パラパラチャーハンの衝撃! 崩れ去る絶対防御
「フン、無駄な抵抗を! ゴーレムよ、あの羽虫どもを叩き潰せ!」
ディルムッドの命令を受け、一体のアイアン・ゴーレムが巨大な鉄の拳を振り上げ、着地したレオンに向けて叩きつけた。
ドガァァァン!!
と地面が激しく爆発し、土煙が舞い上がる。
「ははは! 潰れたか!」
とディルムッドが笑うが。
「いやいや、どこを見てるんだい?」
土煙の中から、レオンの声が響いた。
【強火の進撃】の推進力によって、レオンはすでにゴーレムの拳を躱し、その巨大な脚の前に立っていた。
「ほいっと」レオンが、愛用の短剣でゴーレムの脚をコン、と軽く叩いた。
本当に、ただ小突いただけの、威力のない一撃。
しかし、次の瞬間。
パキピキピキピキピキ……ッ!!
ゴーレムの脚から、無数のひび割れが急速に広がっていった。
「な、何!? ゴーレムの脚が……!?」
ディルムッドの驚愕の声を余振に、全長五メートルの超硬度アイアン・ゴーレムが、まるで乾いた砂の城のように、サラサラサラ……と音を立てて足元から完全に崩壊していった。
【熱砂の崩壊】。
チャーハンの「パラパラ感」の概念がスキルとなったそれは、どんなに強固に結合した金属であっても、一瞬で結合をバラバラに分解してしまう、対物質における最強の概念破壊スキルだ。
「な、なんだとぉぉぉ!? 我が魔導士団の最高傑作が……一瞬で砂になっただと!?」
「こっちも行くぜー!」
ジノがもう二体のゴーレムの間を、超高速のステップで駆け抜ける。
すれ違いざまに、二体のゴーレムの胴体をポンポン、と手で触れた。
シュウウウ……。
サラサラサラサラサラ……ッ!!!
残りの二体も、何が起きたのか理解できないまま、ただの鉄の砂山へと姿を変え、風に吹かれて消えていった。
「ひ、ひぃぃぃ……! バケモノだ、やっぱりあいつらはバケモノの集まりだぁぁ!」
魔導士団の面々が、武器を放り出してパニックに陥る。
頼みの綱のゴーレムが、ただの「お触り」で砂にされたのだ。
戦意など一瞬で消滅する。
レオンが短剣をクルクルと回しながら、ディルムッドに近づく。
「さて、副団長さん。次はあんたのその綺麗な鎧を、パラパラの砂にしてやろうか?」
「ま、待て! 私は王宮の……!」
ディルムッドが恐怖のあまり腰を抜かし、後ずさりしたその時。
ドゴォォォォォォンッ!!!
ルミナスの街の西側、はるか遠くの森から、天を突くような巨大な爆炎と黒煙が巻き上がった。
凄まじい地響きが、ディルムッドたちの恐怖すらも掻き消すほどの圧力で、その場にいる全員を襲う。
「な、何事じゃ……!?」
クウが耳をピクンと立て、西の空を睨みつけた。
「主よ……まずいぞ。この禍々しい魔力、王国の人間などではない。……魔王軍の四天王、その一人が近づいておる!」
ついに、本物の脅威がやってきた。
ディルムッドたちの小競り合いなど、ただの前座に過ぎない。
世界を滅ぼす軍勢が、すぐそこまで迫っていた。




