握り締めた拳は白く為って居た・・。
ハンバーグ…か…。
駅を出て帰る道すがら夕食を買おうとスーパーに立ち寄る。
今日は作るのも面倒になり手軽に済ませたい、
俺も聞いておきたい事も有る。
「何が食いたい?」それは聞くも無駄だった。
「ハンバーグ!」返ってきた答えは何時もと同じ…。
<何で其処迄好きなんだろうか?、そうだ!、前に聴いた物に答えを見出した>
家族での楽しい最後の思い出が食事に行った事だ、其の時は其れを食べていた。
「10年か・・、取り戻すには時間が係るな」迂闊に声に出してしまった。
「10年て何の事?」発した言葉を聞かれた様だ、自覚が無いなら其処を手繰れば!。
「何でも無い気にするな、しかし良く飽きないな?何時も其れだろ?」敢えて言った。
「何でだろう?、いつもハンバーグ食べたいと思っちゃうの」自覚意識は無い様だ。
<無意識で家族に飢えている、間違い無いだから傍に誰かに居て欲しいのか!>
食事を済ませ聞いて置きたい事が有ると言うと
「話は後、すぐにお願い約束したよね?」
降参したよ今後の事も在るし、気が済んでからの方が良いか、
俺に出来る事で不安を取り除いて上げられるなら。
「ありがとう!、お兄ちゃん」
不安が無くなり掴まる手から力は抜けた、今なら聞いても大丈夫だろう。
「なあ、仕事は如何した、やっぱり辞めたのか?」
身震いし頷いた。
<そうか輪姦された後か、理解したもう聴くまい充分だ>
話そうとしたのを制した。
「解ってるから、言わなくて良いぞ、悪い夢を見たんだからな」
抱いた手に少し力を込めて上げたら、
体から力が抜け優しい顔に戻った。
次に聞かねばならない事、
「アパートは如何した解約したのか?」
多分連中にバレて居る。
「そのままだよ、帰って無いけど何で?」
その事には気付いていない、良かった。
「今迄何処に居たんだ?」
まさか渡り歩いてる訳は無いし?
「怖くて外に出れなくて、実家に居たよ…」
良かった最良の選択をしていた。
「じゃあアパートは直ぐに引き払おう、家賃が勿体無いだろう?」
事実を知る必要は無い。
「あたし住む所が無くなるよ?」
首をかしげ不思議そうな顔をした。
「此処で俺とずっと暮らすのは嫌なのか?」
驚いた顔をして首を振った。
「ずっと?あたしと?本当に良いの?」
でも悲しみが表情に現れる。
「どうした?やっぱり俺じゃあ役に立たないか?」
何で悲しい顔をする?。
「俺と籍を入れ名実共に家族に成るのが嫌なのか?」
また首を振り。
「あたし迷惑かけて助けて貰ってばかり、何も返せないよ返事は少し待って?」
「それは急がんが行く当ては有るのか?、何時でも家に帰れるようになったのか?」
「その間ここに置いてもらって良い?、一人で外に出れる様に為る迄で良いの」
今更何を聞いて居る?一生寄り添うと言って居るのに、なのか考えが在るのだろうか?、良い選択をする事を願うが。
「返事は急がないぞ此の儘兄妹きょだい見たいにでもいいぞ。其れこそ忌の際でも構わん俺は」
もう郷里の家族の元へ帰れないんだ、誰に気を使う必要も無い、其れで良いかもしれない。
この娘と係わった時点で全てが変わって仕舞って居る、此の先二人で背負って行けば良い。
「ありがとう、お兄ちゃん。そうかお兄ちゃんの儘でも良いんだね、兄妹だって家族だもんね。でも抱きたくなったら何時でも抱いて、抱かれたくなったらあたしも抱いて貰うから。もし赤ちゃん出来たら其の時には、お嫁さんにして貰うから♥」
そう言ってお腹を摩って居た。
「今度はちゃんと産んであげるから、待ってるからね…」
横顔は母親の顔をしていた、もし出来なくても構わない傍に居てやろうそう思って居たが、恥ずかしそうにしてる眼がねだってるホントに駄目な妹だ。
翌日からは今迄通りに過してる、少し違うと言えば学生じゃ無いので一日家事をして留守番して居る事位だろう、一人で居る事が不安な事は今も変わらない、俺が一日着ていたシャツを翌日着て居る事位か。
其れで安心して留守番出来る、でも未だ一人で外出する事は出来ない、時間が解決してくれる事を祈ろう。
日勤乗務で朝9時からの乗務、三茶に在る作家さん宅へ向かい雑誌用の原稿を回収、其の後一息ついて居た。昼を少し回った頃にインターホンでお呼びが掛かる。
デスクの元へ急ぎ階段を昇り行先の案内と概要受ける、行先は船橋署で先行で記者とカメラは既に出ている。
勿論締めの時間はまだまだ先で急ぎの乗務では無かった、概要を聴き嫌な予感がした。
婦女暴行犯が検挙されたらしい、内偵入れて逮捕に至った様だ。
余罪も有り複数犯での犯行、主犯格の自白で芋蔓式に粗全員が特定され、本日検挙と為った。
逮捕の切っ掛けは被害者を車で拉致しようとした所を警らのPCに見つかり現行犯逮捕。
未遂では在ったが自白内容で複数の余罪を認める、例の大学生の事件を真似た模倣犯。
俺が行く事に成るとは本当にツイて無い。
到着する頃に確保した者を移送した車両が到着なのか…、俺はそいつ等をを目にして正常で居られるのか?
自分自身に問い掛けるだが自身の心からは何も返って来ない。
仕事と割り切りスタートするがラフな走りと為って行く、本社を出てから日中の京葉道路の一般道部を大台越えて走って居た、心の中から込み上げて来る、沸々と怒りの炎が…。
「邪魔だ、俺の前から退きやがれ!」
大声を上げて居た、其の侭花輪出口迄専用道路部分では大幅に大台越えて居たが素直にΓは俺に従ってくれる、俺の怒りを受け止めるかの様に・・・。
船橋署に到着、此処は例の夜間高校の直ぐ裏手。
此処は通い慣れた路、カメラは既に到着して居るが他社のプレスは未だ誰も到着して居ない、確保された犯人を乗せた車両も未だ到着して居ない。
「随分早い到着だね未だ何処も着て無いよ、移送車も来て無いから結構待つよ?」
「了解!」
カメラマンに言われ、フルスモークのバイザーを上げずに了解したとだけ伝え待機する。
訝しがっていたのは間違いなかったが、犯人と俺の繋がりは想像出来ないだろうし、俺の怒りの顔も見えては居ない筈だろう・・・。
他のプレスより先に赤色灯の付いたキャラバンが到着、確保した者を乗せた車両。
ドアが開き、各社のフラッシュとモードラの巻き上げる音が続く。
「此奴らか!此奴らなんだな!」
抑えられず声に出して居た、握り締めた拳は白く為っていた・・・。
記者の怒号とシャッターとモードラの音で俺の声は搔き消されてた・・・。
仕事なのだ、俺の仕事なのだと自分に言い聞かせ続けていた・・。
是が俺の仕事なのだ…




