生還、神
継承魔法から1週間が経った朝、ロイスの意識が戻った。
「おはようございます、父上、母上」
両親は少し顔を見合わせてから、微笑み合い、初めての我が子の無事に安堵した。
「ロイスよ、良く無事に耐え抜いたな。身体に異常などは無いか?」
ベルドランドは、無事に生還したロイスに微笑みながら問いかけた。
ロイスは不思議そうな顔を両親に向けながら答えた。
「父上、母上が行っていた魔法を詳しくご存知ですよね?あの魔法があれば、継承魔法のほとんどの副作用が緩和されると思いますよ?」
アーマンドがクスッと笑いながら答えた
「ロイス、わかっていても、親は心配になるものですよ?」
「すいません母上、配慮に欠けた発言をしてしまいました」
ロイスが申し訳なさそうに答えて、ベルドランドの方を見ると、ベルドランドの体が小さくなって行き、30代程に見た目に、金髪に髭を生やした、凛々しい人の姿に変わった。
「ロイスよ、人化は出来るな?」
「はい」
と返事し、ロイスは初めての魔法を使う、体内の莫大な魔力を感じ、人の姿をイメージした。
生まれたてな事もあり、6歳くらいの男の子の姿に変わる。
髪は白銀、瞳は黄金色に輝き、とても端正な顔立ちしている。
現在、この竜達が住む島のほとんどの竜達が人化して暮らしている。
理由は神々が人の姿をしている者がほとんどである事、居住性やその他いろいろなところでの利便性を考えての事である。
人化出来ない竜は、この島に居ないし、竜の姿で過ごしているものもいない。
ある1柱の竜を除いては。
ベルドランドが島の中心部にある山の、中腹にある産場から、山頂の方へ登って行く、その後ろをロイスが続く。
1時間程登ると、全長10m程ある白の大理石で造られた竜の像が左右に現れ、像を抜けたところには、円形の舞台の様な物が見える。
ベルドランドは像の手前で片膝を着き、ロイスも2歩ほど下がった場所で、同じ姿勢になる。
「アンムート様」
ベルドランドが呼びかけると、虹色に輝く閃光が放たれ、光が落ち着くと、そこには太陽の反射により虹色に輝くように見える白竜が現れた。
アンムートと呼ばれた白竜は、36の神の1柱であり、竜達が唯一信仰している神である。
「ベルドランド、ご苦労様。アーマンドにも、そう伝えて頂戴」
アンムートの美しい、女性の様な声が頭に響く。
「ロイス、よく無事に継承を終えましたね。これからのあなたの使命はわかっていますか?」
アンムートが尋ねると、ロイスは少し困ったような顔で答える。
「はい。しかし、その為の知識が少し足りません。私は1度、人々が住む世界に行ってみようかと思います。」
アンムートは優しく微笑み、
「それがいいでしょう。私達神が与えた使命とは言え、実際に実行するのはあなたです。必ずやらなければならないと言う訳ではありませんが、私達はそれを望んでいます。
このまま人族の戦争が、続けば、戦争により多くのマナが使われ、いずれはこの星のマナの枯渇し、星の死に繋がって行きます。
我々神達の目算では、100年後には、この星にマナの枯渇による、様々な変化が訪れるでしょう。
そして、この星に充分にマナが行き渡るには、50年以内には、マナ消費量を現在の1%程にしなければなりません。
その為に我々神が選んだ道は、人々の選別。
戦争を続けている国や全人種の排除です。
しかし、あなたがそれをせずとも、マナの復活を成せるならば、その方法は任せます。
しかし、あなたなら分かっているとおもいますが、決断は早い方が望ましいですよ?」
アンムートがそう話すと、ロイスはただ一言。
「わかりました」




