↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能学級  作者: ノア
PR
5/8

第4話 大丈夫

 その後、六人は校舎に戻ってきた。夜久野は報告をするためにと自室に行った。

 湊は陽介の部屋に入り、ベッドに寝かせた。彼のあの元気な声は返ってこない。

「…陽介……」

 生徒たちは食堂に集まった。湊も合流し、いつもの席に座る。イスが二つ空いたまま。優希はすすり泣き始めた。

「…陽介さん……」

「……みんな、何か食うか? 今日はまともに飯食ってないだろ」

 湊は厨房に入っていった。栞も立ち上がり、

「お茶、淹れてくる」

 厨房に入り、コップを乗せたお盆を持って戻って来た。机にそれぞれのコップを置く。

「あっ…」

 お盆には二つコップが残った。栞は何も言わず、鼻をすすりながら厨房に戻った。

「できたぞ」

 湊はおにぎりが乗った大皿を机に置いた。栞もイスに座った。

「無理をしてでも食え。力が出ないぞ」

 湊はおにぎりを掴み、頬張った。

 栞、優希、澪はおにぎりを掴み、ゆっくりと食べ始めた。優希は時折鼻をすすっている。いつもならたくさん食べる澪も、今日は一口食べては手を止めていた。幸太郎は座ったままうつむき、何も喋らず微動だにしなかった。

 三人はおにぎりを食べ終わり、静かに席を立った。

「おやすみ、ゆっくり休めよ。」

 三人はうなずいたり、小さくおやすみなさいと言って食堂を出た。

 食堂には湊と幸太郎が残された。幸太郎はおにぎりに手を付けていなかった。

「…幸太郎、食わないと倒れるぞ」

 湊は幸太郎の前にお皿を置き、隣に座った。

「…俺が、もっと早く、探していれば……。斗真も、おかしくなって…」

 湊は幸太郎の背中をさすった。

「幸太郎のせいじゃない」

「……っ」

 幸太郎の嗚咽が静かな食堂にこだました。


「…もう、大丈夫です。先生、ありがとうございました」

 幸太郎は目の周りを赤くしながら顔を上げ、湊にそう言った。

「…大丈夫、か」

「先生?」

 湊はゆっくりと口を開いた。

「……昔、身近な人の『大丈夫』を、そのまま信じたことがあってな。……後になって、本当は全然大丈夫じゃなかったって分かった…。だから、無理に大丈夫だって言わなくていい」

「はい。……全く問題ない、とは言えないですけど、少し落ち着きました。何でか、先生が近くにいると安心します。…じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみ、また明日な」

 幸太郎は席を立ち、自室に戻った。

(俺が近くにいると落ち着く、か。あの人にもよくそう言われたな……)

 過去のことを、少し思い出していた。しばらくしてからおにぎりをラップで包み、それを持って夜久野の自室に向かった。

 夜久野の部屋の前に立つと中から彼女の話し声がした。内容までは聞き取れなかった。湊は扉をノックした。

「はい。あ、湊先生ですか」

「これ、夜食にどうぞ。これからのことなんですが、本島は何と?」

「しばらく船は寄越せないそうです。」

「生徒が死んだのにですか!?」

「私に言われましても…」

 夜久野は苦笑を浮かべ、眉を下げた。そして腕時計を見て、

「すみません、まだ本島への報告が残っているので、失礼します。おにぎり、ありがとうございます」

 扉を閉めた。湊は扉の前でため息をついた。

 湊は足早に資料室に向かい、朝見ていた資料を取り出した。やはり、赤い目についての記述がある。さらにページをめくると、あるページで手を止めた。一人の少年の写真と、その名前。湊はしばらくそのページを見つめていた。写真に写る顔を、見間違えるはずがなかった。

「……やっぱり、そうだったのか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。