闇の精霊と勇者カイル
ロイスに尋ねられたシエルは今までの疑問が晴れたかのように、
「えぇ、まさか精霊が関与しているとは思わなかったわ。
間違いなくあのフードの人物は精霊ね、そしてロイスが殺した人間が精霊術師ね、しかもおそらく死んではいないわね。
テレポートは闇の上位精霊が使える魔法よ、その中には契約者を何かを身代わりにして、救える魔法があるわ、おそらく2人とも生きてるわね。
実は先月に勇者が召喚されてから、私達精霊は調査の為に動いていたのよ。
現地の精霊達も調査していたのだけど、そりゃ闇の上位精霊が隠蔽してるなら、並の精霊じゃ痕跡すら掴めないはずね。
何故精霊が関わっているのかは、私にはわからないわ。
一度アバン様に報告しなければ、ダメね。
少し返事は待ってくれる?これだけ言えるのは、闇の精霊以外はロイスの味方よ。
それだけは信じて頂戴。」
それを聞いたロイスは、少し考えて、
「では一度アバン様に確認して来てください。
マリアも辛いなら精霊の森にかえってもいいんですよ?」
そう言われたマリアは慌てて、
「私なら大丈夫です!さっきはいきなりだったので少し驚いただけで、どうなろうとロイスについて行く事は変わりません!」
「わかりました、ではシエルは一度アバン様に確認を、私達はそろそろ迎えが来る頃なので、宿に戻りましょう。」
「わかったわ」
「わかりました」
そう言い、シエルは姿を消し、ロイスとマリアは集落の宿へと戻って行く。
途中でマリアが口を開く。
「ロイスさんはやはり人間が邪魔なのでしょうか?」
「邪魔だと思っていない訳では有りませんが、明確に邪魔だと思っている訳では有りませんよ。
たださっきの場合は、私が力を見せなければ、全員で掛かって来ていた可能性もありますので、力の差を見せつける為にも必要な事だったとは考えてます。
魔法を使おうとしていた2人がいて、丁度良かった言えば良かったです。
マリアにはあれくらいは慣れて頂かないと、敵には悲惨な死を見せなければいけない時が多々あると思いますよ。
それによって救われる命もあると思いますし、もちろん逆もあると思います。
勇者も1人だったら、こちらに向かって来ていたと思いますし。」
「そんな事まで考えていたのですか、ビックリするだけで、私にはまだまだ早かったのかも知れません。
けど次からはもう大丈夫です。
お話を聞けて納得しました。」
「無理はしなくても大丈夫ですよ?
旅はついて来ても、荒事には関与しないようにしてくれても大丈夫ですよ。」
「いえ、それだと本来の私の目的と違ってくるので、やっぱりそういう所も含めて、私なりに人との関係を考えて行きたいです。
さっきの勇者の行動も彼なりの愛があったと感じました。
あれだけの力の差を感じ、彼はロイスさんに食い掛かって来てましたし、他の人達とは違い、勇者である所以みたいなのがあったのかも知れません。
それも含めて私はいろいろ知っていきたいです。」
「マリアがそう思うのであれば、止める事はしませんが、無理はしないで下さい。」
そして2人は宿の前に着き、2人を探していたバッツに捕まり、宴会場に連れて行かれるのだった。
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その頃、勇者達は闇の精霊のテレポートで、聖皇国シュバルツ内のとある集落に移動した。
「アルマ!カリオス!無事なのか!?」
勇者カイルがロイスに殺されたと思っていた人族アルマとフードを被った闇の精霊カリオスに声をかける。
「私は無事よ、カリオスの身代わりのおかげね、もうしばらくは使えないから、次は用心しないといけないけど。」
「私も無事です。このフードの隠蔽効果で精霊とバレ無かったのが救いでした。ただのパンチじゃなく魔力を込められていたら、世界樹にすら戻らずに消滅してたかもしれません。
あの竜は化け物ですね、間違いなく次期竜王、今の時点であれなら、10年後には全く手の届かない強さになっていそうです。
今でも届きそうに無いですけど。
カイル、あなたの覚醒が確実に必要になると思います。」
アルマとカリオスは無事ではあるが、魔力を使い切りかなり疲労していそうだった。
しかしそこへ、エルフのミーナが口を挟む、
「その前に、そもそも私達が最初に聞いていた話と違うんだけど、どうゆう事なの?」
その言葉に続き、ドワーフのガンダンが、
「俺の方もだ、最初竜族が人族を滅ぼし、神をも巻き込み、世界を竜族の物にすると聞いていたぞ。
しかし聞くとこのままだと星自体が崩壊するって話じゃないか!
これはどういう事なんだ!」
言われたアルマも困惑した顔で、
「私もそう聞かされたのです、詳細は父バルトと聖母カルス様に聞かなければなんとも....」
煮え切らない返事に、獣人ダールが、
「やはり一度戻らんか?アルマはカルス様に、マナンは魔王様かカーズ様に話を聞かんと、我々は大きな過ちを犯す可能性もあるぞ。」
ミーナもそれに同意し、
「私もそれに同意見です。
私達エルフでは、精霊達の声は聞こえますが、アバン様に直接言葉をもらうなんて事は到底出来ません。
ですから貴方達、神に直接言葉を貰える方々の意見が全てなのです。
過ちは絶対にあってはいけません。」
全員が納得し、アルマとカリオスは聖皇国王都へ、魔人マナンは魔の国バーダスへの帰還を選んだ。
「あなた達はどうするのですか?特にカイルさん。」
とアルマが聞くと、ダークエルフのメナスが、
「それについて提案があるのだけど、今のままじゃ私達は身体能力の時点で手も足も出ないわ。
残った5人で、ゴグルトに行きませんか?
もし可能ならマルスに教えを乞いましょう。
カイル、あなたは特によ。」
「最強の武人マルス?だっけ?そんな偉い人に伝手はあるのですか?
俺としては願ってもない事だけど。」
「大丈夫よ、昔マルスが子供の時に、魔法が使いたいってゆうから教えてあげてた事があるのよ。
結局身体能力強化しか使えなかったけどね。
けど今となっては、その身体能力は歴代でも右に並ぶ者はいない程の使い手よ。
年老いて大人しくはなったけど、ただの頑固なジジイだから覚悟しときなさい。」
「是非連れて行って下さい。
あのままやってたら、確実にロイスにやられてた。
少しでも強くならないと。
カリオス、助けてくれてありがとう。」
カリオスは目を瞑り、首を横に振る。
「いえ、私の目算が間違っていました。
今までの竜王の子の生まれたての状態ならこのメンツで、充分倒せたはずです、今季の子は次元が違いました。
申し訳ありません。」
とカリオスは深く頭を下げた。
それを聞き、ミーナが
「この話は終わりましょ、みんな無事に帰れたのだから。
この8人は決して欠けてはいけませんよ。
1人でもかけたら、ロイス、竜族の思い通りに世界は壊されると思いなさい。
では各自行動しましょう。
時間が惜しいわ。」
と言われ8人は各々の目的地へと出発した。




