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竜と精霊  作者: クリスタ
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ガラン船団

カーズの言葉を聞き、脅し代わりの力の解放を辞めたロイスは


「ありがとうございます。では私はこれで失礼いたします。

エンドノヴァを発動しようとしている部隊への連絡は任せてよろしいですか?

ガラン帝国へは私が伝えに行ってもいいですが。」


「発動部隊についてはこちらで連絡しておきます。ガラン帝国は任せてもよろしいですか?」


ロイスの圧から解放され、痩せ我慢でラクスが答えた。


「大丈夫ですよ、ではガラン帝国の件は任されました。」


と言い、踵を返し魔王城から飛び立って行く。


ロイスが離れ、圧力から解放された事により、身動きが取れなくなっていた3人がゆっくりと口を開きだす。


「竜王の血筋の力はこれ程の物なのか、、、

おそらくカーズ様抜きで、全魔族が束になって掛かっても、、、」


魔王ラクスが大粒の汗をかきながら、ロイスと対峙した時の事を思い、軍団長ラバールがそれに答えた。


「ラクス様、束になる前に消される気しかしないのですが、、、ハッハハッ、、」


「2人とも、あの者と事を構えるで無いぞ?今はまだ子竜じゃが、おそらく10年も経てば、神を狩る事も可能になるじゃろう。

そして今の世界情勢を見れば、彼は確実に人類を滅ぼす道を選ぶ事になる。

そうなった時は、あなた達魔族だけでも、生き延びる方法を彼と話すしかないようじゃのぉ」


カーズは優しい目をしながら魔王ラクスを見つめて、そう答えた。



〜〜〜〜



魔王城から飛び立ったロイスは、ガラン帝国がある方向へ向かう。

おそらくガラン帝国の海軍はまだ、上陸しておらず、ジブラ海溝を魔の国に向かって進んでいる頃だろう。


しばらく飛んでいるとジブラ海溝を進む船団が見えて来た。

その数50隻は軽くいるだろう、船の大きさも200人は乗れそうな巨大なガレオン船である。


正直言うと、ロイスはガラン帝国が嫌いである。

と言うか殆どの国が嫌っているので、ここで全滅させてもいいとも考えている。

ガラン帝国は帝都が自然要塞に守られており、攻められる事がほぼ無く、仮に攻められても、帝都に着く前に大小さまざまな島からの砲撃や魔法により、商船以外の敵国の船が無事に通れる事もなく、鉄壁の自然要塞と化している為、ガラン帝国側は攻められる心配をせず、他国を責め続けている。

従って、超長距離魔法エンドノヴァを使用される事だけは絶対に阻止しなければならなかった。


「報告したします!後1時間程で、魔の国の予定の海岸へ着岸する見込みで有ります!」


若い帝国兵の報告を聞き、指揮官らしき者が指示を出す。


「総員、後1時間程で着岸の見込みだ、船の運航に関係ない者は直ちに準備を開始し、着岸後速やかに上陸し、部隊を編成する準備をせよ!各船の指揮官は各船員200名を引き連れ、事前に決めている2000人の中隊を編成後、総指揮官帝国海軍元帥ガイルの指示を待て。」


ガイルは拡声魔法を使い、全船団に指示した。


その時、前方から途轍もない突風が吹き、船団は著しく減速、前方から3m程の大波が迫ってくるのが見えた。


「総員に告ぐ!前方からの大波に備えよ!」


ガイルはそう指示し、自身も揺れに備える。

船は大きく揺れ、船から投げ出される帝国兵も見られ、何隻かの船が船同士の接触により、転覆してるのも見える。

しばらく揺れが続いたのち、波が穏やかになったところでガイルは被害状況を確認する為、各船からの報告を待っていた。


「ガイル元帥へ報告申し上げます!現在確認出来ているだけで、55隻のうち、8隻が転覆、周囲の船で兵を回収中、大波の衝撃により投げ出され、行方不明者約1400名です!現在大波の原因となるものを調査中ですが、魔力の痕跡が見当たらず、敵からの攻撃によるものとは考えにくい状況です!」


ガイルが報告を聞いていると、前方から鳥の様なものが飛んでくるのを見かけた、鳥はみるみると距離を縮め、その姿が白銀のドラゴンである事がわかり、ガイルはこの船団の全滅を覚悟した。

ガイルは穏やかな声で、


「総員に告ぐ、現在無事な者は作業を止め、自身最大の魔法を放てるよう準備せよ、もう一度告げる、直ちに自身最大の魔法を準備せよ!合図があり次第、前方のドラゴンに向け、一斉に放て!」


各兵はドラゴンに驚き、死期を悟った者から自身の魔力を振り絞り、持てる全ての魔力を込めた。


ロイスは船団の中で1番強そうな者を探し、着ている物も1番立派な者の前に、上空で人化し着地する。


「全員が魔力を込め出してますね、攻撃してくるなら全員殺しますよ?」


ロイスは少し殺気を放ち、言い放つ。

ガイルは慌てて、


「総員、武装解除せよ!直ちに武装を解除せよ!

これでよろしいか?竜族の者よ、何用で参られた?こちらは何隻も船が沈められているのに、攻撃の構えを取るのは当然の事であるぞ。」


ロイスは魔力の鎮まりを確認し、殺気を抑えて、ガイルが話易いようにし、答えた。


「初めまして、竜王の子ロイスと申します、船の件に関しては、別に全部沈んでも良かったので構いません、今からもう一度始めてもいいので、私からの話が呑めないのであれば、攻撃して来てください。

全て返り討ちにしますが。」


ロイスが笑顔でそう答えた為、竜王の子と聞き、ガイルは半信半疑になりながらも、本当に竜王の子であるならば、全員が束になっても傷一つ負わせられないと考えロイスの話を聞く為、促した。


「ロイス殿の話とは?こちらは魔の国が使用しようとしている、長距離魔法への対処に先を急いでいる為、手短に願いたい。」


「その長距離魔法、名前をエンドノヴァと言うらしいのですが、ガラン帝国へ向けての使用は中止してもらいましたので、引き返してもらいたくここまで来ました。」


「それを伝える為だけに何隻も船を沈め、兵を殺したと言うのですか!?」


ガイルは憤慨した、いくら敵わぬ相手とは言え、無慈悲に配下の兵達を殺された事に。

しかし、ロイスは何食わぬ顔で興味無さそうに、


「先ほども言いましたが、引き返せと言わず全船沈めて殺しても構わないんですよ?伝えに来ただけ有り難く思って欲しいものです、そもそもあなた方帝国が好き勝手に戦争を仕掛けるから、どこも海岸沿いやそこからの内陸部まで、戦火が絶えないのがわからないのですか?個人的にはここであなた方を殲滅し、ガラン帝国も同じ様に殲滅した方がとても楽なんですけどね。それをしないだけ、有り難く思って引き返してはくれませんかね?」


ロイスはそう言い、兵達がギリギリ意識を保てる程度に殺気と魔力を解き放つ。


「待て!わかった!力を抑えてください!全船引き返す事を約束する。しかし、もう一度確認したい、本当にエンドノヴァと言う魔法の使用は無いのですね?」


力加減を一般兵のギリギリに設定していた為、ガイルには少し弱かったのだろう、会話は普通に出来るようだ、ロイスは力を少しだけ抑え、真剣な眼差しで答える。


「竜族は嘘は付きません、魔神様とも話はしてますので、信じて貰って大丈夫です。」


「わかりました、ただ海に落ちた兵の回収はさせてくれ、それが済めば引き返す事を約束します。」


「いいでしょう、それでは私はまだ行くところがあるので、これで失礼しますね。

くれぐれも私に嘘は付かぬようにお願いしますね。」


ロイスはそう言い飛び上がると、上空でドラゴンの姿に戻り、内陸部の方へ飛んで行った。

残されたガイル達帝国兵は、安堵の溜息と共にドラゴンに会い生き残れた事の幸福と、ドラゴンの圧倒的な強さに畏怖するのであった。


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