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竜と精霊  作者: クリスタ
2/16

誕生と継承

人族や魔族が戦争を初めて、凡そ500年が経とうとしていたある日の朝


ドラゴンの住む名もなき島では、ドラゴンの長(創造竜ベルドランド)とその妻(聖竜アーマンド)の間に、一つの命が誕生しようとしていた。


名をロイス。

後にこの世を統べる、もしくは破壊する神竜になる者である。



バリッ、バリッ、


全長70センチ程ある卵から、足が2本生えていた..


ベルドランドとアーマンドは、その様子を微笑ましく見守っていたが、卵が一歩動き出そうとした時、殻に足が引っ掛かり、上手く歩けるわけもなく、コケた。


その拍子に卵が割れて、子竜の全身が露わになっていく。


全身が白銀に光り輝き、瞳は金色に輝いている。

その綺麗な瞳を両親に向けて、「誰?」と言う様な表情で見つめていた。


そこへ全長100メートル程あり、全身が銀色で瞳は金色の、荘重な雰囲気を出す父ベルドランドが口を開いた

「我が子よ。私が父ベルドランドである。」


そう言って、自身の額とロイスの額を合わせた。


その瞬間、ロイスの全身に電気の様なものが走り、頭の中に様々な記憶や知識が流れてきた。


ロイスは、その激痛に耐えられず、生まれて30秒程で気を失い、生死の境を彷徨った。


母アーマンドは、倒れようとしてしる子竜の背中に、そっと手を差し伸べると、その手から白色の光が溢れ出し、子竜の体を包んでいった。


父の行った行為は、継承魔法と言い、代々ドラゴン族の長が、自身に子が産まれた時に行う魔法で、これまでのドラゴン族のあらゆる知識と、世界的な大事や神々からの教示を、直接脳に植え付ける魔法である。

この莫大な情報が一気に流れ込んで来る事により、産まれてすぐ死ぬ子竜は少なく無い、父ベルドランドにとっても今まで9回、我が子を死に至らしめている。


ドラゴンの長達に取って継承魔法はとても大事にされていて、継承魔法が成功しない限り、長が変わる事も無く、長が死ぬ事も無く、長が老いる事も、ある一定の年齢で止まってしまう。


ただ、ベルドランドとアーマンドの場合は少し特殊で、今までの長達は1、2回で継承魔法を成功させている。

何故この2体が特殊なのかと言うと、主にアーマンドである。

アーマンドの知識が、頭脳が今までのドラゴンに比べて優秀過ぎる事に原因があった。

アーマンドが、ベルドランドに与えた知識により、現在の継承魔法で渡す知識量が、従来の倍近くに上がった為で、生まれたての子竜にとっては、それは致死量に値する苦痛だからである。

ならもう少し成熟してからやればいいと言うのも不可能で、産まれて5分以内で無いと、継承魔法は効果が無かった。


したがって、この継承魔法の成功率を上げるために、アーマンドはまた新たな魔法を生み出す。

また、その魔法も、特殊な魔法であるため、子竜にとっては、負担そのものであった。

しかし、あるのとないのとでは、天と地ほどの差があるため使うしかなかった。




ロイスは暗闇の中を彷徨っていた。

竜族が誕生したその時から、現在までを回想する。


これまで、人々が起こして来た数々の事象や自然災害、魔物の氾濫や精霊の怒り。


継承魔法により流れ込む知識や力は、数多における幾多奇跡に成り立つ。

出会いや別れを繰り返し、膨大な知識量に、ロイスの魂は今にも霧散してしまいそうになるが、何故か心地良い光に包まれ、ギリギリの所で保たれている。


その光は愛である。

アーマンドが与える愛が、ロイスを包み込み、人々の星への愛や他人への愛、他の生き物への愛を感じ、無意識のうちに心地良い何かに包まれた気分になる。


やがて知識の奔流が穏やかになり、ある人物を象る光が現れる。


「あなたが成すべき事をなさい、世界の未来はあなたに託します。」

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