表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/9

もうひとり


 多分、変身魔法で雪斗くんの姿になっているんだろう。こんなにそっくりに姿を変える方法を、私は変身魔法くらいしか知らない。


 この……偽物の雪斗くんはどんどんと森の奥へと進んでいく。

 どこに誘導しようとしているかわからないけど、目的地に着くまでに逃げなきゃ。

 ……いや、本物の雪斗くんの助けを待つべきなのか?でも、そんなことありえないとは思うけど、雪斗くんがすでに捕まってたら――?


「疲れてない? そろそろ着くからね」


 ぐるぐると考えて何もできないうちに、偽物の雪斗くんは振り返ってそう言った。


 もう着くの!? まずい、早く逃げないと。


 髪につけていたバレッタを取り、気づかれないように魔力を込める。白いバレッタの先端から、パチパチと小さく火花が散った。

 これをあの人に当てるのか……いや、魔道具だけど、スタンガンくらいの威力だから、痺れるだけで危なくないって雪斗くんが言ってたし。それに、万が一私の予想が外れていても、雪斗くんならこんな攻撃不意打ちだろうが避けられる。


 私は足遅いし、体力もないから普通に逃げたところですぐ捕まっちゃう。だから、ちょっと申し訳ないけど、これで痺れてもらうしかない。


 意を決して相手に近づき、背中に押し当てる。その直前、何かに弾かれたように、バレッタが地面に落とされた。


「え……?」


 スッと地面に落ちたバレッタを、偽物の雪斗くんが拾う。


「危ないな~」


 拾い上げたバレッタをくるくる回してみた後、その人は目を細めて私を見た。


「やっぱり、バレてたかぁ。うーん、けっこう上手くできてたと思うんだけどなぁ」


 探るような視線が突き刺さる。


 やばい、どうしよう。


 頭の中が真っ白になる。

 どうしよう、失敗した。バレッタも取られてしまった。逃げなきゃ、でもどうやって……


「危害加える気はないから、そんなに怖がらないでよ」


 そう言って、その人は軽く両手を挙げた後、「あ、これも返すよ」とバレッタを差し出してきた。

 おそるおそる差し出されたバレッタを受け取る。攻撃も捕まえもせず、ただただバレッタが返された。


 どういうこと……? 何が目的なんだ?


「私を、人質にするんですか……?」


「んー、人質ではないかなー」


 「なんて言ったらいいかなぁ」とその人は右のこめかみに指を当てて首を傾けた。緊張感のないその態度に、こちらも気が抜けてしまう。

 なんなんだこの人は?


「……あなたは、一体何者なんですか? なんのために、雪斗くんの姿に……?」


「あぁ、ごめんごめん。まだ名乗ってなかったね」


 その人はそう言った後、白い光がその人の体を包み込んだ。

 次の瞬間、目の前に銀髪の美しい青年が現れた。海のような深い青い瞳がゆるやかに細まる。


「俺は3代目勇者のユミル=ルーシア。よろしくね、ミユちゃん」






 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ