今後の旅路
竜人の集落にて宴を終えた翌朝、
「ロイス様、もう旅立たれるのですか?
もう少しゆっくりして行かれても...」
と竜人の族長ガーランがロイスを引き止めようとしていた。
「ありがとうございますガーランさん、そして竜人族の皆さん。
とても嬉しいのですが、そうゆっくり出来る旅でも無いので、お気持ちだけ有り難く受け取っておきます。」
「私からもお礼を言わせて下さい。
とても豪華な食事に音楽とありがとうございました。
私も歌を歌うのですが、自分でも新しい歌を作ってみたいと思わせられる音楽ばかりで、とても心が踊り楽しい時間でした。
ありがとうございました!」
とロイスとマリアはお礼を言い、
「滅相もありません!そう言っていただけるだけで、我が集落の一生の宝になります!
また近くに寄ったら顔を出しに何度でも来て下さい!
奥様の歌も今度聞かせてください。」
「ありがとうございます」
とマリアは顔を赤くして応えた。
「ではそろそろ、ありがとうございました」
とロイスは言い、2人は集落を出て南に進んで行く。
「ロイスさん、次はどこに向かっているのですか?」
「もう少し歩くと、森を抜けて、街道が出てくるはずなんですが、その街道から南西を見ると、エバフ山脈と言う、この世界で1番高い山が見えて来ます。
その山脈を越えた先に、ゴグルトと言う国があるので、一旦の目標はゴグルトです。
けどエバフ山脈にはドワーフの国もあるので、最初の目的地はドワーフの首都、ガンダーですね。
ガンダーには冒険者ギルドがあるので、旅の資金稼ぎの為にも、登録しておきましょう。」
「ドワーフの国ガンダーですか、ドワーフは鍛治が得意と聞きますが、鉄製品が多いのですか?」
「ドワーフの鍛治技術は世界1ですね、その中に、ミスリルを加工出来る者が25人、アダマンタイトを加工出来る者が10人、ヒヒイロカネを加工出来る者が3人、オリハルコンを加工出来る者が1人、この1人が現ドワーフの国の王ドボル・ガンダンです。
この人に会いに行こうと思っていますよ。
ドワーフの国は神の降臨はしていませんが、鍛治と火の神サラマンドース様がエバフ山脈に住んでいらっしゃいますからね。
サラマンドース様に会う前に、礼儀として王に挨拶してからと思ってます。」
「ドワーフの国に降臨なされていないのは、何か理由があるのですか?」
「アンムート様に聞いた話では、暑苦しいから嫌だと仰ってたらしいです」
「ははは」
とマリアは苦笑いし、ドワーフのイメージが自分の想像通りなのかなと、密かに確信していた。
「マリア、街道に出ましたよ。
あれがエバフ山脈です。」
とロイスが指差した先をマリアは見た。
そこには左側が海になっており、海から馬の背のように伸びて行く山脈が見える、1番高い山は3つくらい山を越えないと辿り着けなそうだ。
景色は圧巻で、大きすぎて、蜃気楼でもかかっているかのようだ。
そこに本当に存在しているのかすら怪しい景色である。
しかもその山脈がまだまだ右に伸びて行き、端っこまで見えない。
「あの1番高い山の反対側にゴグルトがあって、右に伸びて行った山脈が終わった所らへんから、聖皇国シュバルツが始まりますね。」
「聖皇国シュバルツは、聖母カルス様が降臨なさってる所ですね、一度お会いしてみたいです。」
「今のところの予定では、ゴグルトからガラン帝国、魔の国バーダスから聖皇国シュバルツの順番に回る予定です。
ただ、それまでに沢山の街や村、獣人、エルフ、ダークエルフ達の国とかもありますので、シュバルツに行くのは結構先の話になると思います。」
マリアは少し残念そうに、
「けどドワーフの国や、剣王マルス様のいる国も楽しみです!」
「ところで、マリアは姿を変える事は可能ですか?
ガンダーで冒険者登録するつもりなんですが、今の6歳くらいの姿では些か問題があるので、15歳くらいの姿になりたいのですが?」
「物理的に変えるのは無理ですけど、魔法で大人に見せる事は可能ですよ?」
「それだと後でバレた時に面倒なので、私だけにしときましょう。
シエルが戻ればどうにか誤魔化せるでしょう。」
と言い、ロイスは人化の姿を変えて行く、身長は175cm、顔も少し凛々しくなり、体付きも立派だ。
「すっごくカッコいいじゃないですか!竜族の人化は便利ですね、何かコツみたいなのあるんですか?」
「ありがとうございます、コツと言うか、人化自体が出来れば姿は結構自由に変えれますよ。
まだまだガンダーまでの旅は長いので、道中に練習しながら行きましょう。」
「是非教えて下さい!」
ガンダーに向かって歩いていると、川が見えてくる。
「少しあの川で休憩しましょうか。」
「ロイスさん、少しお願いがあるのですが....」
「どうしましたか?」
「出来たら水浴びをしたいのですが...」
「構いませんよ?」
「ありがとうございます!昨日何も出来なかったので気持ち悪くて。
預かって貰っている鞄で、緑色の鞄を出して貰っていいですか?」
と言われ、ロイスは意識の中で探し、緑色の鞄だけをその場に出した。
「どうぞ、私は向こうの方で魚でも捕まえて焼いときますので、水浴びが終わったら食事もしてしまいましょう。」
「ありがとうございます!ではよろしくお願いします!」
と言い2人は別れた。
マリアは土魔法で壁を作り、服を脱ぎ出す。
ロイスは少し離れたところに行き、地面に生えている雑草に魔力を流した。
すると雑草は急速に成長していき、網のように姿を変える。
その網を川に向かって投げると、最も簡単に10匹の魚を捕まえ、網の1部を細長い棒に変化させ、それを魚に刺し、串焼きの準備を終わらせた。
地面に串を刺していき、真ん中に魔法で火を付け、それを維持していく。
じっくり魚を焼いていると、
「ロイスさんお待たせしました!さっぱりして気持ち良かったです!」
「それは良かったです、魚ももうすぐ焼けるので、座ってて下さい。」
「ありがとうございます、ロイスさんは水浴びしなくて大丈夫ですか?」
「私は魔法で綺麗に出来るので、大丈夫ですよ。」
「その魔法も教えて下さい!」
「わかりました」
とロイスは笑いながら答えた。
「出来ましたよ、食べましょう。」
「ありがとうございます、頂きます」
と言い、2人は魚を食べ出す。
するとそこへ、
「ただいまー」
「おかえり、シエル」
「おかえり、アバン様はなんで言ってましたか?」
とマリア、ロイスは答え、
「先に私にもお魚下さい!いい匂いさせてお預けはダメよ!」
といい、ロイスに強請る。
ロイスは一本渡し、
「食べてからでいいから、教えてくれ。
ってか精霊は食事いらないのでは?」
「食事の必要は無いけど、いい匂いしてたら食べたくなるじゃないの!」
「どうぞお召し上がり下さい。」
とロイスに言われ、シエルは食べ始める。




