25. 追加作戦決行
廃墟徹底浄化及び仲間の敵討ち作戦は無事に終わったのだが。新たな情報を手に入れてしまった。
バカ者だった、殺された冒険者の敵だった魔人の男によって。しかも詳細に、それなりに。
人間を狩る事に生き甲斐を感じている他の魔人の存在、その大凡の場所、大体の能力まで。
やはりスキルなどの能力は他者に話すべきものではない。これも強く心に刻んだ所長だった。
やはりたまにはこうして外に出るのもいいものだな。なんて思ったりもしていた。当然フレッドには分からなかったが。
フレッドの気持ちも確認し、追加で作戦を決行する事となった。
思ったよりも早く方が付いてしまった事。思ったよりもその場所が近かった事。フレッドも魔人は早めに処理すべきだと思っていた事。勿論、人間の敵である魔人は。と続くのだが。
既に処理した男が言っていたのだからいいのだろう。人間を狩る事に生き甲斐を感じている魔人など、敵以外の何ものでもない。所長も勿論同意見。
ならば行くしかないだろう。人間の為に。
少しの食事休憩を取り、行動を開始した。例によって身体強化で走りを加速させ。途中で何度か休憩を挟みながら進んで行った。所長からの提案という形で。
今回はより慎重に進む必要もあったので、そこまで辛くはなかったみたいだが。数が数だけに、全員が集落にじっとしてるでもないのだろうから。近付くにつれて警戒は強めていった。
しかし、バカ者のお陰で、警戒方法も、罠の避け方も分かっていたのだから有り難かったのだが。
今回はこちらから攻める番だ。容赦はしない。既に全員敵認定。見付け次第即処理。
そういう事でゆっくり進んで行った。出来る限り透明なゴミ箱を展開しつつ、その中を移動し、またゴミ箱を設置して進む。これの繰り返しだった。いつ何があるか分からなかったから。
最大処理容量が10m×10m×10m(縦×横×高さ)あるのだから問題ない。一瞬の隙は出来てしまうが、それも別のゴミ箱を設置する事で回避出来る。
少しだけフレッドが手間を掛けるだけの事。所長と2人だけだったからこそ良かったのかもしれないが。少数精鋭。フレッド1人でも戦力としては十分なのだが、そこはそこ。
やはり戦略においても、スキルの使い方においても、年の功。いや。これまでの経験に勝るものはなく、フレッドも良い経験をさせてもらう事になった。
更なる無敵の化け物を育ててしまった事になるのだが。フレッドが敵になるなど考えられなかったのだから仕方がないだろう。この時は。まだ。純粋で素直で大切な特別職員。それがフレッドだったのだから。
『遠目』のお陰で角の有無は直ぐに確認できた。もしかしたらがあるかもしれないのだから、フレッドも出来るだけ確認はするようにしていた。
無差別殺人なんてしたくもないし、明確に敵認定できなければゴミ処理は効果を発揮してくれない。そういうものだったから。
バカ者の男が言っていたように、そこは魔人族だけの集落だった。だから早かった。
1人、また1人と魔人が消えて行った。いつの間にか。
フレッドだけでなく、所長もそれなりに気配を遮断できていた。魔道具によってだが。普段は物凄い存在感を出しているだけに、そのギャップの効果は凄かったのだが。今はいいだろう。
だから発見もされ難かったし、まさかここを襲撃されるとは思ってもいなかったのだろう。
それなりに警戒線もあり、見張りも、罠も設置されている。この集落の人間でなければ、いや。魔人でなければ容易には辿り着けないようにもなっていた。それなりの身体能力が必要とされる環境にあったのだから。
当然、所長もフレッドも身体能力は高く、ものともせずに進んだ。バカ者のお陰で安全で容易に進めるルートが全て分かっていたからなのだが。
こうして、おかしい。仲間の気配がどんどん消えて行っている。そう気付く頃には全て終わっていた。
まさかという思いから、この集落の中ならば安全だとの思い込みから、まさか仲間が瞬間的に殺されているとも思えない。その油断が命取りだった。既に遅かったのだが。
家の中に居る者は後回しにされ、目視できる魔人を優先して処理。後は家ごと処理。細々と暮らしていた魔人族の集落だ。大した建物はなかった。
それこそ、最大処理容量10m×10m×10mのゴミ箱に収まらない家などほぼ無かったのだから。
これも所長の作戦勝ち。恐らく、フレッド1人だったならば、のこのこ出て行って話し掛けていた事だろう。それでも対処は出来ただろうが、要らぬ攻撃は受けていた可能性は高かっただろう。
姿を消してしまえる能力があったくらいだ。まだどんな能力を隠し持っているかも分からない。あのバカ者には話していない能力もあるはずだ。
精神攻撃系の魔法もあるのだから、それこそ見ただけで呪い殺せてしまうとかあるのかもしれないし。目を合わせると石化してしまうとか。それに、フレッドならば、話し方次第では容易に操作されてしまうかもしれない。
だからこその攻撃方法だったのだが。当然、フレッドはそこまでは考えてなかったし、1人だったならば、実際にのこのこ出て行っただろう。今更だが。
結果として終わった。人間を狩る事に生き甲斐を感じている魔人の集落は無くなった。物理的にも。フレッドのゴミ処理によって。
とある家の中には、人間の物と思われる頭蓋骨がずらりと並べられていたり、吊るされていたり、他の骨が元の形に組み立てられていたり、山積みになったりもしていた。
フレッドによって、冥福を祈りながら処理された。それしか出来なかったのだが。
家の数と、フレッドが処理し、回収した魔角の数が合わなかったから。勿論、角の数は2つ魔人も居たのだが。それもしっかり確認している。所長によって。
だから暫くこの場に潜伏し、集落の外に出ているであろう魔人の帰りを待ったりもしていた。フレッドのゴミ箱の中でまったりしながら。
相手を油断させる為じゃなく、迷彩色のゴミ箱で森に溶け込ませていた。どれ程の効果があるかも知っている。確認したのだから。お互いに。
そこにあると分かっていなければ、初見ではまず分からない。ゴミ箱の中で大声出したり騒いだりしなければ。
だから余裕で待っていられたのだが。まったりと。
そして、日が傾いて来る頃にはやって来た。
直ぐに異常を察知し、鬼のような形相で。
「これはどういう事だーっ!!」
それだけ叫んで消えた。フレッドによって処理されて。
「なっ! 家すらも無くなっているではないか!」
「俺は帰る場所を間違えたのか?」
これで終わりだった。家の数よりは多い個体数となったが、中には一緒に暮らしていた者もあったのだろう。家族であった者も。まだ小さな魔角もあったし、それなりに大きな魔角もあった。
それでも念のため、一夜をここで過ごしてから町へ戻る事にした。勿論、ゴミ箱部屋があるのだからそれなりに快適に過ごしながらではあったが。
結果は変わらず。昨日の3体の処理で終わりだった。
「よし。では帰るよ。お疲れ様。フレッド」
「はい。お疲れ様でした。所長」
これからまたお疲れ様の大移動が始まるのだが。少し走り出してから気が付いたのだった。所長が。
英雄達は帰還した。
途中で色々あるにはあったのだが、勿論無事に帰還。
ひと言で言ってしまえば、所長が大いにストレスを発散した。そういう事だった。
何度か休憩を挟みながら進み、昼休憩の前には再度の現場確認と銘打って。たっぷり昼食の時間も取り、おやつ休憩、再度の現場確認、現場確認、早めのゆっくりの夕食、再度の現場確認と。
何度も所長からの提案で休憩を挟む事になったのは行きと同じ事だったのだが。魔物の殲滅は所長の担当。こう決められていた。
魔人族の件では何も出来なかったから。という理由だったのだが。フレッドからすれば全く問題なかったし、楽しそうに叫びながら魔物を殲滅させている所長を止められる者など何処に居ようか。
当然、フレッドには出来るはずがないし、そのつもりもなかったのだが。
やはりフレッドとの遠征は快適で楽しかった。それが所長の率直な感想だった。
魔人族の家の中では見たくない物まで見る事になってしまったが、やはり危険な存在であった事を再確認できた。収穫も大きく、成果も十分に上げる事が出来た。
あれで全てとは思ってはいないが、それでも人間を狩る事に生き甲斐を感じている魔人は減らす事は出来た。
こちらも警戒の目を緩める事なく強化しなければ。更に気を引き締める事になった作戦だった。
そう。そもそもの作戦は、廃墟徹底浄化及び仲間の敵討ち作戦だったのだから。それを忘れてはいけなかった。
読んで頂きありがとうございます。
21日目にして、『85』PV。
やはり昨日は一時のものだったのでしょう。
こんなものです。
くっ、衣替えは既に済ませてる。
これもくっころ。私は負けません。




