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驚愕の酔拳無双! 王宮騎士団、全滅

「ハァーッハッハ! 止まって見える、止まって見えるぞ!」


最初に動いたのは、軽戦士のレオンだった。

いつもは冷静な彼だが、ビルのバフ――【酔神の狂宴】によって理性が完全に消し飛び、ものすごくゴキゲンな笑顔になっている。


王宮騎士の一人が、大剣を上段からレオンに向けて振り下ろした。

まともに喰らえば真っ二つ。

しかし、レオンは千鳥足でフラフラと身体を揺らした。


ヒュッ。

大剣は、レオンの鼻先数ミリを虚しく通り過ぎた。


【絶対回避の千鳥足】。


命中率0%の法則により、どんなに鋭い攻撃も、物理法則を無視して絶対に当たらない。


「おっとっと、どこを狙ってやがるんだい、お兄さん!」


レオンはフラフラとよろめいた勢いのまま、騎士の顎にアッパーカットを叩き込んだ。

全ステータス1200%(12倍)のパンチだ。


ドガァァァン!!

重武装した王宮騎士が、天井を突き破らんばかりの勢いで吹き飛び、そのまま壁に激突して気絶した。


「ひ、一撃だと!? 鉄壁の魔法甲冑を着た王宮騎士を、素手で……!?」


ディルムッドが目を見開く。

しかし、悪夢は始まったばかりだった。


「おらおらおらー! 次は俺の番だぁ!」


ジノが超高速のステップ(という名の、完全に酔っ払った千鳥足)で残りの騎士たちを翻弄する。

騎士たちが必死に剣を振るうが、ジノはダンスを踊るようにひらひらと躱し、すれ違いざまに背中をポンポンと叩くだけで、騎士たちは爆発に巻き込まれたかのように次々と吹っ飛んでいった。


「うう、世界が回る……。だが、最高に気分がいいぞぉ!」


ガウルさんにいたっては、大剣すら抜いていない。

向かってきた最後の騎士の首根っこを掴むと、そのまま応接室の床にパイルドライバーの要領で叩きつけた。


ドゴォォォン!! と床が陥没し、騎士は白目を剥いて沈黙した。

わずか数十秒。

王宮が誇る精鋭騎士四人が、ただの酔っ払いたちによってゴミのように片付けられた。


「ひ、ひぃぃぃ……! バケモノか、貴様らは……!」


ソファーの陰に隠れてガタガタと震えているのは、ボスのディルムッド一人だけとなった。

ガウルさんが、真っ赤な顔でディルムッドに近づき、その胸ぐらを片手で軽々と持ち上げた。

酒臭い息が、ディルムッドの顔に吹き付けられる。


「おい、王都のお偉いさんよぉ……。俺たちのカズトを連れて行くんだって? あぁん?」


「い、いや、あれは冗談で……! 私はただ、王の命令を……!」


「うるせぇ! せっかく美味い酒を飲んで気分がいいんだ、お前も一杯付き合えよ!」


ガウルさんはそう言うと、俺がまだ持っていたビルの空き缶に残った、わずかな泡をディルムッドの顔にこすりつけた。


「ひぎゃあああ! 苦い! 目が、目がぁぁぁ!」


ディルムッドは情けない悲鳴を上げながら、ガウルさんに放り出されて床を転がった。


「カズト、こいつらどうする?」


ガウルさんが尋ねる。

ビールの効果時間はまだ残っているが、すでに敵は戦闘不能だ。


「そうですね。ギルドの前にでも放り出しておいてください。あ、装備は全部剥ぎ取って、オーク退治の補償金としてギルドの資金にしちゃいましょう」


「へへ、そりゃいい。おいレオン、ジノ、こいつらを外に引きずり出すぞ!」


「う~い、了解だぜカズトの旦那ぁ~」


こうして、王都からの脅威は、一本の缶ビールによってあっけなく、そしてコミカルに粉砕されたのだった。

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