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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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062 本当の親子

クロエです!

また合同お茶会やるんだって!

でも、道具がいらないパーティーゲームって他にあったかなー?

パオロの元には、今年の魔法選別の儀の結果が届いていた。

―――30名。

これでもかなり下駄を履かせた数字だという。

卒業を控えた現三年生が20名、現二年生が25名、現一年生が38名、そして入学予定が――30名。

パオロは紙を置いた。

平均すれば30名に満たない。

それまでの60~70名の卒業生を思えば、魔法師の供給能力は半分以下か………

そもそも、現役世代も流行病で減少しているのだ。市政のあちこちで軋みが生じるのもやむを得ないだろう。

パオロは頭を抱えた。


春・秋の農繁期に学生を農場に出すことはかまわない。

しかし、ファーティライズを発語できなければ、フィルミン農業長にとって役に立つとは言えないのではないか?

それはかなり困難であるように感じられた。


その点ラファエル保健長の要求の方が現実的だ。

クリーン、ヒール、キュアは習得できるものは多いだろうし、例年実習は水魔法から開始となる。

これは可能ではないか?

ただし、現二年生と日程はずらした方が良いだろう。現一年生の成績を考えると、現二年生に悪影響が出そうだ。


建設課はどうか?

フィルミンへの言い訳を考えれば、面接の上農家に残りにくい生徒のみに限って参加を募るというのはどうだろうか?

不満が出るかもしれないが、現実的な落とし所だろう。


総務部、出納部、商業部、衛士部からは今のところ要請はない。

もっとも、総務部、出納部、商業部は、魔法の実力より学業成績の方が大事だ。

衛士隊は実力がすべてだしな………


パオロは来年度の教育計画を考え続けていた。


そこへ受付から連絡が入った。

「副校長。市長がお見えになって、副校長に面会を求めています」


________________________________________


お昼のキラキラ会。

エリス 「また問題が生じた」

アンヌ 「またか!」

マリィ 「今度は何?」

「出会いを求める水コース・土コースの女子から助けを求められている」

ルーカス 「へぇ、僕たちに何を求められているの?」

「合同お茶会の開催に協力を求められた」

アンヌ 「えー 自分たちで企画すれば良いんじゃないか?」

「そうもいかない。私たちには「風のみち」商会、「優雅な家」商会がバックにいた。

私たちのように商会会議室を気軽に借りる「つて」がない」

クロード 「ノエミさんとジャンヌさんがいますよ」

エリス 「ノエミはアルフォンス、ジャンヌはエミールをゲットした」

アンヌ 「ゲットって………」

エリス 「商会のつてと有力男子二名を失った彼女たちの焦燥は大きい」


マリィ 「待って!そうなると男子12人女子11人もいるよ!

一回じゃさばききれないでしょ?」

クロード 「ん?僕たちに、相手の決まったアルフォンス、アーサー、エミールを入れると6人。

男子19名だから計算が合わないよ?」

マリィ 「アンドレ、レオ、マティス、サミュエル、デニス、ジェフリー、ジャンで7人、

マエル、ガストン、ジャック、モーリス、アルバンで5人よ」

テオ 「ベルナールが抜けてるよ」

マリィ 「………」

エリス 「………」

私 ?

クララ 「私情だけで動けばかえって亀裂が深まるわ」

アンヌ 「はぁ~ クララらしいけど、正直誘うのは気が重いし、お茶会がダメにならないか?」

クララ 「同じクラスだし私が誘うわ」

エリス 「クララが誘うのは悪手」

ルーカス 「………いや、良い考えかもしれない。誘ったという事実が残る」

私 ?

「ちょっと、話しについていけてないんだけど!」

アンヌ 「いいんだよ。クロエはピュアな心のままで」

むう、また妹扱いか。私だって何となくは分かるんだよ!

でも、ちょっと悪意っぽいのが気持ち悪いなって言いたいの!


マリィ 「やっぱり他クラスの組み合わせが効果が高いよね。

火男子7人と土女子4人、土男子5人と水女子7人がベースかな?」

エリス 「あとはみんなの希望を聞いてみる」


________________________________________


昼休みの水コース教室。

ベルナールは手早く昼食を終えると自主訓練のため教室に戻っていた。

水コース男子は他にテオしかいなかったため、テオと昼食を取っていたのだが、今は婚約者と食べるからと言っていた。

気づけば、昼を共にする相手もいなくなっていた。

テオは 「ごめんね、ベルナール。

でも、ほら、やっぱり婚約者を大事にしないとダメだからさ」

とかほざいていたが………

(ふん、軟弱ものめ。もともと農家の末っ子など僕にはどうでもいい存在なんだ。クラスに男子二人だったからやむなく相手をしていたんだ)

(さっさと婚約者のところへ行き、時間を無駄にして訓練を怠るがいいさ)

そのテオの実力が急激に伸びている事実には目をつむった。


(それよりも発語訓練だ。

とりあえず、ウォーター・エリアを余裕を持って発語できなければいけないぞ。

そこまで行けば、一応二年前期のカリキュラムクリアだからな)

そこへ声をかけるものが現れた。

クララである。

エリスも心配してついてきた。

「ベルナール、ちょっとお話ししてもいいかしら?」

びくっ

「なんだ」ぶっきらぼうに返す。

よりによって、嫌な相手が来た。

「実は、土コースの女子と火コースの男子でお茶会の計画をしているんだけど」

「お茶会だと?」

「ええ。

他コースとの交流の機会がないでしょ?それで……「待て!」」


ベルナールは母親の忠告を頭から振り払った。

「僕はそんなおちゃらけた催しに興味はない。

訓練の邪魔をしないでもらおうか!」

「でも……」

「訓練の邪魔をするなと言っている……」

怒りで手がブルブル震えた。

……

もう、クララの方は見なかった。

エリス 「行こう、クララ」

「ええ……」

……化け物め!

婚約者は来年の一年から見つければいいさ……


________________________________________


私はおかあさんのところに相談に来た。

もう慣れた家である。

卒業したらおかあさんと一緒に住んで良いと言われている。

クララも孤児なので、一緒にどうかと言われていて、ぜひにという話になっている。

最終的にはさちを含めて4人で暮らせたら楽しいよね!


私は、オリヴィアさんとヴァロンティンヌさんの契約の話をした。

「…………それでね、契約の話になったんだけど、未成年は単独で契約できないから、神殿じゃなくておかあさんに代理人になって欲しくて………」

「いいお話ね。もちろんいいわよ」

「でも、店長さんがね、神殿から委任状が必要じゃないかっていうの」

「私がバルディーニ様にお願いすればいいのね?」

「ごめんね。面倒なことお願いして」

「全然面倒じゃないわ。任せておきなさい。

……………………クロエちゃん、私も考えたことがあってね」

「なに?」

「ほら、私はもう夫もリナもいないでしょ?」

こく

「だから私が死んだら、私の財産のもらい手がいないの」

そんな話あまり聞きたくないな…………

「だからね、…………その…………

クロエちゃんが嫌じゃなければなんだけどね…………?」

うん、なんだろ?

「その、ほんとにクロエちゃんが自由に決めていいんだけど…………」

…………

「…………その、私とクロエちゃんでね…………養子縁組できたらなって、

そんなことを思っていてね?」


がばっ

気づけば、私はおかあさんに抱きついていた。

「うれしい…………」

おかあさん

私に――本当に、おかあさんができるんだ。

おかあさん


でも、我に返る。

「おかあさん、きっと私になんか悪い秘密があるよ…………

……絶対、教会は何か隠してる」


おかあさんは真剣な目で

「そうね。だからこそクロエちゃんの親になりたいの。

今のままではクロエちゃんを守れないと思ってるの」

私は抱きつく腕に力を込めた。


________________________________________


2月末の休日、バルディーニはクロエと懇意にしているソフィという女性の訪問を受けていた。


バルディーニ 「用件を伺おう」

ソフィ 「単刀直入に言いますと、クロエちゃんと私の養子縁組を認めて欲しいということです」

…………

…………

…………

ソフィはじっと待った。

「クロエという少女は極めて不安定な存在だ。

あなたの娘から魔臓を移植されなければ、マナもなく、存命が危ぶまれる状況だった」

リナの死後、遺体を強制的に神殿に移された際の絶望を思い出す。

「ええ。

リナが死亡した当初は、感情的になり、バルディーニ様にも失礼な態度を取ってしまいましたが、今ではクロエちゃんと出会えて良かったと心から感謝しております」


バルディーニはそれには答えず、話を続ける。

「また、覚醒までの経歴に関して一切の記憶が失われている一方、前世の知識と称する、我々の既知の常識と異なる知識を有している」

「はい、存じています」

「さらに、これも異質な存在である、サチという少女を通じて、その前世の知識を、過去の記憶としてではなく、最新の知識に上書きすることもできるようだ」

「はい、そのことも存じております」


「ここから先は、守秘義務魔法を課すことになるが、その覚悟はあるのか」

「はい、私の命をしたとしても、クロエちゃんを守りたいのです」

ソフィの瞳から涙があふれる。


バルディーニはソフィの様子を観察しながら、これもまたクロエのマナの影響ではないかと冷静に検討していたが、クロエの安全や行動に資することであれば問題ないとも判断した。


「では、発語する。

『闇よ…………最高神ユグドラシルに我としもべ・ソフィのマナを捧げ奉る。これから述べる機密をソフィは誰にも漏らすことを禁ず。ソフィがその禁を破るとき、塗炭の苦しみを負わなければならない。ノン・ディスクロージャー・アグリーメント【NON-DISCLOSURE AGREEMENT】』

「ああ!」急にマナを奪われたソフィが悲鳴を上げる。

バルディーニとソフィのマナが融合し、黒い霧となると、ソフィの体にまとわりつきやがて吸い込まれていった。


バルディーニはその様子を確認すると、金庫から豪華な装飾を施した書状箱を二つ取り出した。

ソフィの背筋が寒くなった。

バルディーニは中の書状を説明する。


「ひとつは、教皇の命令書だ。

①クロエの生命・健康・安全を完全に確保することと、この命令が教会のあらゆる命令に優先することが記されている。

②クロエの生命・健康・安全が確保されている限り、クロエは完全な行動の自由がある。ただし、クロエの思想、信条、判断等に何らかの影響を与えることを極力排除することも記されている。

③クロエの行動の自由のため、教会は必要に応じあらゆる支援を行うことが記されている。ただし、その支援は、クロエの思想、信条、判断等に影響を及ぼさないよう、十分な注意を払わなければならないことも記されている」


「次に国王の命令書だ。

教会の命令書の内容が真実であり、その命令は国王を含む国のあらゆる命令に優先することが記されている。

また、王国も、教会の要請がある場合には、あらゆる支援を行うことが記されている。」


「直接自身の目で確認せよ」


ソフィは目をこらして命令書を読んだ。

「分かりました」


「ここまでの内容をよく吟味しなさい。

私は、あなたにクロエの代理人となる旨の委任状をしたためよう」


「え、でも、私は代理人ではなく、養子縁組を…………」


「そうだ。書状にしたためられているとおり、我々は、クロエの生命・健康・安全を完全に確保することを第一に優先している。その意味で、クロエの精神の安定には、あなたの協力が不可欠であると判断しているため、クロエの秘密を開示した」

「しかし一方、これ以上の秘密を開示するには、あなたにも心の準備がなお必要だとも思っている。ここまでの話でも十分大きな話であろう」

「はい」

「これ以上の話はあなたの精神の安定が懸念される。あなたの精神が不安定になれば、結局クロエの精神にも悪影響が出るであろう」

ソフィはうなずいた。


「しばらくこの話を吟味し、代理人としてクロエを支援していただきたい。

その上で、今の覚悟に変わりがないのであれば、養子縁組を認めよう」


ソフィが帰ったあと、バルディーニは振り返る。

「その禁を破るとき、塗炭の苦しみを負わなければならない」か…………

本来の発語は「死を持ってその罪を償う」だった。

(ふん、私も甘いな)

クロエのマナによってソフィの行動に影響が出ていることを疑ったが、そのマナの影響は、あるいは自分も受けているのではと思うのだった。


挿絵(By みてみん)

作者「今日はなんとパオロ副校長にお越し頂きましたー!」パチパチ

パオロ「最近胃の調子が悪くてね。こう、空腹時にキリキリ痛むんだよ」

「それは胃潰瘍かもしれませんね。ストレスが大きいとなるらしいですよ?」

「なにを人ごとのように………君のせいではないのかね?」

「ごめんなさい。ストーリーの都合上仕方がないんですm(_ _;)m」

「やれやれ」

パロ副校長の胃腸が気になる方は、リアクション(ブックマーク・評価)をお願いします(・_・)(._.)

ちなみにアンヌのキスシーンはこちら!

https://youtu.be/V3SjtHurQoY

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