新しい年に・・。Ⅲ
どう説得すんだ是・・?
<GS250、ホークⅡ、VF、400E、ペケジェー、CBX、おいおいRZ250Rかよ勿体ねーなと言うより可哀相だな、主人を間違えるとこんな惨めな扱い受けるのかよ・・>
サンダーで叩き斬っただけの仕上げ、
排気効率も吸気の充填効率も考えず、
爆音出すだけで五月蝿いだけの直管。
然もアホな事に2stにもヤッてやがる。
無駄な空ぶかしでエンジン終っちってるじゃねーか…、連中はレーシングって言うんだっけか?
可哀想にな…。
恥ずかしいから止めろって言うんだよ、
物干し竿顔負けの旗棒って言ったっけ。
真似するんじゃねーよ。
俺達のはテメーらのとは違う、
社の誇りと己の尊厳を掛ける、
誓いの社旗を掲げる社旗棒だ!
正対し一般ライダーの振りして脇を通過する、
気を付けるのは<XJ>と<CBX>の二台か…、
全数通過する前にやり過ごした奴らがUターン、
粋がった奴が追って来て横に並ぶ。
「おぅ、あんちゃん彼女乗っけてツーリングかよ、俺らと一緒に楽しまねーか?」
しがみ付いた手に力が籠り震えている、もう怒りは既にレッドゾーンに差し掛かって居る・・。
「誰がお前ら見てーな屑と遊ぶかよ、サッサと家へ帰ーれ!」
「おもしれーこと言うじゃん、俺らに勝てるってかよ?」
手で合図して居る。
「ゴメンな怖いだろうがシッカリ掴まってろ、兄ちゃんを信じろ!」
返事の代わりに頷いた。
「群れてるしか能の無い奴が俺に付いて来れるかよ!」
サード6000にぶち込む、
<Γ>のフロントが浮く。
其の侭シンガリ4台の隙間を正面からブチ抜く、
馬鹿が追って来やがった、
コーナーを大台オーバーで駆け抜け、
2つ抜けたら半数以上は付いて来ない。
腕に自信が有るのか6,7台が付いて来る、
先頭は頭と副か腕に自信が有るらしいな、
距離は未だ離れて居るが追い上げて来る。
<馬鹿が!>
其処で敢えて速度を落とした…。
少しずつ間隔が縮み始め、
<追えると思ってヤガル>
笑いが漏れる・・。
<後四つ程抜ければ、アイツが「急カーブだよ!」と大声上げたコーナーだ。>
其の前の僅かなストレート入り口で追いつかせ、
残り四台<XJ>と<CBX>も居る、
二つ落しパワーバンドに入れる、
<Γ>が怒りの咆哮を上げる、
連られて奴らも速度を上げて来た。
<馬鹿が追って来た、その速度でクリアー出来るのかよ、4スト400の重量忘れてねーか?>
ギリギリの処でフルブレーキング、
同時に二つ落しパワーバンド保持す。
リリースと同時にフルパワーを掛ける、
限界を超えたリアはスライドを始める。
僅かにカウンター当てスロットルワークとリアブレーキでコントロールしフロントを出口に向け続ける。
<有難うな<XT>お前に教えて貰ったんだよこの技は…、有難うお蔭で妹を守れる…>
<此処は高速コーナーなんだよ、御前等とは格が違うんだよ!>
ブレーキングが間に合わず三台金属音と共に脱落、ふら付きながら立て直して一台が追って来る。
〈奴が頭か、可哀相になメンツなんて屑供の肩書なんぞに囚われてよ、付いて来るのは良いが命まで粗末にすんじゃねーよバーカ、元々住んでる次元が違うんだよ俺たちは!〉
〈良いぜ、さあ付いて来いよ地獄への道案内してやるからよ、後で一生後悔しても知らねーぞ?〉
元旦の夕方通行量が殆ど無い、未だ対向車とすれ違って無いがそろそろ次の街だ、車も歩行者も皆無と言う訳には行かないだろうな・・。
「怖いか?もう少しだから我慢してくれ!」
大声を上げそう伝えた。
「怖くない!、だってお兄ちゃんだもん!、あたしを何時も守ってくれるから!」
<力が漲る、俺が護りたい者を守る為なら限界も越えられる、後少しだけ頼むぞ!、<Γ>に手を触れた>
相変わらず馬鹿なメンツの為の追って来る、
時々馬鹿な空ぶかし入れながら・・・。
<俺のスロットルは閉じ気味なんだ、それをやらなきゃとっくに追いつけてる筈なんだがな…>
無用な気苦労が入ってしまった。
その無駄な意識を走りに集中しないから遅いんだよ、事故るぞ此の速度域じゃ・・。
幸い街を抜ける迄対向車は来なかった、
其の侭駆け抜け前走車が視界に入る、
約60キロと言う所で巡行して居る、
先頭に大型保冷車、
対向に乗用2台に続いて保冷4t、
タイミング的に重なる、
幅約90センチ
<行ける!>
既に大台を越えている・・・。
「しがみ付け!」
と叫び、答える様に腕に力が籠った・・。
迷わずその速度のまま突っ込む、
遥か後方でスキール音と金属音…
其の侭すり抜け走り去った、
後ろを振り帰る事はしない…
<死んじまえば良い、俺が護る者を怖がらせた報いだ、一生後悔するが良い!>
スロットルを緩め通常走行、
10分程走っただろうか、
腕から力も抜けていた・・。
もう直ぐ穴川付近、何も言わないので怖くて何も言えないのか?、流石に心配になって来た。
「ゴメンな怖い思いさせて、兄ちゃん失格だな?」
そう言い終えると背中に震えが伝わり始める。
慌てて停められる所を探し始めたのだが、
「心配いらないよ、お兄ちゃん!」
声は弾んでいる違った様だ・・。
「なんだか笑っちゃった、普通だったら怖い筈なんだろうけど・・。」
<何だ笑いを堪えて震えていたのか、心配させるなよ・・>
「やっぱりお兄ちゃん普通じゃ無かった、お片付けできないし、わがまま言うと慌てるし、お勉強出来ないし、とんでもない位情けない筈なのに、オートバイ乗ってる時は普通じゃない…。」
「ねぇ、答え辛いと思うけど聞いても良い?」
<何かトンデモ無い事頼まれるのか?>
少し身構えて仕舞う。
「あの人達も乗せた事あると思うけど、今日みたいに走った事有るの?」
<身構える程の事じゃ無かった、良かった今日の事と引き換えに何か押し付けると思ったぞ>
「嗚呼、同じコースを走った、二人目は俺を怒らせたから怖い思いした筈だ。」
「ねぇ、その後に懐かれたんじゃ無いの?その人に…。」
<あっ、又やっちまったよ、俺ってやっぱりバカだ、学習して無い!>
「あたし、自分のホントの気持ち分かっちゃった、お兄ちゃん・・・・。」
如何すんだ是、
俺また選択肢を間違って仕舞ったのか・・・?。
「ハイッ?」
恐る恐る返事をしてしまう・・。
「お兄ちゃん・・・愛してる・・・♥」
どう説得すんだ是・・・・?。
大馬鹿者です身内に掛けて仕舞った、
然も元々懐いて居る者に吊り橋効果…
本当の目的とは全くの逆効果、
あの馬鹿供を本当に恨みます。
残りは1日しか在りません!
如何したら良いと思います?
あの馬鹿供を本当に恨みます。




