第24話 友達のままでいたいのに
十二月二十五日。
午前九時。
『メリークリスマス!!!』
「…………」
通知。
陽斗。
グループ。
『放課後』
『朝からうるさい』
玲司。
『メリークリスマス』
小宮山。
『メリークリスマス〜!』
水瀬。
『メリークリスマス!』
黒瀬。
「…………」
俺。
『メリークリスマス』
送る。
すぐ。
陽斗。
『湊!!!!』
『何』
『昨日どうだった!?』
「…………」
昨日。
黒瀬。
クリスマスイブ。
二人。
『何が』
『黒瀬と!!!』
『普通』
『普通とは』
『遊んだ』
『何した!?』
『陽斗君』
水瀬。
『朝から尋問しない』
『莉央も気になるだろ!?』
『気になる』
『じゃあ同じじゃん!』
「…………」
スマホ。
置く。
通知。
鳴る。
鳴る。
鳴る。
「…………」
無視。
個人。
通知。
Yuu。
『逃げた?笑』
『うるさいから』
『答えてあげればいいのに』
『黒瀬が答えれば』
『嫌』
『何で』
『恥ずかしい』
「…………」
『何が』
『色々!』
色々。
昨日。
何が。
あった。
飯。
買い物。
ケーキ。
プレゼント。
イルミネーション。
写真。
『デートみたいだったね』
「…………」
思い出す。
『もし今日がデートだったとしても、私は楽しかったよ』
「…………」
スマホ。
伏せる。
朝から。
考えることじゃない。
◇
午前十時。
「行ってきます」
「バイト?」
母。
「うん」
「今日も?」
「夕方まで」
「昨日休んだから」
「ああ」
「…………」
玄関。
靴。
履く。
「あれ?」
「何」
母。
俺の。
首元。
見る。
「そのマフラー」
「…………」
「昨日の?」
「うん」
「使ってるんだ」
「寒いから」
「ふーん」
「何」
「似合ってる」
「……ありがとう」
「その子、センスいいね」
「…………」
「行ってきます」
「逃げた」
「行ってきます」
◇
店。
「おはようございます」
「おはよー」
店長。
俺。
見る。
「…………」
「何ですか」
「マフラー」
「何ですか」
「新しい?」
「はい」
「プレゼント?」
「…………」
「昨日休み」
「…………」
「クリスマスイブ」
「…………」
「なるほど」
「何も言ってないですよね」
「俺も何も言ってない」
「…………」
最近。
周り。
こういうの。
多すぎる。
◇
昼。
「三番お願いします」
「はい」
トレー。
持つ。
「お待たせしました」
置く。
「ごゆっくりどうぞ」
戻る。
「…………」
ポケット。
スマホ。
休憩。
確認。
通知。
『放課後』
五十七件。
「…………」
何を。
そんな。
話す。
開く。
陽斗。
『冬休み暇な人!!!』
水瀬。
『さっきも聞いてなかった?』
陽斗。
『暇なんだよ!』
玲司。
『部活』
小宮山。
『私は空いてる日あるよ』
黒瀬。
『私も』
陽斗。
『湊は!?』
俺。
『バイト』
即。
『働きすぎ!!!!』
「…………」
『毎日じゃない』
『じゃあ空いてる日教えろ!』
『何で』
『遊ぶから!』
「…………」
以前。
なら。
面倒。
そう。
思った。
でも。
『29なら空いてる』
送る。
『よし!!!!』
『じゃあ29日』
水瀬。
『私いける』
小宮山。
『俺も午後なら』
玲司。
黒瀬。
『行ける!』
「…………」
全員。
揃う。
『何する?』
俺。
送る。
少し。
止まる。
「…………」
何。
『朝倉君から聞いた』
水瀬。
『成長』
玲司。
『泣きそう』
陽斗。
『気持ち悪い』
俺。
『ひどい!』
黒瀬。
『ふふ』
小宮山。
『じゃあみんなで考えよう』
「…………」
普通。
こういうので。
いい。
六人。
いつも通り。
◇
十二月二十九日。
「寒い!」
陽斗。
「うるさい」
「寒いものは寒い!」
駅。
六人。
集合。
「で」
俺。
「何するの」
「何も決めてない!」
陽斗。
「何で集まったの」
「集まりたかったから!」
「…………」
「いいじゃん」
水瀬。
「こういうのも」
「まあ」
「とりあえずご飯?」
小宮山。
「まだ十一時」
玲司。
「じゃあカラオケ!」
陽斗。
「朝から?」
「昼前!」
「ほぼ朝」
「細かい!」
黒瀬。
笑う。
「カラオケ行こ」
「黒瀬歌うの?」
俺。
「歌うよ」
「意外」
「何で!?」
「ゲームしかしてないイメージ」
「朝倉君に言われたくない!」
「確かに」
「認めるんだ」
「…………」
六人。
歩く。
その途中。
「…………」
黒瀬。
マフラー。
してる。
俺が。
渡した。
ブレスレット。
袖。
少し。
隠れてる。
でも。
見える。
「…………」
使ってる。
「朝倉君」
「何」
「何見てるの」
「ブレスレット」
「…………」
黒瀬。
手首。
見る。
「つけてきた」
「うん」
「朝倉君も」
「何」
「マフラー」
「ああ」
「…………」
笑う。
「使ってるね」
「寒いから」
「それだけ?」
「それ以外何があるの」
「…………」
「何」
「別に」
「…………」
また。
その言葉。
◇
「由香」
水瀬。
「何?」
「それ」
「え?」
「ブレスレット」
「…………」
気づいた。
「新しい?」
「うん」
「可愛い」
「ありがとう」
「買ったの?」
「…………」
黒瀬。
俺。
見る。
「何で俺見るの」
「見てない!」
「見てた」
「見てない!」
水瀬。
俺。
見る。
次。
黒瀬。
見る。
「…………」
「何」
俺。
「朝倉君?」
「うん」
「まさか」
「何」
「プレゼント?」
「うん」
「朝倉君!」
黒瀬。
「何で言うの!?」
「隠すこと?」
「隠すことじゃないけど!」
「…………」
水瀬。
ブレスレット。
見る。
俺。
見る。
「朝倉君が選んだの?」
「うん」
「一人で?」
「うん」
「…………」
「何」
「へえ」
「何」
「へええ」
「やめろ」
「しかも」
水瀬。
俺の。
マフラー。
見る。
「それは?」
「…………」
「由香?」
「…………」
黒瀬。
顔。
赤い。
「私」
「交換したの?」
「まあ」
「クリスマスプレゼント?」
「うん」
「…………」
陽斗。
止まる。
「え」
「今?」
玲司。
「気づくの遅い」
「湊と黒瀬プレゼント交換したの!?」
「うん」
「二人で!?」
「二人で会ってたんだから」
「そうだけど!」
陽斗。
俺。
肩。
掴む。
「湊!」
「何」
「俺には!?」
「ない」
「友達だろ!?」
「クリスマス会ってないだろ」
「黒瀬にはあるのに!」
「約束したから」
「俺とも約束しよう!」
「嫌」
「何で!?」
笑い。
黒瀬。
少し。
安心したように。
笑う。
でも。
水瀬だけ。
「…………」
俺たち。
見てる。
「何」
「ううん」
笑う。
「似合ってるよ、二人とも」
「…………」
「ありがとう」
黒瀬。
俺。
「うん」
何か。
変な。
感じ。
◇
カラオケ。
「湊!」
「嫌」
「まだ何も言ってない!」
「歌わない」
「言おうとした!」
「分かる」
「一曲!」
「嫌」
「朝倉君」
黒瀬。
「歌わないの?」
「歌わない」
「聴きたい」
「嫌」
「友達でしょ?」
「関係ない」
「ケチ」
「黒瀬歌えば」
「歌うよ」
「じゃあどうぞ」
「逃げた」
黒瀬。
曲。
入れる。
「…………」
歌う。
普通に。
上手い。
「うま」
俺。
「え?」
黒瀬。
歌。
止まりそうになる。
「何」
「今」
「うん」
「上手いって言った?」
「言った」
「…………」
「何」
「ちゃんと聴いてたんだ」
「聴く以外何するの」
「スマホ見るとか」
「黒瀬歌ってるのに?」
「…………」
「何」
「いや」
笑う。
「嬉しい」
「…………」
また。
それ。
何でも。
嬉しいって。
言う。
こっちが。
困る。
◇
一時間後。
「湊!」
「嫌」
「まだ言ってない!」
「歌わない」
「一曲!」
「嫌」
「朝倉君」
黒瀬。
「…………」
「一曲」
「嫌」
「お願い」
「…………」
見る。
黒瀬。
両手。
合わせてる。
「…………」
「一曲だけ」
「やった!」
「由香だけずるくない!?」
水瀬。
「何が?」
「私たちが頼んでも歌わなかったのに!」
「…………」
確かに。
「朝倉君」
「何」
「私だから?」
「…………」
「…………」
黒瀬。
言ってから。
固まる。
「違っ」
「そうかも」
「…………」
部屋。
静か。
「え?」
陽斗。
「何で静かになるの」
俺。
「湊」
玲司。
「お前」
「何」
「いや」
顔。
逸らす。
「頑張れ」
「何を」
「何でもない」
最近。
玲司。
そればっか。
◇
歌う。
一曲。
終わる。
「…………」
「朝倉君」
黒瀬。
「何」
「普通に上手い」
「普通にって何」
「もっと下手かと」
「失礼」
「また歌って」
「嫌」
「何で!」
「一曲って言った」
「ケチ!」
「…………」
でも。
少し。
楽しかった。
◇
昼。
ファミレス。
六人。
「もう年末かー」
陽斗。
「早いね」
小宮山。
「三学期すぐ終わるよ」
水瀬。
「二年もあと三か月くらいか」
玲司。
「…………」
あと。
三か月。
二年生。
終わる。
「クラス替え嫌だな」
陽斗。
「…………」
俺。
顔。
上げる。
「何」
陽斗。
「いや」
「三年クラス替えあるだろ?」
「ある」
「この六人バラバラになったら最悪」
「…………」
考えたこと。
なかった。
いや。
考えないように。
してた。
のかもしれない。
今。
この六人。
毎日。
話す。
昼。
一緒。
放課後。
遊ぶ。
グループ。
連絡。
黒瀬。
「…………」
三年。
別の。
クラス。
「朝倉君?」
黒瀬。
「何」
「どうしたの」
「別に」
「…………」
「朝倉君は?」
水瀬。
「何」
「クラス替え」
「…………」
「寂しい?」
以前なら。
即答。
してた。
別に。
誰とでも。
同じ。
そう。
言えた。
「…………」
今は。
「嫌かも」
「…………」
五人。
見る。
「何」
「湊ぉ……!」
陽斗。
「近寄るな」
「成長した!」
「うるさい」
「私もちょっと嬉しい」
小宮山。
「何で」
「朝倉君、前なら『別に』って言いそうだから」
「…………」
「俺も嫌だな」
玲司。
「六人一緒が一番楽」
「うん」
水瀬。
「私も」
黒瀬。
俺。
見る。
「…………」
「私も嫌」
「…………」
「できれば」
笑う。
「また同じクラスがいいね」
「うん」
自然。
返す。
本当に。
そう思った。
◇
食事。
終盤。
「そういえば」
水瀬。
「何」
陽斗。
「年明け」
「うん」
「初詣行かない?」
「いいじゃん!」
「みんなで?」
小宮山。
「うん」
「俺部活確認する」
玲司。
「湊は?」
「バイト次第」
「黒瀬?」
「行く!」
「じゃあ決まりね」
「まだ玲司と俺決まってない」
「空けて」
「強い」
「一月三日とかなら?」
「多分いける」
玲司。
「俺も確認する」
「朝倉君」
黒瀬。
「何」
「来てね」
「シフト次第」
「来て」
「圧」
「来て」
「分かったから確認する」
「うん」
笑う。
「…………」
こうやって。
次。
予定。
決まる。
今まで。
冬休み。
予定なんて。
バイト。
ゲーム。
それだけ。
だった。
今年。
違う。
◇
午後。
ゲームセンター。
ボウリング。
買い物。
気づけば。
夕方。
「そろそろ帰る?」
小宮山。
「そうだな」
玲司。
「俺まだ遊べる!」
陽斗。
「一人でどうぞ」
水瀬。
「冷たい!」
駅。
向かう。
途中。
水瀬。
黒瀬。
二人。
少し。
前。
歩く。
小宮山。
玲司。
話してる。
俺。
陽斗。
「湊」
「何」
「聞いていい?」
「内容による」
「黒瀬のこと」
「…………」
「何」
「好きなの?」
「…………」
足。
止まりそうになる。
「…………」
「…………」
「何で」
「いや」
陽斗。
珍しく。
ふざけてない。
「何となく」
「…………」
「二人、仲いいじゃん」
「友達だから」
「うん」
「それだけ」
「…………」
「何」
「じゃあさ」
陽斗。
「黒瀬に彼氏できても平気?」
「…………」
彼氏。
「…………」
黒瀬。
前。
歩いてる。
水瀬と。
笑ってる。
そこに。
知らない。
男。
隣。
黒瀬が。
そいつに。
笑う。
ゲーム。
一緒。
する。
休み。
二人で。
出かける。
クリスマス。
プレゼント。
交換。
「…………」
胸。
奥。
変。
「湊?」
「…………」
「分からない」
「そっか」
「何でそんなこと聞くの」
「いや」
陽斗。
少し。
笑う。
「俺も最近分かってきたから」
「何が」
「玲司とか莉央が言ってたこと」
「何」
「それは自分で考えろ」
「…………」
「でも」
「うん」
「別に急がなくていいんじゃね?」
「何を」
「だから」
笑う。
「自分で考えろって」
「…………」
うざい。
でも。
『黒瀬に彼氏できても平気?』
その言葉。
残る。
◇
駅。
「じゃあね!」
水瀬。
「また初詣」
小宮山。
「連絡する」
玲司。
「絶対な!」
陽斗。
それぞれ。
別れる。
俺。
黒瀬。
また。
同じ方向。
「…………」
「朝倉君」
「何」
「今日」
「うん」
「ちょっと変じゃない?」
「そう?」
「帰りくらいから」
「…………」
「何かあった?」
「別に」
「…………」
黒瀬。
俺。
見る。
「その『別に』」
「うん」
「本当に何かあるときのやつ」
「…………」
「最近分かるようになった」
「何それ」
「長い付き合いですから」
「一年もない」
「でも毎日話してる」
「…………」
「何かあった?」
聞く。
黒瀬。
顔。
見る。
「…………」
好きなの?
陽斗。
声。
頭。
出る。
「黒瀬」
「何?」
「…………」
好きな人。
いる?
聞こうと。
した。
「…………」
「朝倉君?」
「いや」
「何?」
「…………」
無理。
「初詣」
「うん」
「行けたら行く」
「…………」
「ほんと?」
「うん」
「やった」
笑う。
「楽しみ」
「…………」
その顔。
見て。
また。
胸。
変。
何なんだ。
本当に。
◇
夜。
ゲーム。
ログイン。
Yuu。
いる。
招待。
来る。
参加。
『今日は楽しかった』
『うん』
『朝倉君歌ったし』
『忘れろ』
『動画撮ればよかった』
『次歌わない』
『嘘!』
『黒瀬のせい』
『ごめんなさい』
『早い』
『また歌ってほしいから』
「…………」
『考えとく』
『やった』
ゲーム。
始まる。
でも。
今日。
少し。
集中。
できない。
『敵右』
「…………」
遅れる。
ダメージ。
『朝倉君?』
『ごめん』
『珍しい』
『うん』
『やっぱ何かあった?』
「…………」
学校。
帰り。
同じ。
聞かれた。
『別に』
『絶対ある』
『ない』
『ある』
『ない』
『じゃあ』
少し。
間。
『私には言えないこと?』
「…………」
黒瀬のこと。
だから。
言えるわけ。
ない。
『まだ分からない』
『?』
『俺も』
『何が』
『分からない』
送る。
黒瀬。
少し。
返事。
ない。
『そっか』
それだけ。
『じゃあ』
『うん』
『分かったら教えて』
「…………」
いつも。
そう。
無理に。
聞かない。
『うん』
『約束』
『分かった』
◇
ゲーム。
終わる。
『おやすみ』
『おやすみ』
ログアウト。
ベッド。
寝る。
でも。
目。
閉じると。
『黒瀬に彼氏できても平気?』
「…………」
また。
出てくる。
平気。
友達なら。
友達に。
恋人。
できる。
普通。
祝う。
おめでとう。
そう。
言う。
はずなのに。
黒瀬に。
彼氏。
できる。
想像。
しただけで。
嫌だった。
「…………」
何で。
黒瀬が。
誰と付き合っても。
黒瀬の自由。
俺が。
何か。
言うことじゃない。
分かってる。
でも。
嫌。
だった。
「…………」
じゃあ。
俺は。
黒瀬に。
何を。
求めてる。
ゲーム。
一緒にしたい。
学校。
話したい。
二人で。
出かけたい。
笑って。
ほしい。
それを。
他の誰かに。
取られたくない。
「…………」
そこまで。
考えて。
胸。
速くなる。
「…………」
いや。
待て。
取られる。
って。
何だ。
黒瀬は。
俺のものじゃない。
友達。
なのに。
「…………」
友達。
だから。
大切。
友達。
だから。
離れたくない。
友達。
だから。
誰かに。
取られたくない。
「…………」
最後だけ。
何か。
違う。
気がした。
◇
スマホ。
光る。
午前零時。
Yuu。
『寝た?』
「…………」
『まだ』
『私も』
『何』
『なんとなく』
「…………」
『今日さ』
『うん』
『クラス替えの話したじゃん』
『うん』
『三年も』
少し。
間。
『同じクラスだといいね』
「…………」
『うん』
すぐ。
送る。
『俺もそう思う』
既読。
『ほんと?』
『うん』
『黒瀬たちと離れるの嫌』
送ってから。
気づく。
「…………」
黒瀬たち。
逃げた。
本当は。
今。
一番。
頭に浮かんだの。
黒瀬。
なのに。
『私も』
返ってくる。
『みんなと離れるの嫌』
「…………」
同じ。
黒瀬も。
みんな。
って。
言った。
「…………」
何で。
少し。
残念。
なんだ。
『朝倉君』
『何』
『でも』
『うん』
『もしクラス離れても』
『ゲームはできるし』
『遊べるし』
『私たち友達なのは変わらないからね』
「…………」
友達。
変わらない。
安心。
する。
はず。
なのに。
今は。
その言葉。
少し。
苦しい。
『うん』
送る。
『そうだな』
『うん』
『おやすみ』
『おやすみ』
スマホ。
置く。
「…………」
友達のまま。
なら。
黒瀬を。
失わない。
ゲーム。
できる。
話せる。
遊べる。
隣。
いられる。
だったら。
それで。
いい。
はず。
なのに。
黒瀬に。
いつか。
好きな人が。
できたら。
その人が。
俺より。
近い場所に。
行く。
それを。
想像すると。
嫌だった。
「…………」
俺は。
多分。
もう。
気づき始めていた。
でも。
認めたら。
今の関係が。
変わる。
そんな気がして。
まだ。
その感情に。
名前を。
つけることが。
できなかった。
友達のままで。
いたい。
なのに。
友達のままでは。
嫌なのかもしれない。
そんな。
矛盾だけを。
抱えたまま。
俺の。
初めての。
友達と過ごす一年が。
終わろうとしていた。




