魔神カーズ
「竜神の使者よ、それには我が答えよう」
魔王の頭上にかかった靄が少しずつ晴れていき、姿を表す。
声が聞こえた瞬間、魔の国の3人はロイスに背を向け、声の主の方を見つめていた。
現れたのは絶世の美女と言っても過言では無いであろう容姿で、黒髪長髪、上半身しか現れていないが、とてもグラマラスな体型をしている。
普通に街ですれ違うと、100人が100人振り返るだろう。
「魔神カーズ様、初めまして、現竜王ベルトランドの子ロイスと申します。
以後お見知りおきを」
そう言い、ロイスは魔神へと頭を下げた。
「ふっ、本当にお主ら竜王の血筋は奇妙なものよのぉ、継承魔法で何でも次代に繋いでいきよる。
我ら神々ですら記憶にも無い様な些事ですら、生まれてすぐのお主らが鮮明に記憶にあるのであろう?それでも100〜300年に一度くらいの周期といえど恐ろしいものじゃのぅ」
魔神カーズが少し引き攣った笑い顔で、こちらを見つめてくる。
「して、使用後のマナの破壊に関してじゃったのぉ。
その点に関しては、我が魔王に対処法を伝えておる。
ただ現在のマナ量に戻るまでは我ら魔族だけの力だと、10年ほどかかる目算である、ヌシら竜族が手を貸してもいいんじゃぞ?そしたら1年くらいで戻るであろうに。」
「魔神様、それは了承しかねるのはわかっておいでですよね?我ら竜族が魔族に加担し、戦後処理を手伝うといろいろな反感を生む恐れがあります。今後私の動きにも制限が掛かる恐れもある為、それは出来ません。
私個人としては、エンドノヴァの使用は避けていただきたいのですが」
ロイスはそうゆうと、脅しているかの様に少し力を溢れさせる。
「待て待て、ここで暴れようとするで無いわ!ヌシら竜王の血筋の者が暴れたら我ですら梃子摺るのに、ここの魔王達が相手になる訳なかろうに。
そう脅さんでよいわ。
中止するのは構わんが、ロイスよ後50年しか残っておらんのはヌシもわかっておろう?強行手段もやむおえぬと思うのだが?ヌシはどうしようとしているのじゃ?」
ロイスは少し言葉を選ぶ様に考えて告げた。
「いざとなれば、私が全てを終わらせますので、一任下さい。
その為には少し時間を頂きたいのです。」
カーズは少し考え、竜族の力を思い返す。
ロイスが言う様に竜王の血筋の者が、その気になればこの世界を滅ぼす事は可能であろう。
竜族の魔力はそもそもこの星のマナを必要とせず、自身に内包する魔力のみで魔法を使う事ができ、竜王の血筋に至っては古来から受け継がれてきている、魔力と知識により、神をも凌駕するほどの力を秘めている。
そのロイスが言うのだ、いざその時になればロイス1人で解決させようと思えば解決出来る問題、しかしそれはロイスの消滅、竜王の血筋の消滅を意味する事は全神々も知っている事である。
そうなると自由に動き回れる、神の使徒的な位置にいる竜族、竜王の血筋の者が途絶える事になってしまい、神々にとってそれは避けたいものであった。
ロイスが最終手段としてそれを選ぶ事がない様に、各神達は各々最善と信じあらゆる手を使い最悪の手段を選ばぬ様に、力や知識を振るうしかないのだが、何万年も存在している神達の知識は時を重ねる毎に薄れて行き、転生や継承魔法により引き継いでいる者達とは、知識の質に関して圧倒的な差があった。
事、世界の行く末に関してロイス程知識豊かなものは少ないのだ。
ならカーズの返答は決まっていた。
「わかった。
ラクス、エンドノヴァの使用を中止しなさい。
魔の国はしばらくロイスの動きを静観いたします。」




