前達だけだと思うな!俺の兄さんだって同胞を殺し、最後は狂って殺されたんだ!少なくともこの村に特別可愛そうな被害者なんていないんだよ!」


「う...ううう...そうだとしても俺は娘を救うんだぁ!!」


「!?」


実親であるエルフの木の棒が男性エルフの桑を吹き飛ばし、その場で尻餅を付かせる。

そして、頂点に上がった所まで掲げて。


「すまない。恨まないでくれ。もし、恨むのであれば私を恨んでくれよ。」


「ち、ちょっとまっ―」


『バキッ!!』


その瞬間男が持っていた木の棒が根本から砕けちった。

いとも容易く、砕けた棒は宙を何度も回り、地面に落ちていった。

実親のエルフは己の得物が粉々に吹き飛んだ事実に大きく退いて、同じように尻餅をつく。


男性エルフを助けたのは。


「ヒュ、ヒュームちゃん!?」


勿論私だった。


私の登場に目を見開く敵と味方は体を硬直させ、私と言う一点から目を離さずにはいられなかった。


「ヒュームちゃんどうして!?」


男性エルフの問いを私は桑を高速で身体中を使って回し、地面に力強く突き刺した。


「今からあの子達を討つ!大きな敵であり、戦いにくい身内でもあるけど、それは今までも同じことだった!今ここにいる皆は家族だ!

確かに私達の敵は別にいるのかもしれない!だけど、そいつに皆をこれ以上辱しめさせない!」


震える体と震える心が自分の弱さを伝えてくる。結局かっこよく登場したとしても私が出来るのはハッタリをきかせた強がりだけだ。

だけど、それだけだとしても。


「そ、そうだ。」

「ああ!やってやる!」

「村を守るんだ!」

「避難場所には絶対に行かせない!」


桑や棒を掲げた男達は空に雄叫びを上げた。


『異能▪絶対的カリスマ性』


ヒュームの持つ特殊な力。

人々の心に火を付けて全ての力を底上げする。


(あれ?この景色どこかで見たような。)


ヒュームの脳裏にフラッシュバックで映った海が見える大きな城の上。

どこか懐かしい太陽が眩しい大国。

こんな時に何を思い出したのかは知らないが、大切な場所であることはなんとなく感じていた。


その時だった。


「きゃ!」


1本の矢が私達の後ろから雷光の如く早さで放たれ、一人の敵側のエルフの頬を掠めていた。


「!?」


私が振り返ったその先には金色の髪の毛に褐色の肌、赤色の眼光が怪しくも敵を睨み付けていた。


「ふ、フレア様...」


誰かは分からない一人のエルフがそう言うと。


「フレア様!」

「フレア様だ!!」

「フレア様!」


連鎖爆弾のように歓喜が響いた。建物の上から飛んだフレアは私の目の前に降りてきた。


「...さっきはごめん。カッコ悪いとこ見せた。」


「...いいよ。立ち直りが早くて助かるよ」


皮肉にも聞き取れる私の言葉にフレアは首を横に振った。


「私にもあるから。」


「...何が?」


「おばあちゃんとの繋がり。ヒューム以上に強い繋がりが。」


「...そ。」


「うん。そう。」


ヒュームはそれをあえて聞かなかった。聞くまでもなく彼女の顔に書いてあったからだ。

一人のエルフは目を腫らしながら弓を抜く。

一人の人間は桑を捨てて、落ちていた木の棒を構える。


そして。


『素晴らしい。素晴らしい。素晴らしいよ!!今のところ全て作戦通りだぁ!さぁ、お前はどんな絶望を見せてくれる?白縫フレア。』


一人のダークエルフが薄気味悪く広角を上げた。

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