俺を形作る郷里
震えが止まらない。
土産は何が良いだろう?
弟は今流行りのゲーム機かな?、
あの町じゃ手に入らないだろうし、
妹は浦安に在るぬいぐるみかな?、
親父には美味い酒か?好きだからな、
掴み処の無いお袋には・・何だろう?・・。
頭の中には二つの曲のフレーズが繰り返していた
案〇子と思え〇遠く・・、遠くに有りながら何時も傍に在り俺を形作る郷里。
今度こそは皆の顔を見に行こう!、
そして喉が枯れる迄話してこよう。
必ず帰って皆の顔を見て笑い、
次の話のネタを手に入れに此処に来る、
そのネタを言葉にして届けに行こう、
其れを延々と繰り返して行く!。
*****
「名前書くだけで良いから、他は全部あたしがするから、お願いお兄ちゃん」
泣きながら訴えて来る、
震えも止まらない。
息も速く荒いコイツ大丈夫なのか?
何が…?、嫌、駄目ださっき関わらないと自分で言ったじゃないか!、聞くな!、見るな!。
そう自分に繰り返す、見ては駄目だと自分に言い聞かせて居るのに…、柊がピンク色の封筒を持って居る事に気付いてしまう。
普通A4の書類が入る封筒は茶かブルーだ、何でピンクの封筒なんだ…?
だから見るなと言って居るだろう!、
自分の中で自分の言葉が葛藤する。
震える手で差し出す書類は端から湿り始める、
こんな書類に何でこんなに追い詰められて居る、
何なんだコイツは?。
駄目と判って居ながら受け取ってしまう、
まるで柊の震えが遷様に手が震え始めて居た。
「是は本当の事なのか?」
思わず言って仕舞った、関わらないと決めたのに。
其れは全て吹き飛んだ、恐る恐る差し出されたピンク色の封筒、表には柊の名前と其処の名称が書かれてる、中を確認し証明書と手帳の交付方法、受け取り場所、そして解り辛いモノクロのプリント。
其処には2cmに満たない小さな命が映って居た、
でも何故泣いた上此処に来る、
行くのはこの子の父親の処だろうに?。
「如何して此処に来た!行く場所が違うだろう!」
思わず口調が強く為って居る。
何時かと同じ、口は開こうとしているが音を発する事は無かった。
時間の無駄か?…。
「前と同じで色んな奴とやって誰の子か解らんのか!、命を玩具にしやがって!」
俺の声が荒く為り大声に為って居た、
身を竦めて震えているが唇が動いた。
「ちがうの、ちゃんとして貰ってたの、出来る事は無かったの!」
矛盾している。
「お兄ちゃん以外に貰った事は無かったの、今迄は…」
えっ・・?。
どう計算しても合わんだろ?、
幾ら馬鹿でも此奴だって判って居るだろ?
んっ?
今迄ってなんだ?。
奪うようにもう一度最初の紙を読み直す、
<堕胎申込書と間違いなく書かれている>
母親の処には既に此奴の名前が記入されている、如何してあんなに子供を欲しがって居たのに?
行きずりだからか?
そんなので許される訳が無い!
其れは母親の此奴の責任で子供に罪は無い!
此奴が其の十字架を背負って行けば良いだけだ、
そんな事で命を奪って良い筈が無い。
「ふざけるな!、お前が罪を背負えば良いだろ!、解って居るのか人殺しだぞ!」
大声で怒鳴って居た、
さらに小さくなって
「ごめんなさい」
を繰り返していた。
ガタガタと震え歯も音を立てていた
「ごめんなさい」も止まない。
15分程放心して居た、
怒鳴った事で俺の馬鹿さも解って来た、
何故あの時一緒に為らなかった?、
一緒に住めば良かっただけじゃ無いのか?、
抑々此処から通わせれば良かっただけじゃ無いのか?、自問自答を繰り返していた。
さっき迄血が昇って居た為正常に判断出来なくなっていたが、こいつの言葉に不可解な単語が有ったのを思い出す。
「おい、避妊して居たと言ってたな?、間違い無いのか?」
怯えた眼をして頷いた。
「じゃあ、何で妊娠するんだ!、訳が分からんぞ」
ガタガタと震え始め泣き叫んだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい。あたしが悪いの、お兄ちゃんが最初に危ないって教えてくれたのに、馬鹿にしてちゃんと聞かなかったから、怖かったよ、怖かったよ!」
更にガタガタと震え、
息が早く為り過呼吸に為ってしまう、
不味い此の侭じゃ危ない、
手近な所で袋を探すが、
頭が入るほどの物が見つからない、
やばいひきつけ起こすぞ!。
両手で顔を強く挟んで眼を開かせ見つめて
「落ち着け大丈夫だ、俺が居る」
と伝え口を重ねて呼吸の換気を抑え込んだ、
瞳に光が戻り徐々に呼吸も落ち着いた。
<切り抜けた>と安堵し抱いた腕を放そうとしたが、しがみ付き離れない。
「怖かった、お兄ちゃん、怖かったよ!」
を繰り返す怒鳴ったのがよっぽど堪えたのかと思って居たが、次の言葉で否定された。
「男の人が恐い!、みんな怖い!、お兄ちゃんだけが優しいのもうお外に行きたくない!」
何が有ったか解ってしまった。
在る有名大学の馬鹿共が、
集団でレイプした事件が有って日も浅い、
きっと模倣犯…。
必ず出てくる輩が居る、
ただ刑が余りにも軽い、
直ぐにシャバに出て来る。
なのに事細かく被害者に証言させる、
この国の警察組織もおかしい、
そんな事を被害者が言える訳も無い、
証言が乏しく立証も難しい、
その場の被害者が行われた事、そいつ等の人着、特徴など覚えて居る訳無いだろうが!
本当に腐ってやがるこの東京と言う大都市は…、
ただ声を掛けて上げるしか出来なかった、
「柊ゴメンな、守って上げられなくて…」
其れしか俺は言えなかった…。
何処かでピシッと硝子にヒビの入る音がした…。
必ず出て来る模倣犯…




