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鉄の軍勢と、禁忌のゴーレム

ディルムッドが王都の精鋭魔導士団を率いて、再びルミナスの街の前に現れたのは、その翌日の午後だった。


今回の彼らは、前回とは比較にならないほどの重武装。

さらに、彼らの後ろには、全長五メートルを超える、鈍い銀色に輝く鉄の巨人――『古代魔導兵器アイアン・ゴーレム』が三体も従っていた。

その巨体が歩くたびに、ズシン、ズシンと大地が激しく揺れる。


「ルミナスの住人どもよ! 聞け!」


ディルムッドが街の正門前で、拡声の魔法を使って叫んだ。


「私は王宮騎士団副団長、ディルムッドである! 街に潜む大罪人、サトウ・カズトを今すぐ引き渡せ! 拒否するならば、この魔導兵器の力をもって、街ごと更地に変えてくれるわ!」


街の門番や冒険者たちが、その圧倒的な軍勢の前に恐怖で立ちすくむ。

アイアン・ゴーレムは、通常の物理攻撃や並の魔法では傷一つつけられない、文字通りの『動く要塞』だ。

それが三体もいるとなれば、辺境の街など一瞬で壊滅する。


「やれやれ、本当にしつこいですね、あの人は」


門の上に、俺と『紅蓮の牙』のメンバー、そして新しく仲間に加わったクウが姿を現した。


「カズト! 出てきたな、この無能め!」


ディルムッドが俺を指差して嘲笑う。


「どうだ、我が魔導士団とゴーレムの威容は! 前回のように、小細工の酒など通用せんぞ! このゴーレムには精神などない、酔拳など効かぬわ!」


「なるほど、確かにゴーレムにはお酒は効かなそうですね」


俺は冷静に敵の陣容を【鑑定】した。

確かに、物理防御力と魔法抵抗力が異常に高い。

正面から戦えば、ガウルさんたちのバフが切れた後に押し切られる可能性がある。


「カズト、どうする? 俺の大剣でも、あの鉄屑を切り裂くのは骨が折れそうだぜ」

とガウルさん。


「主よ、我の炎で焼き尽くしてやろうか? 少々腹が減るがの」

とクウが九本の尾をゆらりと揺らす。


「いいえ、クウの力はもっと大事な時のために取っておいてください。……鉄の塊が相手なら、それに相応しい『晩飯』があります」


俺がマジックバッグから取り出したのは、日本のサラリーマンや学生の強い味方。


【熱々大盛り! 直火焼きチャーハン(冷凍食品仕様)】だ。


固有スキルによってレンジ要らずで完璧な状態で再生成されたそのチャーハンからは、香ばしい醤油とラード、そしてネギの香りが周囲に漂う。


【鑑定】。


========================

【アイテム:直火焼き大盛りチャーハン】


付与スキル:【熱砂の崩壊(パラパラ・エフェクト)】

効果:500秒間、自身のすべての物理攻撃に『分子分解・構造破壊』の属性を付与する。

硬度を持つあらゆる物質(金属、岩石、結晶など)に接触した際、その結合を強制的に解除し、砂のように崩壊(一撃必殺)させる。


付与スキル:【強火の進撃(ターボ・エンジン)】

効果:効果時間中、自身のステップに『爆発的な推進力』を与え、一瞬で敵の懐に潜り込むことができる。========================


「レオン、ジノ。今回は君たちの出番だ。このチャーハンを、半分ずつ食べてくれ」


「おお、これはまた美味そうな飯だな! 卵と肉が米に完璧に絡み合っていやがる!」


二人はスプーンでチャーハンを豪快に口に放り込んだ。

モグモグ……。


「う、美味い! 米の一粒一粒がパラパラに独立していて、口の中で踊るようだ!」


「この香ばしい焦がし醤油の風味、たまらないね!」


二人が食べ終えた瞬間、その両手から、パチパチと空間を削り取るような、奇妙な振動が放たれ始めた。


「よし、二人とも。あの鉄のゴーレムを、軽く小突いてきてください」


「おう、任せとけ!」


レオンとジノが、門の上から同時に跳躍した。

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