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竜と精霊  作者: クリスタ
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旅立ち前夜

ロイスはマリアを連れ、竜の島を回った。

とは言え、建造物や観光名所的なのはほとんど無い。

竜の島は直径20キロ程の島で、島の外側は浅瀬が1キロ続き、船での入島はほとんど不可能である。

それに加え、島外周は断崖絶壁が続き、周囲をぐるりと標高1000mの山が続いている。

巨大なクレーター状になっている為、空からの入島でしか不可能である。

島の中央より北側には、アンムートと話をした小山があり、その周囲には人化した竜達が住む集落がある。

とは言え、ほとんど寝るだけの家である。

食事は3日に一度、牛一頭分くらいの食料があれば充分な為、寝ているか広場などで談笑するなどして過ごしている。

中には人の街で冒険者として稼ぎ、島に物資を持ち込む者もいるが、現在いる竜族の冒険者は5人おり、全員がSSクラスの伝説級の冒険者になっている。

冒険者にはクラスがあり、F〜SSまであり、その上には冒険者では無いが、強さの指標とし、SSSクラスが現在3人、Xクラスが2人いる。

SSSクラスは魔王ラクス、聖王バルト・シュバルツ、剣王マルス・ゴグルトがいる。

Xクラスには、精霊王アバン、竜王ベルドランドがいる。

SSSクラスより上は、神からの助言を聞けない人族が勝手に付けたものであり、SSクラスの竜族の冒険者なら、実力的にはSSSクラスには匹敵するが、竜族の冒険者は暇つぶしに冒険者になって生活に必要な物資を仕入れているだけで、それ以外には興味を持つものはいない。

この5人の冒険者により、竜族の島には、様々な物質がある。


話を戻そう、


ロイスとマリアは、島の外周にある山の頂上から、島を見下ろし島全体をマリアに説明していた。


「マリア、あの中央にある小山が、さっきまでいた竜王の間があるところです。

そこの頂上には、アンムート様が来られる広場があります。

島の集落には、店などはありますが、物資を管理しているだけでお金等は必要ありません。

集落の中央にある少し開けた場所が、さっき父上が言っていた広場になります。

大体の店は広場の周辺にあるので、また時間があるときにでも行ってみましょう。」


「ありがとうございます、島には何人ぐらいの竜族の方がいらっしゃるのですか?」


「現在は130名ほどが島に住んでいます。

もう少しで日が暮れるので、ほとんどの竜達が帰ってくると思いますよ。

ここで少し帰ってくる様子を見ていましょうか。」


そうロイスが言って、大陸があるほうの海を見つめる。

すると、夕陽が沈みかけている水平線の彼方から、黒い点のようなものが、こちらに近づいてくることがわかる。

その数は徐々に増えていき、近付くにつれ姿が表されていく。

100頭程いる竜の群れである。

夕陽に照らされ、とても幻想的な風景を醸し出し、竜の群れが島に帰って来ていた。


「とても幻想的ですね、竜族の方々は群れを作らないと思っていましたので、この時間になると、毎日見れるのですか?」


「いえ、宴をすると父が伝達したので、それのせいでしょう、私も使命の為に、ほとんど引きこもって情報を集めていたので、ほとんどの竜達と会ってないんですよ。

だから、私とマリアのお披露目と聞いて、全員が帰って来たんじゃ無いですかね。」


「ロイスさんも初お披露目なんですか!?なんか凄く緊張してきました...」


「大丈夫ですよ、ほとんど私が喋る事になると思いますし、簡単な挨拶だけで大丈夫なので、気楽にしていて下さい。」


「わかりました、お願いします」


「ではそろそろ戻りましょうか、広場に竜達が集まり始めています。」


そう言い、ロイスはマリアの手を取り、広場へと飛んで行く。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



広場では今か今かとロイスの登場を待ち侘びている竜達で賑やかだった。

準備はほとんど終わっていて、広場の真ん中では、様々な肉が焼かれている。

そこへベルドランドがやって来た。


「皆、よく集まってくれた。

今日は明日から旅立つ我が息子ロイスとその婚約者マリアのお披露目である。

皆食べて飲んで楽しんでくれ。

ロイスよ、挨拶しなさい。」


上空を見上げたベルドランドが、浮かんで話終えるのを待っていたロイスに声をかけた。


「はい」


と言い、マリアと共にベルドランドの前に降り立ち、一度礼をしたのち、民衆の方に振り返った。


「初めまして、ロイスと言います。

挨拶が遅れた事、改めて謝罪させて下さい。」

と言い、頭を下げた。

「私自身、これからしばらくは旅に出ます、もしかしたらもう帰る事は無いかもしれません。

世界を周り、今後の世界の在り方、マナ現象による星の疲弊、人族の行く末、様々なことを学び、考え、行動に移す事になるでしょう。

人族の世界で暮らす同胞も中にはいますが、その方々にも話を伺い、私がどう思い、どう行動に移すかは、今はまだわかりませんが、星のマナが枯渇するまで50年、我々にとっては短い時間ですが、これを正せるのは私しかいないと思っています。

私自身まだ若輩で、皆さんに教えを乞う事が多々あるとは思いますが、ご助力お願いします。

そしてこちらが、婚約者のマリアといいます。

簡単な挨拶でいいのでお願いします。」


「紹介に預かりましたマリアです。

私は精霊と人とのハーフです、ご縁あってロイスさんとの婚約を結ばせて頂きました。

私自身、生まれたばかりで、知らない事が多過ぎます。

ロイスさんの使命に共にし、いろいろ学ばせて貰いたいと思っています。

ロイスさん共々よろしくお願いします。」


観衆から拍手が上がり、ロイスとマリアに祝福の意を表せた。


「では皆、今夜は宴だ。

楽しんでくれ。」


ベルドランドがそう声をかけ、各々が酒や肉、歌などで楽しみ始める。

2時間程、皆からの挨拶やお喋り、食事などを楽しんでいると、ロイスがふと提案する。


「マリア、出会った時に歌っていた歌は歌えませんか?」


「歌えますが、私がなんかが歌ってもいいのでしょうか?」


「大丈夫ですよ、聞いた時、とても心地良い気持ちになって、ずっと聞いていたいと思いましたから」


マリアは少し顔を赤らめ、


「ありがとう、では

♪〜〜〜、♪〜〜〜 .... ♪〜〜」


マリアが歌い出すと広場が静まり返った、歌声に自然と魔力が混ざっているのか、心地良い気持ちに包まれる。

山や土、風や水、火や木などから左の球がゆらゆらと煌めいている。

マリアの歌に同調した精霊の卵達だろうか、歌声に反応し温かい雰囲気を醸し出している。


「♪〜〜〜〜....

ありがとうございました。」


と言い歌い終えると、


「わぁーー!最高ー!」

「素晴らしい!」

「ピューピュー!」


などと盛大な拍手と共に声がかけられると、マリアは恥ずかしそうな嬉しそうな顔でもう一度お礼を言った。


「ありがとうございます、この歌は私の母がよく歌ってたみたいで、シエルに教えてもらって覚えたんです。

どれだけの時が経っても、愛するあなたを待っていると言う意味の歌みたいです。」


「素晴らしい歌ですね、けど少し悲しい歌でもあるんですか?」


「いえ、最後の歌詞では、ちゃんと出会えて幸せにしていると解釈出来るんで、ハッピーエンドだと思いますよ。

曲調も少し明るい感じなので、そう思ってるだけかもしれませんが、母が好きだったように、私も好きです。」


とマリアは笑った。


「また聞かせて下さい、私も覚えたいです」


とロイスもまた笑う。


こうして宴の夜は静かに終わりを迎えた。

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