3 対抗戦へ向けて 2
同じ日の放課後。
職員室に戻った俺のところへ――
「やっと決まりました」
会長が伝えにきたのは、締切日の放課後遅く、もう職員室にも人がまばらになった頃だった。
日野と岡崎が、嬉しそうにメンバー表を差し出す。
俺は、メンバーを見て驚いた。
あれ? 一年生が三名、しかも俺のクラスの奴が二人もいるじゃないか。
伊山はわかる。あの性格なら、こういうことに首を突っ込むだろう。
だが、天見は意外だった。いつもニコニコしている。友達とも楽しそうにしている。けれど、自分から前へ出るタイプには見えなかった。
「天見が、ねえ……」
「おい、日野。無理して引っ張ってないだろうな」
「はい、みんな自分から進んで」
そういった後、ニヤっとしたのが曲者だ。副会長の岡崎は、横でただ微笑んでいる。
「まあ、それならいいんだけど。で、今年はどうなの?」
「今年は例年以上に甲子社が本気らしいですよ。去年、うちにも負けて最下位でしたから」
「去年って大道芸たったよな」
「そうです。うちが種目を決めたので」
「大道芸同好会、二人しかいませんでしたけど」岡崎が眼鏡をなおしながら口を挟む。
「まあ、そのおかげで二位だったんだから」日野が笑う。
「しかし、上賀茂って、どんなことでも、ほんと一生懸命にやるよな」
「ええ、去年もあの皿回しとか、全力で練習してきてましたから」
「上賀茂魂だな」日野がうなずく。
「なんだ、それ」
「あそこは伝統の上賀茂魂っていうのがあるんです。それにやられました」
「そうなのか。まあ、うちの生徒は、あまり熱く団結ってタイプじゃないみたいだしな」
俺がそう言うと、日野が不敵な笑みを浮かべ言った。
「鴨高は『個の自由』が気風ですから」
「個の自由、ねえ」俺は笑った。
「そんな君らが、一つのチームになるんだから、面白いよ」
「今年はうちがとりますよ」日野が自信ありげに宣言する。
「うちには、この結愛がいますから。勉強の得意な甲子社さん、こういうのなら有利と決めたんでしょうけど、うちの結愛が、かるた競技の経験者だってことは、わかってなかったみたいですね」
日野は岡崎を見て微笑む。
「優勝したら、結愛、何年振りになるかな?」
「えーっと、もう調べないとわからないぐらい。歴史的ってことは確かね」
「そういうことで、先生、明日から練習始めるんで、よろしくお願いします。差し入れなんかあると、助かります」
「……まだ何も言ってないだろ」
「期待してます」
報告を済ませた二人は、にこやかに職員室を出て行った。
俺は、改めてメンバー表を眺める。
柊もか……。ちょうど良かったと言うところかな。
仕方ない、帰りに、なんか差し入れの飲み物でも買っておくか……。




