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竜と精霊  作者: クリスタ
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ブラック商会②

「政治にも内通しているということは、あの場に関係者がいたってことよね?」


シエルがロイスに尋ねる。


「恐らくはそうでしょう、1人変な視線を送る人物がいましたからね。

とりあえず捕らえた男達はこのままここで大人しくさせときましょう。

明日全て終わってから国に引き渡せばいいでしょう。」


「男達はそうしましょう。

視線に関しては私も感じたわ。気持ち悪過ぎて暴れそうだったわよ。」


「えぇ、シエルとマリアに向けられてましたからね。

余程精霊が珍しかったのか、もしくは別の目的があったのか。」


「私もですか?全然気付きませんでした。」


「まぁとりあえず、ブラック商会に行ってみますか?」


とロイスが言うと、


「待って下さいお客さん、ブラック商会には用心棒が大勢いますよ。

いくらなんでも危ないですよ。」


「多分大丈夫ですよ。」


ダダンの心配を、笑顔で返すロイスだった。


「私1人で行って来るので、2人は念の為にここに残っていてくれますか?」


「構わないわよ」


「わかりました」


とシエルとマリアは言ったが、


「1人なんて無茶ですよお客さん!」


とダダンは心配するが、


「「大丈夫よ(ですよ)」」


とシエルとマリアに言われ、ダダンはポカーんとなった。


「では行って来ますね」


ロイスはそう言い宿を出て行く。


「待って下さい、商会の場所はわかるんですか!?」


「大丈夫ですよ」


と言いロイスは駆けた。

ロイスの気配察知で、ある程度強そうな人が集まる所が3ヶ所ある。

一つ目は王城、二つ目は冒険者ギルド、そして三つ目が恐らく商会の会頭の屋敷だろう。

ロイスは気配隠蔽の魔法を使い、屋敷に近付いて行き、塀を登り、中の様子を確かめる。


「用心棒は全部で45人ですか、バレて騒がれても面倒なので、このまま忍び込んで、証拠になりそうな書類を探した方が良さそうですね。」


ロイスはそう言い、屋敷の最上階の中央に非戦闘員と思われる気配が2つある事に気付き、その部屋の窓の下に隠れると、中から話し声が聞こえて来る。


「会頭、そろそろダダンの店に向かった奴等が戻る頃ですね。」


「もうダダンを殺してもいいと伝えてるからな、明日早速大臣に掛け合って、場所の権利を譲り受けるか。」


「あそこの場所を何に使うんですか?」


「あそこは宿屋街の中心に近いからな、女の奴隷共を使って風俗にでもすれば良いだろう。」


「なるほど、あそこなら客は尽きませんね。」


「まぁ権利書さえ手に入ればどうにでもなるだろう。

大臣に渡す金も用意してあるしな。」


と中の2人の会話がロイスには筒抜けであった。

この部屋に何かあるだろうと思ったロイスは、窓の隙間から眠りの魔法を部屋に放った。

2人が眠ったのを確認したロイスは、土魔法で壁に穴をあけ中に入る。

眠った2人が邪魔なため、ソファへと移動させると、会頭がいた机を調べる。

鍵付きの引き出しが、一つあったので、まずはその引き出しを魔法で壊し、中を確認すると、書類の束と鍵が一つ見つかった。

まずは書類を確認する。


まず一冊目は、ブラック商会の裏帳簿だ。

これがあれば、脱税で捕まるだろう。

その他にはダダンの宿を含む他何件かの借用書、権利書がついた物もある。

そして最後に鍵だが、この部屋の何処かに金庫でもあるのだろうか、ロイスはまず空間掌握の魔法を使い、部屋の隅々まで調べる。

すると本棚の裏に空間がある事がわかった。

そしてその本棚の中に鍵穴が付いた本を発見し、試しに鍵を挿すと、

カチっという音と共に本棚が横にスライドしていく。

本棚が全て動き終えると、奥に通じる扉が出て来る。

再度鍵を挿そうとするが、鍵が違うのか穴にすら入らない、仕方ないので鍵の部分だけ魔法でくり抜き、扉を開けると。


「なんだこれは.....」


ロイスがそこで見たものは、財宝の入った箱一つと、妖精の入った鳥籠が一つ。

中には今にも消えそうに衰弱している妖精が1人横たわっている。

ロイスは慌てて、妖精に自信の魔力を流し、回復させる。

すると妖精は色濃くなって行き、消え掛かっていた存在感を力強く光らせた。

とりあえずロイスは妖精の鳥籠を持ち、ついでに財宝を空間魔法で保管し、さっき見つけた書類の束も持ち、屋敷を出る事にした。

もちろん全て元通りに戻し、ロイスは屋敷を後にした。


「ただいま戻りました。」


「おかえりなさ....その子、大丈夫ですか?かなり衰弱してるように見えますが!」


戻ったロイスの手に持つ妖精を見て、マリアが慌てる。


「とりあえず魔力の補充はしたのですが、竜の魔力だと、強過ぎて拒否反応を起こしかねません。

応急処置で流しただけなので、マリアかシエルにお願い出来ますか?」


「マリアには、少し難しいと思うから私がやるわ。」


とシエルが妖精を籠から出し、掌で抱え、


「ロイス、あなたの魔力を回収して頂戴」


「わかりました。」


ロイスが魔力を回収すると、妖精はまた薄く消え掛かって行くが、同時にシエルは自身の魔力を、妖精に流して行く。


「おかしいわね、私の魔力は半分しか吸収されないわ。」


「シエル、どういう事?」


マリアもわからず、2人は考え込む。


「もしかしたら、ロイスの魔力を吸って、体質が変化した?

普通はあり得ない事だけど。」


「試しにもう一度流してみましょうか?」


シエルの仮説に、ロイスは答える。


「やってみて」


とシエルが言い、ロイスは再度魔力を流す。

すると魔力は勢いよく吸収されて行き、妖精は再び存在感を強くして行く。


「やはりそうかも、竜の魔力に妖精が反応したんだわ、普通なら竜の魔力は強過ぎて受け付けないのだけど、何かキッカケがあったのかもしれないわね。

けどこれは私達では理由がわからないわね。

とりあえず妖精が目覚めるのを待ちましょう。

それで忍び込んで、何か成果はあったの?」


「はい、恐らくこの書類を出せば問題はなくなるんじゃなあたですかね。

いろいろと証拠が見つかりました。」


と言いロイスは回収した書類をテーブルに広げた。


「これがあれば、ブラック商会を解散、会頭と関係者諸共破滅させれるんじゃないですかね?

確か国の法律だと、極刑も有り得るんじゃないですか?」


「見せてくれ!」


とダダンが駆け寄り、書類に目を通す。


「これならブラック商会を終わらせる事が出来ると思います!

どうやってこれを?」


「秘密です」


とロイスが言い、ダダンもそれ以上は聞かなかった。


「明日、ガンダン王に謁見の予定があるので、これを持って行きましょう。」


「王に謁見て、あなた達は一体何者なん.....

いえ、恐らく聞かない方がいいんでしょうね。

けどこれだけは言わせて下さい、ありがとうございます、本当に助かりました!」


「いえ、大丈夫ですよ。」


と言いながら、ロイスは商会から持って来た財宝をダダンの前に出す。


「これは?」


「商会から持って来ました。

この書類の通りなら不当に奪われた人達がいるはずですので、これを分けてあげてくれませんか?

もちろんダダンさんも取ってください。」


と聞き、ダダンは泣き出してしまう。


「ありがとうございます、これでなんとかやっていけます!他の騙された人達にも、私が責任を持って渡しますので、安心して下さい!」


と言い、ロイスは、


「お願いしますね」


とだけ答えた。


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