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カッペが遂に大都市東京を走る?  作者: カビゴンと一緒


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塗り替えて記憶も全部!

 

 田舎より帰郷の催促の連絡が有る、

 仕事を理由に帰れないとだけ伝えた。


 チビ供へのプレゼント、

 親父達への土産を送ると伝えたが、

 勿論俺の想像通りの答え。


 そんな物は要らぬから顔を見せろと言われてしまう当然だもう何年が経つ…。

 残念だけれど俺は大手を振って故郷に帰る資格を失ってしまった。


 俺が公言しない限り誰にも気付かれる事は無いだろうが…、

 どんなに上手く繕うとも自分自身を騙す事は出来ない。


 あの敬虔な人が占めている中に俺が交じって行く事を自分自身が許せない、



 そして耐えられそうにも無いよ…。



 自分自身でも解ってる俺は絹漉豆腐並みの弱くて、

 弱くて、

 良い事は良い悪い事は悪いとしか言えない田舎者…、

 そしてそれを呑み込めない、

 大人に成り切れ無いガキだから・・・。


 俺は自分で悩み、

 悩み苦しんだ上で選び、


 故郷を失ったのだから…。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 二日目今日は出勤せねば為らない、手術は明後日、痛みも落ち着き平常で居られる様だが、時折出血して居る様だ、明日も日勤業務、夜は飛ばせば21時には帰れるだろう。


 メンテ出来なかったΓに乗るのは不安が有ったが、多分別の原因が元なので今日は機嫌良く走ってくれる事だろう。



 体調よりも精神面でのダメージが大きいこの子は大人しく横に為って居ると言っている。


 今は其れを、

 其の言葉を信じよう。


「行ってきます…」

 親猫の傍で眠る子猫の様に安心頻った寝顔、

 其れを見てしまった…。


 昨日の不調を払拭出来なく少し早めに家を出る、

 昨夜の件も有り俺も余り眠れていない、



 気を付けねば…。



 普段なら何て事も無い事のはず、

 左の敷地に入ろうとしたトレーラーのトラクター部が俺に気付かずに、

 煽りハンドルを切り右へ大きく張り出す。


 気付いた時には遅かった<ぐにゃっ>という音がした気がする…、

 狙ったように左太腿にピンポイントでトラクターヘッドのバンパーが入る、


 車体外面での接触は皆無転倒すらしていない。


 左足に鈍い痛みを感じたが其れ以外の外傷は無く、こんな時に警察沙汰は面倒だと物損事故で処理する事に為り保険屋との交渉で済ませた。


 車体側は左足に押されたタンクが少し変形し、

 俺には今も戻らぬ筋組織の変形が残る、

 <Γ>は直ぐに部品を手配しタンク交換へ。


 注意力散漫で走ったツケである、

 其れ以外の問題は無く其の侭業務に着いた。



 遠出の仕事が多く然しかも渋滞の首都高ばかり、

 でも<Γ>は素直に言う事を聞く。



 今朝酷い事をしたばかりなのに、

 まるで気にしないとばかりに俺の予想するラインをトレースする。



 渋滞の中大台越えて走り続け、

 全てをオンタイムで処理し続けた。


 乗務も終わり帰途に就く。


 機嫌が気に為るが日中より少し吹けが鈍い気がする、

 其れ以外<Γ>は大人しく言う事を聞いてくれた。



 本来なら今日の帰りはチビの予定である、

 近場の業務が無く出番もなく又お留守番。


 此方も不機嫌に為らなければ良いのだが・・。


 太ももに鈍い痛み走るが打撲と同じだ直に痛みも引くだろう。


 明後日の業務は申請し休みを頂く、

 その次が休み番の為連休となり何とか時間が稼げた、

 明後日は施術の日。

 時間は朝一番で数時間以内に問題無ければ、

 翌日子宮口の閉じ具合確認して終了と為る予定。


 ただ無傷とは行かない。


 次の子供が出来にくく為る覚悟をする様に伝えられ、

 本人が一番ショックを受けていると思う、

 其れが柊が背負って行く十字架と為る、


 命と引き換えだ仕方ない。


 自宅に明かりが灯って居る、

 前は有難かったが今は気が重い、

 同じ風景がこんなに違うとは思いもしなかった。


 到着しドアを開ける。

「ただいま」

 腹を摩りながら歩んで来る。

「お帰りなさい」

「起きても大丈夫なのか?」

「少し疼く位だよ、生理の時位」

 答えが帰って来た。


「ご飯の後にお風呂入ろう!」楽しそうに言った。

「何言ってんだ、風呂は駄目だと言われたろうが!」

「間違えちゃった、ごめんなさい、シャワーだけ!」

 慌てて手を振りだした。


 入浴は不可だがシャワーは可だ良いか其れ位、

 多少でも不安が和らぐなら付き合うか。

「シャワーだけな!」

 笑って上げる。



「お兄ちゃん、全部洗ってね」

 全部かよ?手間のかかる奴と思ったが少し違っていた。


 頭を洗い濯ぐ時に気が付く、良く見ないと薄くなって気付かない位の背中と肩に痣の跡、腰にも在る、続けて体を洗ってあげると同じく胸にも。


 腕を洗ってあげる、

 右手首其処にはためらい傷が幾つもある。


 コイツ左利きだったな、胸が締め付けられ息苦しくなる。


「どうしたの、お兄ちゃん?」

 俺を見上げのぞき込む顔が有った。

「嫌、何でも無いぞ、妹って手間がかかると思ってな」

 胸を洗うため手が振れると一瞬身が竦んだが直ぐに力が抜け安心した顔に為る。


「こっちも洗って」脚を開く、

 同じく竦み脚を閉じたが直ぐ力が抜けた、

 安心したように身を任せていた。



「やっぱりお兄ちゃんの手だ、この手はいつも優しいんだよね、バカだねあたしこの手に優しくして貰ったのに忘れる何て、ホントにバカ…」


 また目を潤ませていた。


「お兄ちゃん、あたし綺麗に為った?」

「嗚呼、綺麗に為ったぞ、未だ何処か洗い足りない所があるのか?」

 首を振った、震えているのか?、手を合わせて握り締め指先は白く為って行く…。


 その眼は逸らす事無く俺の眼を真っすぐ見つめている。


「お願い、このまま抱いて」

「待てそんな事できる訳無いだろ!」

「あたし全部汚されたの、でもお兄ちゃんに今綺麗にして貰ったから、お兄ちゃんで全部塗り替えて欲しいのあたしの記憶を!」



 <同じ事を言われた覚えが有る、そう言う物なのか?、其れで良いのか?>

 其れで悠美は喜んでくれた、今回も同じなのか? 


 それは柊にしか解らない。


「お兄ちゃんに包まれて居たい、其れがあたしのお願いなの!」

 もう何が正しくて、

 間違っているのかも解らなくなって居る、


 望まれるままで良いのだろう。


 なんでもやってあげよう、

 心の傷が癒えると云うのであれば・・。


望まれる儘に。

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