海岸で
ロイスはマリアが背に乗ったのを確認し、風魔法で自身の周囲に膜を張り、マリアが風圧で落ちないようにし、竜の島の方向へ飛び立った。
1時間程飛んだところで、
(マリアちゃん、出ていい?)
(ちょっと待って、シエル、聞いてみるから)
マリアの頭の中で可愛らしい声が聞こえる。
「ロイス様、紹介したい子がいるんですが、少しいいですか?」
「わかりました、けど少し待ってください。
もう少し行くと開けた場所があるので、そこで少し休憩しましょう。」
「わかりました、ありがとうございますっ。」
マリアは嬉しそうに返事する。
少し経つと前方に見渡す限りの海が見えて来た。
上空から見た海は、太陽の光を反射させ、キラキラと輝いている。
マリアは初めて見る海に感動していた。
「ロイス様!これが海ですか⁉︎初めて見ました!なんて綺麗な青、キラキラと輝いていて、まるで星が輝いているみたいです!」
「ここら辺は人族は竜人族くらいしかいないので、比較的穏やかな地域だし、海も綺麗ですね。
そこの海岸に降りますので、そこで休憩しましょう。」
ロイスはそう言い、少しずつ速度を下げ、海岸に降り立った。
着陸時に砂が舞ったがロイスが重力魔法で全てを押さえ付けた。
「ロイス様、今の魔法は重力ですよね?一体どれだけの魔法が使えるのですか?」
「重力ですね、基本私の魔力の限りの魔法なら一部を除いて全て知識としては使えますね。創造魔法などの少し特殊なものは使えるかわかりませんが。
それと、私の事はロイスでいいですよ。
これから婚約者として旅するなら様付けは可笑しいでしょうし、今のうちから慣れていきましょう。」
「わかりました、ロ....ロイス....」
マリアが顔を真っ赤に染め、照れたようだ。
それを見たロイスも何故か照れた。
「なに2人でイチャイチャしてるのよ、私を紹介してくれるんじゃないの?」
突如マリアの隣に大人びた女性が現れた。
身長は165cm程で痩せ型、出るとこは出てスレンダーな女性で、姉御肌的な雰囲気を感じる。
マリアもロイスも見た目はまだ子供な為、母親と子供2人の家族のように見える。
「ごめんシエル、ロイスさん、こちらはシエルと言って、お母様の契約精霊をしてた精霊で、本来は精霊同士契約出来ないんだけど、私に半分人の魂があるから契約出来たので、着いて来てくれたんです。
今後私とシエル共々よろしくお願いします。」
「初めましてロイスさん、マリアの母ユーリの契約精霊をしていた、シエルです。
一応これでも光の精霊の中では上位の存在ですよ?」
シエルは答えながらニコッと笑い、握手の為、手を差し出した。
その手を取り、握手を交わすと
「初めましてシエルさん、しばらくの間よろしくお願いします。
光の上位精霊という事は聖の精霊様ですか?
よくそんな方が純粋な人族だったユーリさんと契約出来ましたね。」
「さすが次期竜王様は知識が豊富ですね。
元々は光の精霊としてユーリと契約していたのですが、マリアがお腹に宿った時に、おそらくアバン様の力の関係で、上位に進化したと思います。
ですから、私はまだまだ新米の聖の精霊なので、敬称などは不要ですよ。
フランクに話して下さい、堅苦しいのは嫌いなんです!」
シエルが少しプクッとした顔で言い、ロイスは仕方ないと苦笑いし、
「では、これからは崩して喋りますね。
マリアさんの」
「ロイスさん!私にも敬称は要りません!マリアと呼んでください!」
ロイスの苦笑いが止まらない、
「わかったよ、マリアの周りに精霊の存在は確認していたけど、まさか上位の精霊とは思わなかったよ。
聖の精霊が近くにいてくれるなら、マリアに危害が及ぶ事はそうそう無さそうだから、安心したよ。
これからよろしくお願いします。」
「アバン様のネックレスもあるし、私と契約してることで、常時聖属性結界は張られてるからね、そうそう大丈夫だよ!
ロイスさんに関しては、ちょっとやそっとじゃ傷も付かないでしょ?
あっ、私はロイスさんて呼ぶからね?竜怖いもんwww」
ロイスの苦笑いは終わらない。
「なら私もシエルさんて呼びますね?見た目的にもその方がいいでしょう。」
「おばさんって言ってるの?」
聖属性の神聖な炎がシエルを囲んでいた.....
ロイスは慌てて言い訳するが、
「違います!今後の為です!客観的に見たら、その方がいいと思っただけです!」
「客観的におばさんって言ってるのね?」
シエルの炎の火柱が10m程立ち昇った...
するとそこへ、海の反対側の森から、10名程の気配を感じ、3人は振り返り、ロイスを先頭にシエルとマリアが下がる。
「この気配は竜人の方々ですか?騒がしくしてすいませんね。」
ロイスがそう声を掛けると、森の中から体長2.5m程ある二足歩行の竜の姿をした者が10人近寄って来た。
先頭に歩く者は、全身赤色の鱗に覆われており、レッドドラゴンの血筋の者だとわかる。
長槍を片手に持ち、1人だけ頭には兜を被っている。
先頭の竜人が跪くと、残りの9人も後ろで同じ様に跪くき、先頭の竜人が言葉を発した。
「お話中の所、失礼致します。
魔力から竜族の方と精霊様であると存じます。
私は竜人族の部隊長をしています、ヘイルガスと申します。
こちらに貴方の魔力を感じ、急いで駆けつけた所存です。
どの様な要件で来られたのか、聞かせていただいてもよろしいですか?」
「慌てさせた様ですいません、私は竜王ベルドランドの子ロイスと申します。
こちらの女性が精霊のシエル、こっちの女の子がマリアと言います。
竜の島に戻る途中で休憩に立ち寄っただけなので、長居するつもりはありませんよ。
驚かせたみたいですいません。」
竜王の子と聞き、竜人全員が更に平伏す。
「竜王様の御子息とは知らず申し訳ございません!
莫大な魔力を感じましたので、様子を見に来ただけでございますので、いつまでも滞在して頂いて大丈夫です!
もし宜しければ、私どもの集落で休まれては如何ですか?
大したおもてなしも出来ないので、恐縮ですが、このまま見送ったと族長に知られれば私共が叱られてしまいます。」
「そんなお気遣いいりませんよ、少し休憩したら島に戻りますので。
魔力はすいません、私の不注意なので、私が先を急いでいる事と、明日に時間があれば、そちらに立ち寄るとお伝え下さい。」
「ご配慮ありがとうございます。
確かに伝えますので、是非お立ち寄りください。
盛大に歓迎させていただきますので!」
ロイスはまた苦笑いが始まった...
「歓迎とか大袈裟にしないで下さい、普通に迎えてくれたら大丈夫ですよ、立ち寄りにくくなりますので。」
「わかりました!その旨も伝えておきますので、是非お願い致します。」
ロイスはヘイルガスの懇願にも似たお願いに、必ず立ち寄ると伝え、島への移動を再開させようと、竜の姿に戻った。
それを見た竜人達が、
「なんて神々しい....」
「とても綺麗な白銀、まさに次期王に相応しい..」
などと呟いていたが、ロイスは無視を決め込み、マリアとシエルに話しかけた。
「長居するとあれなんで、そろそろ行きましょう。
乗ってください。」
「そうですね、竜人族の方々、お邪魔しました。
私達2人も寄らせて頂くと思いますので、よろしくお願いしますね。」
「竜人の皆さんお邪魔してごめんなさい。
また会えた時はよろしくお願いします!」
とシエル、マリアの順に挨拶をし、ロイスの背に乗って、3人は飛び立って行った。
残された竜人達は
「次期竜王様に会えるなんて、来て良かった!」
「女性2人も凄い魔力を感じたぞ!1人は上位精霊じゃないか?子供の方は少し人の気配も混ざっていたが何者だろうか」
などと、喋りながら帰ったら自慢してやろうと、和かに帰路についた。




