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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project
第二章

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93/99

093 私が誰であるか

クロエです!

情報開示請求ってあるじゃないですか。政府など公共機関に情報公開法によって請求するやつ。

そう考えると最高神って政府機関みたいなものかもしれませんね!

『文化停滞仮説に関する第一次情報開示を却下する』

…………

…………

頭に直接響いた声に驚いた。

耳を通さないせいか、その声は男性とも女性とも判断がつかないものだ。


威圧するような響きではないけれど、同時に、自然と人を跪(ひざまず)かせるような荘厳さが感じられる。




だけどね、私も、腹に据えかねているんだよ!

いままでどこにぶつけて良いかわからなかった気持ちが、対象を得てはっきりしたんだ。


文化停滞仮説ね!

ご丁寧な説明を受けなくたって、こっちだって、謎の前世知識があるんだから!


簡単に言えば、文明や文化の発展に大きな乖離があるグループ同士が接触したとき、発展の低いグループが重大な影響を受けてしまうってことでしょう?

どのような影響を受けるのか、「停滞」の度合いがどの程度のものなのか、具体的な内容はわからないけど。


ここはもう一押ししてみないと…………




みんなが押し黙るなか、

「…………話は変わりますが、モデルテ市と王都では、少し言葉が違うようですね」

ルチアさんは、少しほっとした様子で話に乗ってきた。

「そうじゃな。王都と周辺の都市では、少し違うところもあるな。

といっても、会話に困らぬ程度であるし、あまり気にする様子はないぞ」


「私の前世でも、言葉というものは、地域や集団によって少しずつ変化が見られ、人と同じく兄弟同士のようになると考えられてきました。

そうした言葉の仲間を「語族」と言ったりしてました」


「なるほどの。言葉の種族で「語族」とはよく言ったものじゃ」


「はい。兄弟がいれば当然親がいるもので。

親に当たる言葉を「祖語」って言っていたと思います。

親の言葉、つまり言葉のご先祖様ですね」

「たしかに、面白い表現じゃな」


「ディミディウムという国名や、神殿で使われる古い言葉には、その祖語の名残があるように思います」


「…………」 ルチアさんは、話の行き着く先がわかってしまったようだ。


「ルチアさんの本当のお名前は、ルキアさんというのではないですか?」

横で黙っていたバルを正面から見据えて言う。

「そして、バルディーニ先生のお名前は、本当はバルディヌスなのでは?」


アリシア先生は眉をひそめて、「クロエちゃん、つまり何が言いたいの?」


「はい。

王国の起源を考えると、王国祖語を話していた集団がいたということ。

そして、ルチアさんやバルディーニ先生は、今でもその古い集団に属しているという指摘なんです。


その集団は、バルディーニ先生を見てもわかるとおり、マナ測定器や私たちの知らない魔法も駆使していて…………」

「そこまでだ!」

バルが鋭く言う。

私も、負けずに声を強めた。

「いつまでも、私に隠さないで!」

「必要なら、契約魔法でも何でもかければ良いじゃない!」


…………

…………

再びその場が静まりかえった。

「したくてもできないんじゃよ」

ルチアさんは言った。


「クロエよ、妾達も、情報開示の制限を受けているのじゃ。

お主に答えてやりたいのも山々じゃが、最高神自らの制限を受けているのじゃ」

「だから、契約魔法を私にかけてもかまわないって言っています」

バルは言う。

「お前のマナの特殊性のため、契約魔法は無効化される。

その点も情報開示ができぬ理由だ」




…………

…………

私は思わず叫んだ!

『最高神ユグドラシルへ!

第一次情報制限の解除条件自体の開示を請求いたします!

対象:クロエ・クララ・アリシア・ソフィ・ルチア・バルディーニ!』


「むっ」「なんじゃと!」

「「クロエちゃん!」」「クロエ!」


リィン、リィーン、リィーーン……

先ほどとは異なる鐘が現れ、厳かに鳴り響いた。


脳内には重々しい声が響く。


『第一次情報制限の解除条件を開示する…………

クロエに対する解除条件…………

1.照合可能な仮説をクロエ自身が打ち立てていること

2.被保護種族への悪影響が認められないこと

対象:クロエのみ』


……照合可能な仮説。

つまり、私が自分で考え、自分で確かめろということだ。


……

……

……

アリシア先生、「あれ?声が聞こえない」

おかあさん 「どうしたのかしら?」

クララ 「……」

その声は、私とルチアさん、バルにのみ届いたようだ。


「ふぅ~~~

無茶はやめるのじゃ……」




(第2項があるため、最高神はおかあさん達には言えないんだね、なら!)


(最高神ユグドラシルへ!

解除条件を満たしているかどうか、私から最高神へ確認する権利を求めます!)

と、心で聞いてみた。


『クロエが解除条件を確認することは、「是」である』


声は、脳内でそのように告げられた。


そして鐘は消えたのだった。


________________________________________


バル、

「我々は、今までお前のやりたいこと、やろうとしていること、やらなければならないと考えたことを制止したことはない」

ルチアさん、

「そうじゃな。お主の安全や健康に関すること以外では、基本的に支援を続けてきたと思うぞ」


私は頷いた。

バル、「今の問ではっきりした」

「お前は、お前の信ずるところに従い、この世界の謎に立ち向かわなければならないのだ」




そうだね。

私は、私が誰であるか、私の力で明らかにしなければいけないんだね。


挿絵(By みてみん)


アリシア「最近、驚くことばっかりなんだけど!」

クララ「本当に…………最高神の御業を直接目にすることがあるなんて…………」

ソフィ「…………命が縮んだわ…………」

クロエ「綺麗なホログラムだったね~」

アリシア・クララ・ソフィ「……………………」

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