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23. フレッド出動



『廃墟徹底浄化及び仲間の敵討ち作戦』


 これにフレッドも参加する事になった。勿論、しっかりと説明はあり、その目的も、それなりに危険である事も。もしかしたら死んでしまうかもしれない事までも話された。


 それでもフレッドは参加する事にした。自らの意思で。


 同じような悲劇を繰り返さない為にも。また、自分を頼ってくれる事も嬉しかったのだ。フレッドにとっては。



 この時点でこの町の最高戦力と言ってもいい位に成長しているのだが、レベルや能力から言っても。


 ただ、そうは言ってもまだ14歳。経験という事で言うなら、まだ1人で何でも的確に判断できるでもない。相手が未知のものなら尚更に。そして対人戦においても甘さはある。


 敵認定するまでの時間が掛かり過ぎるからなのだが。本人はそうは思っていない。



 しかし所長や副所長はその辺の所までしっかり把握しており、サポートは必要だと考えていた。だから行く事になったのだが。珍しく、所長自らが。


 更なる成長を遂げたフレッドの能力を確認する為でもあるが、久し振りに外で暴れられるかもしれない。そんな気持ちもあったのだが、それはフレッドには知る由もなかった。当然だが。



 仲間を殺られてしまった冒険者の男から大凡の場所は聞き出し、次の日には出発する事になったのだった。一刻も早く動くべき。そういう判断だったからだが。


 

『廃墟徹底浄化及び仲間の敵討ち作戦』と言っておきながらも、たった2人だけでの出発だった。


 男の話からするに、大勢で行ったからといって逆効果かもしれない。悪戯に犠牲者を増やす必要もない。ベテランの冒険者が3人も簡単に殺られてしまったのだから。


 そういう判断だった。そこは責任者でもある所長自らが立つ事で示しをつける。勿論、そういう意味もあったのだが。フレッドには特に問題はなかった。


 やる事は変わらないのだし、能力全開で動けるのは所長か副所長の前だけ。そういう事になっていたのだから、その方が有り難かったりもしたのだが。



 そして盛大に見送られる事もなく、所長とフレッドの2人は、後ろ姿はまるで親子のよう……。ではなく、姉弟のような雰囲気で町を後にするのだった。




 冒険者組合事務所所長の肩書きは伊達じゃない。


 身体強化を掛けて走るフレッドのスピードにも事も無げに付いて行った。余裕の顔こそ無かったが。大人の意地もあったようだが。所長の意地、女の意地もそれなりに。



 フレッドは毎日のように森に入っていたのだから当然に慣れている。一方の所長は、事務所での忙しい毎日。勿論訓練はそれなりにしていたが、フレッド程ではない。


 所長なのだから当然に。仕事、年齢、立場、付き合い、家庭もある。それは仕方のない事だったのだ。一応、所長をフォローしておくと。


 当然フレッドはそんな事は知らないし、気にもしていなかった。流石とも思っていなかった。フレッドにとってはこれが普通なのだから。



 途中で何度か休憩を挟みながら順調に進んで行った。


 昼休憩の前には現場確認と銘打って。たっぷり昼食の時間も取り、おやつ休憩、現場確認、現場確認、早めのゆっくりの夕食、そして現場確認と。何度も所長からの提案で休憩を挟む事になったのだが。



 夜営の準備はフレッドのお陰で楽だった。予めゴミ箱部屋を2つ用意しただけ。フレッド用と所長用。


 現場確認という名の休憩後に、それを少し隙間を空けて設置するだけ。眠るだけなのだから火を起こす必要もない。絶対障壁にもなるのだから安心して寝られる。それは所長も確認済みだった。


 フレッドと共に何かと確認した事もあったから。どこまで堪えられるかを。何が出来てしまうかを。フレッドが思いも付かなかった事まで確認できたりもしたのだが。それはまた別の話。



 今回の野営では、フレッドの『生活魔法』の異常さを確認する事が出来た。所長が、だが。フレッドは普通に使っていたのだが。それは普通の生活魔法ではなかったのだ。


 そもそも生活魔法は、10歳になると誰でも使えるようになる便利な生活用の魔法。


 魔力量によって使用回数に個人差があったりはするのだが、言っても生活魔法。そこまでの威力はないし、そんな使い方をする者など居なかった。所長の認識では。それが生活魔法という普通の認識だったのだが。



 フレッドは、他の属性魔法も使えるようになっていたのでそうなった。そう認識される事になっただけの話だったのだが。属性魔法は使っていなかった。フレッドの中ではこれが普通の生活魔法だった。



 フレッドの『ライト』は、ただの『灯り』ではなく、飛んで行く。『ライトアロー』とでも言うのだろうか。当然攻撃力などはない矢なのだが。


 光の玉を四方へ飛ばし木々に固定。燃える事もなく、周囲を照らす外灯となっていた。


 本来は数秒程の点灯時間なのだが、込める魔力量に応じて点灯時間は延ばせる。フレッドのライトは、数分経っても消える事はなかった。



 試しに確認してみたところ、やはり全てがおかしかった。


『ウォーター』は『飲み水』なのだが、やはりこれも『ウォーターアロー』とでも言うのだろうか。普通に攻撃力のない水魔法。魔力量によっては、その辺の落ち葉は軽く洗い流せてしまった。周りを水浸しにして。



『イグニッション』は『着火』なのだが、これも『イグニッションアロー』。遠くの物にも着火させる火。決して矢は出ないのだが。流れで。


 これは攻撃力もない事もないのだが。やはり着火用。そこに燃えやすい物がなければ火は着き難いはずなのだが。……。


 込める魔力によっては着火させてしまえる。それが石だろうとも。魔物だろうとも。



 ある意味、普通の火魔法よりも恐ろしい魔法だった。目視できる範囲なら、フレッドの着火させたい所に火が着いてしまうのだ。ボッと。


 突然自分の顔に火が着いたら怖いじゃ済まないだろう。そういう事だった。危険な魔法。そう認定された。使い所は考えるようにと。


 逆にフレッドに危険な攻撃手段を伝授する事になったのだが。それはまた別の話。



『クリーン』は『洗浄』。フレッドが好きな魔法だった。1番使い込んでいる魔法でもあった。掃除屋フレッドの二つ名に恥じない魔法。やはり『クリーンアロー』。


 自身以外にも洗浄の雨を降り注がせる。これのお陰で建物の清掃が楽になったのだが。それは既に知っていた。所長も、副所長も。現場で見ていた人達も。だからこその二つ名だったのだが。



 これによってフレッドの綺麗好きは加速される事になったのだが。誰も損をしないのだからいいだろう。建物も、各種現場も綺麗になって行ったのだから。


 フレッドもフレッドで、1度気になると汚れが目に付くようになってしまっていたのだった。潔癖とまではいかないが、それなりの綺麗好きになっていた。



 まさかあのフレッドが。昔のフレッドを知っている者からすれば信じられないだろうが。あの、教会の片隅のぼろ小屋で異臭を漂わせていた人間と同一人物だとは思うまい。


 これも成長。良い方向に伸びてくれたと見るべきか。このまま極度の潔癖症とまで言われるまでに突き進んでしまうのか。それはまた別の話。


 今のフレッドを見ても、当時の面影はどこにもないのだから気付く者は居ないと思うが、そもそもフレッドの事を覚えている者も居ないのかもしれないが。



 そして夜は更けて行く。決して所長が、……。……



 フ、フレッドの朝は早いのだが、所長の朝も早かった。特に言及はしないが早かった。それでいいだろう。物理的に酷い事になりたくないのだから仕方ない。もうこれ以上は。


 そして朝食を摂って、2人はまた走り出す。勿論、何度も休憩を取りながら。



 1人生き残った冒険者の男よりは早かった。2人が冷静だった事もあるが、レベルも違うのだから当然だった。


 フレッドだけでなく、やはり所長も強かった。


 得物は何でもありのオールラウンドプレイヤー。今はスピードを最優先にしている為、素手。握り拳と強靭な蹴り。それが所長の得物。武器だった。



 最短距離で進んでいたのだから森の中も進む。当然魔物にもそれなりに遭遇する。気配を殺していても駆け抜けているのだから気付かれる。


 人間の匂いはそれなりに自然に違和感を与えるのだから、それなりに獣にも気付かれる。



 会敵即撲殺。これは所長。


 発見即処理。これはフレッド。


 並走していたのだから、所長の方に向かうフレッドの死角になる魔物は処理し難い。それだけの理由だったのだが。


 所長も、自分を狙ってくる魔物には、なるべくゴミ処理はしなくていい。そう伝えていたのだから仕方ない。


 嬉々として処理していたのだからいいだろう。物理的に。やはりこういったストレス発散方法もあったのだ。所長にとってはだが。



読んで頂きありがとうございます。

19日目にして、『89』PV。

これはまた、分析の難しい数になりました。

しかし!

ブックマーク&評価を頂きました。

ありがとうございます。

そんな方にも祝福を。

『この週末は、みかんを食べてゆっくりまったりHP回復を。回復効果上昇+2』\(・o・)/

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