8 八月 三校対抗戦 6
どの札が来ているか。
ソラは、ドキドキしながら札を確かめて並べていった。
感じる札はあるか。
一枚一枚、しっかりと心を澄ますんだ。きっと心に感じる札がある。
だが、焦れば焦るほど、何も響かなかった。
対戦相手の俵から、いきなり
「あなたたちの考えることぐらい、読めるっていうの」
と言われた。
その言葉に、ソラは動揺していた。なかなか心を落ちつけられない。
なんとか深い呼吸を繰り返す。
そうだ。
いつも絵を描いて呼び出す時のように。
そう思って、心を一点に絞っていく。
すると、やっと周りの応援する声や歓声が遠のいてきた。
心の波が静かになる。鏡面のようになった心の中を、ずっと先まで見通せる。
その時がきた。
――あった。
まず心にとまったのは、自陣に二枚。いや三枚もある。
相手陣は離れているので少し分かりにくい。
だが、ある。二方向に気配を感じた。
なんとか心を澄ませ、どの札か意識を絞っていく。
だが、あと少しというところで、暗記の時間が終わってしまった。
相手陣のどの札に気配を感じたのか、絞りきれないまま開始の礼をする。
すぐに、序歌が読まれ始めた。
『難波津に――』
体育館全体の緊張がじりじりと高まっていく。
次だ。
『あらしふく 三室の山のもみぢ葉は――』
「し」の音が聞こえるやいなや、バンバンッと軽い音が響き、札が飛んだ。
やられた。
『たつたのにしきなりけり』
そう書かれた取り札を手に、俵はニヤリとして席に戻る。
やっぱり、相手はよく札をわかっている。
ソラも手を動かした。
だが、札は素早く向こう側に飛んでいた。
続く札も、立て続けに相手に取られた。前半はそのまま相手に圧倒された。あっという間に差がつく。
相手が十枚減らした時、ソラはわずかに三枚。いきなり大きな差がついた。




