もう帰れない
今度いつ帰るかって?
『 ※※※ 少しだけお知らせです ※※※
この回には、少し重たい内容が含まれています。
人の弱さや恐怖、望まれない妊娠の話題、
医療処置の描写などが出てきます。
物語として必要な場面ではありますが、
読む方によっては心に負担を感じるかもしれません。
どうか無理をせず、
落ち着いた時にゆっくり読んでいただければ嬉しいです。』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
時々無性に聴きたく為る二曲が在る、
郷里へ送る心の便りその物です。
少年の遠い地への憧れ、
都会で傷つき心が折れてしまう青年、
それでも都会で生きて行くと大人へと変わって行く。
<思えば本当に遠い所に来てしまったんだと懐かしむ姿>
ホントにそう思う、また郷里から届いた便りで・・。
一応身体も元気だ何とかやって居るよ、
街には多分一生慣れる事は無いだろう、
取り敢えず友達らしきものは出来た、
寂しいか?其れは寂しいさ、
今度いつ帰るかって、
多分一生無いと思う。
此れが俺からの郷里への便りの答えに為ると思う、
多分今判って居る範囲での答えに為るだろう。
ゴメンな悪い兄ちゃんで、お前たち弟妹に顔も見せてやる事も、大きく為ったお前たちを見る事も出来なく為った。
親父にお袋も世話に為った親父さんにも、お世話に為ったお礼も直接言えなくて・・、
本当に申し訳ないと思って居ます。
㎰カッペより
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
俺の腕の中で時折ビクつきながら小さな寝息を立てている。
この娘がバカな事をやって目を付けられて居たんだと思う、
其れは本人の行動の結果それは自業自得とも言えなくはない。
恐怖でしか無かったであろう事と、
その恐怖を与えた者の子を孕み、
生れて来たその子を見る度にその恐怖を繰り返し与えられる、
それは別物で在ろうずっと考えて居た。
書類に俺の名を書くだけの事。
作業としては簡単な事なのだが如何しても其れを心が拒否をする、
輪姦に遭った可哀相な子を助ける為に行うなら正当化されるのでは?
此の作品最初からお読みになった方はカッペが何処から此処へ来たのか、
カッペは敬虔とは恥ずかしくてとても言える物じゃない、
不信人なカッペですが根底に在る物は中々変わらない。
汝姦淫するなかれ、
不貞をはたらく無かれ、
命を奪うなかれ、
罪を犯すなかれ、
いい様に解釈するならば、
恋人同士に夫婦で在れば何の制限も無い、
<生めよ、増やせよ、地に満ちよ>ですから。
ただカッペ意識の中で葛藤する相反する言葉もある、
罪人を許したまえ…。
其処がカッペがサインする事を拒ませる心のブレーキ、
此れが中々強力でカッペの手が止まってしまう、
この子は此処に在る3つに反して居るのです、
でも罪人を許したまえも存在する。
如何すれば良いのか答えが出て来ない、
この瞬間も少しずつ育ってゆくもので在るから時間も残されてない、
普通の方はこの書類一生目にする事は無いだろう。
先ずあってはならない、
犯罪被害者と母体を救うためと、
後此れが一番悲しい事なのですが、
夫婦、恋人同士で望まれた命、
奇形と言う運命で生れ出でても、
生命其の物を持たずに授かった子、
こう言う場合に選択されるものです。
俺は一番最初の物に不幸にも当って仕舞った、
ホントに一体全体前世でどんな悪行を行って来たのだろうか?
腹は決まりました、成人以上でお腹の中に居る子の父親としてサインをする事が求められています、郷里に顔向け出来なく為りますが今この腕の中で安心して眠る姿を見てしまっては…。
拒否する選択肢は何処にも残されていない…。
御免なさい、
私に教皇様と同じ名を呉れたのに、
とんでもない罰当たりです。
そして私が帰る事を楽しみにして居てくれる方達、
もう貴方達の処に帰る事が出来ません。
今迄育ててくれて有り難う御座います、親不孝な息子の事は忘れて下さい。
大きなバイク事故で死んでしまったとでも思って下さい。
若しくは最初から居なかったとでも思って下さい。
今迄碌に眠れていなかったのだろう、
安心しきって眠るこの子を見ながらサインを記入し捺印した。
此れで全ての葛藤が終わる。
もう葛藤も何もする必要が無く為った、
多分自分の中で人を殺してしまったと一生残り続けるのだろう、
不幸にして授かったこの子の御霊が救われますように。
此の子自体に罪は無いのですから、
全て俺の選択ミスから起きて仕舞った事…。
日が昇り二人とも酷い顔してとても表にでれる顔じゃない。
久しぶりに二人で入浴し小奇麗に為り、其の侭病院に連絡を入れる。
今日15時に診察兼準備の処置の予約、二人で診察室にて説明と前処置を受けた。
要は子供を流さぬようにきつく締まった子宮口に楔を入れ、
楔は水分を吸収し膨らみ物理的に開かせる物、かなりの痛みを伴う。
本当に可哀相な位痛みに苦しむ。
医師の説明は予期せず身籠ってしまったカップル等に戒めを込めて行う説明、
だから両者立ち会い説明を受ける。
今回は大事にしない為俺の子で経済的理由で育てられないと…。
一旦自宅に帰るがかなりの痛みを伴う様だ、痛み止めを処方されて居るがあまり効果は無い様で、定期的に痛みが襲い藻掻き苦しむ。
「如何なっても良いから、抜いて、外して」
と縋りついて来る。
無理な相談で黙って見守るしか出来ない、目を離すと指を入れ掻き出そうとする始末、物凄い力で抑えるのがやっと…。
個人差は有るようでこの子は体が小さいので余計かも知れない。
夜半に痛みはある程度収まって、俺にもたれ掛かり安心して眠る姿に是が夢ならば…、
何度も繰り返し、俺はやっと意識を手放せた…。
ご勘弁ください。
まだ若い方やその年代の子供を持つ方にも知って居て欲しい、命を奪う事の重さ、続きを書きます。
御容赦下さい。
多分一生無いと思う。




