表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜と精霊  作者: クリスタ
28/29

ブラック商会

「出来ました!食卓へ運んでおきますので、2人を呼んできて貰っていいですか?」


「わかりました。」


と言い、ロイスは受付の奥の扉を叩こうとすると、


「お父さん、大丈夫?腕の具合はどう?」


「大丈夫だよユリカ、心配かけてごめんな。」


「私は大丈夫だよ。

けどまたあいつらが来たら....」


「その時はまた父さんがどうにかするさ、ユリカは何も心配しなくていいよ」


やはり何か事情があったのだろう、後で聞いてみようと思い、扉をノックする。

コンコン


「はぁい」


「すいません、シチューを作ったのですが、作り過ぎてしまったみたいで、良かったらご一緒しませんか?」


「え?ちょっ、ちょっと待って下さい、お父さんに聞いてみます。」


と言われ受付で待っていると、

ガチャリ

扉が開き、親子が出て来た。


「すいません、お客様に気を使わせてしまったみたいで」


と父親が申し訳なさそうに言って来たので、ロイスは笑顔で、


「いえ、初めてあんなに立派な厨房を使わせて貰ったので、ついつい作り過ぎてしまいまして、良かったら手伝ってください。」


と困ったフリをして、2人を食堂に連れて行くと、シエルとマリアが丁度支度を終え、席に座ろうとするところだった。


「お待たせしました。」


「あっ、ロイスさんおかえりなさい、丁度並べ終えましたよ、お2人もどうぞ座って食べて下さい。

ついつい作り過ぎてしまいまして。」


とマリアが頭を掻きながらテヘっ、みたいな顔で言って来た。

わざとらしい.....


「私達にまですいません、お言葉に甘えて頂きます」


「お姉ちゃんありがとうございます」


と親子はお礼をいい、5人は席に着いた。


「では頂きます」


「「「「いただきます」」」」


と言い5人は食事を始める。

一口食べたユリカが、


「おいしーー!こんなにお野菜がもお肉も入ってるシチュー初めて食べました!それにこの黒いスパイスってもしかして、胡椒ですか?」


「そうですよ、先日頂いたものです。」


父親が驚く、


「胡椒なんて、超高級品ですよ!シュバルツ銀貨といい、お客様はどこかの貴族様ですか?」


なんと、ここら辺では胡椒は高級品らしかった。

実は竜人達から麻袋いっぱいに貰っていたが、そんなに高価な物とは思っていなかった3人は、


「たまたまですよ、少し前に竜人の集落に立ち寄る機会がありまして、そこで頂いたものです。」


「竜胡椒ですか!?胡椒の中でも最高級品じゃないですか!?それに竜人の集落なんて、一部の大手商会の一握りの人しか取引出来ないと聞きますが。」


なんと、思っていた以上に竜人族は凄い人達だった。


「たまたまですよ。」


しか言えなくなったロイス、


「竜胡椒1瓶で、私達の平均月収の1ヶ月分ですよ?まさか知らなかった訳では....」


そう言われ、ロイス達3人は顔を見合わせ、


「「「ははは」」」


と苦笑いする事しか出来なかった。

その様子を見て、親子は驚愕の表情をする。

マリアは慌てて、


「まぁまぁ、せっかくですから、いっぱい食べて下さい!」


と言い、親子は


「ありがとうございます」


とシチューをおかわりした。

食事も終わりかけの頃に、ロイスはさっき聞こえてしまった話を口に出す。


「すいません、先程聞こえてしまったのですが、その腕の原因はなんだったんですか?」


親子は聞かれて、さっきまでと打って変わり表情を暗くする。


「お客様に聞かせるような話ではないのですが、実は元々この宿は、亡くなった妻の父が経営してまして、私が住み込みで働く従業員だったのですが、妻と結婚し、義父が他界した時に、私達の名義に変えて経営してまして。

元々お得意様で懇意にして頂いてた、ブラック商会という所が、義父の死後に書類を持って来まして。

その書類と言うのが、義父が賭博で負けた時の借用書で、この宿が担保になっていたのです。

ただ私達も義父が賭博なんてする人では無いのはわかっていましたし、ましてや自分の命よりも大切にしていた、この宿を担保になんてあり得ないと思い、いろいろ調べていたのですが、偽物だと言う証拠が掴めず、少し前に商会の人達が来て、私に暴力をふるい、この有様なのです。

それから客足も遠のいてしまって....」


「そんな事が、借用書の名前の筆跡などに不審な所は無かったのですか?」


「えぇ、義父の字を真似たのでしょう、そっくりに書かれていました。」


「なるほど、良く使う手なのでしょうか、もしくは本物か..」


とロイスは言いかけるが、


「お爺ちゃんは絶対そんな事はしません!何よりもこの宿を大事にしていました!それに賭博なんて絶対にやりません!」


ユリカの言葉で、2人を信じる事にした3人は、宿の前にいる、人の気配に注意していた。

数は10人、おそらく商会の人間が嫌がらせをしに来たのだろう。


パリンっ


窓に石が投げられる。

ロイスは咄嗟に結界を張り、直撃を防ぐ。


バタン!

扉が勢いよく開き、


「邪魔するぞ、ダダン!宿を引き渡す気になったか?」


と言いながら、宿に3人入って来る。


「お前ら!何をするんだ!お客様もいるんだぞ!

何回も言ってるだろう、あんな偽物で宿を引き渡すなんて有り得ない!」


「おい、ダダン、こっちも何回も言ってるだろ?間違いなく、あのジジイの筆跡だって!いい加減諦めろよ、経営も苦しいだろうに。」


「お前らのせいだろうが!客が来るたびに嫌がらせに来やがって!」


「借金返さないからだろぉ?いい加減、全額払うか、宿を引き渡すかしろよぉ」


「あのぉすいません、その借用書を一度見せて貰えませんか?」


と2人のやり取りを遮り、ロイスが尋ねた。


「お客さん、あんた達は関わらない方がいいよぉ?俺達はブラック商会の者でね。

逆らうと、この街では何も買えなくなってしまうよ?」


「逆らうなんて、ただ一度借用書を見せて欲しいだけですよ。」


「まぁ写しもあるし、見せるくらいは鎌わねぇよ。」


と言い、男はロイスに借用書を渡す。

ロイスは受け取り、テーブルに紙を置き、魔力を練り出した。


「お客さん何を!」


「テメェ、おかしな真似するんじゃねぇよ!」


と言い、男がロイスに襲いかかるが、ロイスは結界を張り、男の暴力がロイスに届く事はなかった。


「少し黙って見てて下さい。」


ロイスは魔力を練り、借用書に魔法を放つ。

と何やら映像みたいなものが流れ出した。


((「はははっ、相変わらず見事な筆跡だなぁ、これであいつらの宿も俺らのもんよ!」


「これくらいいつもの事なんで朝飯前ですよ。

また分前期待してますよ。」


「任せとけよ、あの宿の立地だと、結構な額で売れるはずだからなぁ、期待してていいぞ!はっはっは」))


これを見た宿屋の亭主ダダンが、


「ブラック商会の会頭が映ってるじゃないか!やっぱり俺達を騙しやがったんだな!お前達のせいで!妻は心労で倒れて亡くなってしまったんだぞ!絶対許さないぞ!」


とダダンは男達に襲いかかった、しかし商会の男達もなかなかの手練れだ、あっさりとダダンは返り討ちにあい、組み伏せられ、折れた腕を踏みつけられる。


「ゔぁ"ぁぁぁぁ!ばなぜごのやろー!」


ダダンは必死に抵抗するが、全く微動だにしない、おそらく何かしらの魔法を使っているのだろう。

見兼ねたロイスが、風魔法の風圧で男を弾くが、男も咄嗟にガードしたため、ダダンから少し離れた所に動かされただけに留まる。


「君ぃ、手ェ出しちゃったねぇ、君達ももう終わりだわぁ」


商会の男達が全員宿の中に入って来た、ロイスはこれを待っていたと言わんばかりに、


「ウッドバインド。」


男達の後ろにあった観葉植物が急速に成長し、男を縛るロープのようになり、男達は身動きを封じられる。


「てめぇ!離しやがれ!こんな事してタダで済むと思ってんのか!」


「黙れ!」


と言い、ロイスは男達に殺気を放ち、あっさりと気絶させる。

ロイスはダダンに近付いていき、回復魔法を使った。


「オールキュア」


ロイスの魔法により、ダダンの傷はみるみるうちに治って行く、骨折すら治ったダダンは驚き、


「回復魔法の使い手様でしたか!ありがとうございます、ありがとうございます!」


と言いダダンはお礼を言う。


「内緒にしてて下さいね?それでこの男達はどうします?」


「実はブラック商会は政治にも内通してまして、警邏に引き渡しても、上からの圧力で有耶無耶にし、好き勝手、やりたい放題なのです。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ