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怠惰な彼に一握りの奇跡を  作者: とんぼとまと
第一章 嵐の夜の孤独な悪魔
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【8.5】嵐の晩の独り言

 一人の女の子が窓の外に顔を向けて、こう呟いた。


「今頃何をしているんでしょう……」


 先ほどからまた強くなってきた雨脚は、大きな窓に激しく打ち付けられている。時折走る稲妻が、その窓から一筋の閃光を部屋に差し込んでいる。


 女の子に不釣り合いな大きな部屋にはベッドが中央に一つぽつんと置かれ、その他には鏡台とタンスが一つ置いてある。


 部屋の内装は白い漆喰の上に幾何学的な模様が描かれており、細部にわたる仕上がりも一つ一つ丁寧に作られていた。


 鏡台は女の子の何倍もの大きさの物であり、その鏡面には一点の曇りもない、庶民が買えるような物ではなかった。タンスも高級な木材を使用した物で、木肌を生かした作りと、その細部の彫刻が普通に買えるような物ではなかった。


 この部屋に居ると、まるでお城に迷い込んだ様な気分になってしまうだろうが。そんな、浮ついた気分も感じさせることもなく、ただ自然に、その女の子は一人立っていた。


「少し会えないだけで、こんな気持ちになるなんて……」


 そう言って、少しうつむくと、暗い表情を浮かべている。すると、ガチャリと言う音と共に、後ろから声をかけてくる女性がいた。


「アリス、こんな時間までどうしたの?」

「あっ、お姉様、少し考え事をしていまして」


「そう、あまり夜更かしはダメよ」

「はい、お姉様」


「それからアリス、秘密のお散歩は楽しい?」


 お姉様と呼ばれる女性は、優しそうな顔でアリスを見つめ、そう言った。


「そうですね、とても楽しいです、楽しいですよ!」


 アリスは満面の笑みで、元気に、そう答えた。


「そう、後悔の無いようにね……」


 後悔の無いように、消え入る様な声で彼女はつぶやくと、少し悲しい表情を浮かべてアリスを見つめ、そして、ゆっくりと部屋を出て行ったのだった。


 そんな彼女を見送って、アリスはベッドに腰掛けると一人つぶやくのだった。


「嵐が過ぎれば、また会えますよね……」


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