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『クラスでほとんど誰とも話さない俺の、人生で初めてできた友達は――クラスで一番人気の女子だった。』  作者: 湊


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13/45

第13話 学校では、今まで通り


 黒瀬由香が、Yuuだった。


 その事実を知ってから。


 俺の日常は――。


『Nagi、今日バイト?』


『昼から』


『何時まで?』


『8時』


『じゃあ9時からゲーム!』


『勝手に決めるな』


『予定ある?』


『ない』


『じゃあ決定!』


「…………」


 思ったほど。


 変わらなかった。


     ◇


 夏休み。


 午前十一時。


 俺はバイトへ向かうため、家を出た。


 暑い。


 蝉。


 日差し。


 夏休みに入って一週間以上経った。


 黒瀬と初めて会ってからも数日。


 あの日以来。


 ゲームで話す内容は、ほとんど変わっていない。


 ただ。


 少しだけ。


 違う。


『今日暑すぎ』


 Yuuから。


『知ってる』


『外出たくない』


『じゃあ出るな』


『買い物行かないと』


『何買うの』


『服』


『ゲームで着るの?』


『着るわけないでしょ!』


「…………」


 以前なら。


 文字しか浮かばなかった。


 今は。


 黒瀬が頬を膨らませている顔が浮かぶ。


 そこが。


 変わった。


『そういえば』


『何』


『朝倉君ってバイト中はちゃんと笑うの?』


「…………」


『何その質問』


『学校だとあんまり笑わないから』


『笑う』


『見たい』


『嫌』


『なんで!』


『バイト先来るなよ』


『まだ場所知らないし!』


「…………」


 そう。


 俺が働いているカフェの場所までは教えていない。


 学校に知られれば面倒になる。


 黒瀬には。


 そこまで巻き込みたくない。


『じゃあ行ってくる』


『頑張ってー!』


『うん』


 スマホをしまう。


 そして。


 ふと思う。


 俺。


 普通に黒瀬と連絡取ってるんだよな。


「…………」


 いまだに。


 変な感じだ。


     ◇


 その日の夜。


 午後八時五十二分。


 帰宅。


 シャワー。


 飯。


 九時十五分。


 ゲームを起動する。


 Yuu。


 オンライン。


 招待。


『遅い!』


『15分』


『9時って言った!』


『バイト8時までなんだから無理だろ』


『急いで!』


『嫌』


『ひどい』


 パーティーに入る。


 試合。


 一戦目。


 二位。


 二戦目。


 一位。


 三戦目。


 三位。


 そして。


 四戦目の途中。


『右いる』


 Yuu。


『分かってる』


『二人』


『一回引く』


『了解』


 俺が下がる。


 黒瀬も下がる。


 敵が追ってくる。


 俺が一人を削る。


 黒瀬が仕留める。


 もう一人。


 俺。


 撃つ。


 倒す。


『ナイス!』


「…………」


 前と。


 同じ。


 なのに。


 少し違う。


 画面の向こうにいるのが。


 黒瀬だと分かっている。


 それだけで。


 不思議な感覚になる。


 試合終了。


 二位。


『惜しい!』


『最後ミスった』


『私も』


『もう一回』


『その前に休憩!』


 ロビーへ。


『Nagi』


『何』


『今度さ』


『うん』


『またどっか行かない?』


「…………」


 指が止まる。


 初めて会ったとき。


 黒瀬は言った。


『また行こうね』


 俺も。


『また行こう』


 そう答えた。


『どこ』


『まだ決めてない』


『決めてから誘え』


『そこから一緒に決めるのが友達じゃん!』


「…………」


 友達。


 もう。


 その言葉を見ても。


 前ほど戸惑わなくなった。


『何したい』


『んー』


『ゲームセンターとか?』


『ゲーセン?』


『嫌?』


『別に』


『じゃあ行こ!』


『いつ』


『来週!』


『雑』


『予定見て!』


「…………」


 カレンダーを開く。


 バイト。


 火、木、土。


 それ以外。


『水曜なら』


『空いてる!』


『じゃあ水曜』


『決まり!』


 あっさり。


 二回目の予定が決まった。


「…………」


 前回。


 あれだけ緊張したのに。


 今回は。


 会うことを決めるまで。


 一分もかからなかった。


     ◇


 水曜日。


「朝倉君!」


 駅前。


「…………」


 黒瀬が手を振っている。


 今日は。


 すぐ分かった。


「おはよう」


「おはよ!」


「早いな」


「朝倉君が遅い」


「待ち合わせ十分前」


「私は十五分前」


「知らない」


「五分待った」


「じゃあ五分遅く来ればよかっただろ」


「そういう問題じゃない!」


「…………」


「…………」


 普通に。


 話せる。


 前回。


『暑いね』


『暑い』


 で会話が終わったのが嘘みたいだ。


「行く?」


「うん!」


 並んで歩く。


 黒瀬由香。


 同じクラス。


 なのに。


 学校でこうして二人で歩いたことはない。


 夏休みだから。


 できること。


     ◇


「朝倉君!」


「何」


「取って!」


「無理」


「まだやってないじゃん!」


「無理そう」


「やってみないと分からない!」


「千円使ってるだろ」


「あと一回!」


「それ三回前にも聞いた」


「…………」


 ゲームセンター。


 黒瀬が。


 猫のぬいぐるみを見ている。


 クレーンゲーム。


「欲しいの?」


「……ちょっと」


「取れるまでやる?」


「それやったら破産する」


「じゃあ諦めろ」


「うぅ……」


「…………」


 そんな顔するなよ。


「貸して」


「え?」


 百円。


 投入。


「朝倉君できるの?」


「普通」


「普通って何」


「見てて」


 アーム。


 動かす。


 横。


 奥。


「そこ!」


「うるさい」


「もうちょっと右!」


「俺がやってる」


「監督!」


「黙って」


 下降。


 アームがぬいぐるみを掴む。


 持ち上がる。


「あ!」


 落ちる。


「…………」


「…………」


「惜しい!」


「いける」


「ほんと?」


「多分」


 二回目。


 少し位置を変える。


 下降。


 掴む。


 出口へ。


「……!」


 落下。


 ゴトン。


「…………」


「取れた!」


 黒瀬がしゃがみ込む。


 猫のぬいぐるみを取り出す。


「すご!」


「二百円」


「朝倉君すごい!」


「たまたま」


「ありがとう!」


 ぬいぐるみを抱く。


 嬉しそう。


「…………」


「何?」


「いや」


「また見てた」


「見てない」


「絶対見てた!」


「猫好きなんだなと思って」


「言ったじゃん」


「ああ」


 そうだった。


 まだ。


 顔も知らなかった頃。


『犬派?猫派?』


『猫』


『私も!』


 そんな話をした。


「……本当だったんだな」


「何が?」


「猫好き」


「嘘つく意味ないでしょ!」


「ネットだから」


「朝倉君、私のこと疑いすぎじゃない?」


「最初は顔も知らなかったから」


「じゃあ今は?」


「…………」


「今も疑ってる?」


 黒瀬を見る。


 ぬいぐるみを抱えて。


 俺を見ている。


「いや」


「…………」


「今は信じてる」


「…………」


 黒瀬が。


 少しだけ目を逸らした。


「……そっか」


「何」


「別に」


「ならいいけど」


「この子大事にする」


「二百円だけど」


「値段じゃないの!」


「はいはい」


「絶対分かってない!」


     ◇


 そのあと。


 音ゲー。


 レースゲーム。


 シューティング。


 いろいろやった。


「黒瀬」


「何?」


「下手」


「うるさい!」


「FPSやってるのに」


「これは別!」


「照準合わせるだけだろ」


「操作違うもん!」


「言い訳」


「もう一回!」


「負けたら?」


「ジュース奢る」


「いいよ」


「勝ったら朝倉君が奢る!」


「分かった」


 三分後。


「…………」


「…………」


「何飲む?」


「コーラ」


「最悪」


「勝負だから」


「手加減してよ!」


「なんで」


「女の子に優しく!」


「勝負に関係ある?」


「モテないよ」


「知ってる」


「そこ即答しないでよ!」


 黒瀬が笑う。


 俺も。


 笑う。


 学校で。


 こんなに誰かと笑ったこと。


 あっただろうか。


     ◇


 昼。


 フードコート。


「疲れた」


「黒瀬がやりすぎ」


「朝倉君も楽しんでたじゃん」


「まあ」


「ほら」


 向かい合って座る。


 黒瀬はオムライス。


 俺も。


 オムライス。


「…………」


「何?」


「被った」


「あ」


 黒瀬が笑う。


「朝倉君オムライス好きだもんね」


「覚えてたの?」


「質問ゲームで言ってたじゃん」


「結構前だろ」


「覚えてるよ」


「…………」


「朝倉君は?」


「何が」


「私の好きな食べ物」


「甘いもの」


「ざっくり!」


「ケーキ」


「正解」


「ほら」


「じゃあ苦手なもの」


「辛いもの」


「……覚えてるじゃん」


「聞いたから」


「ふーん」


 黒瀬が嬉しそうに笑う。


「何」


「別に?」


「その顔何」


「何でもない」


 オムライスを食べる。


 少しして。


 黒瀬が言った。


「ねえ」


「何?」


「二学期始まったらさ」


「うん」


「どうする?」


「…………」


 何のことか。


 すぐ分かった。


「学校?」


「うん」


「今まで通りじゃないの?」


「そうなんだけど」


 黒瀬がスプーンを置く。


「なんか」


「何」


「無理じゃない?」


「…………」


「だって朝倉君のこと、もうNagiだって知ってるし」


「俺も」


「学校で見かけても」


「うん」


「知らない人みたいにするの変じゃない?」


「…………」


 確かに。


 以前は。


 黒瀬を見ても。


 クラスの人気者。


 それだけだった。


 今は違う。


 こいつが。


 毎晩話している相手。


 ゲームで何度も一緒に一位を取った相手。


 俺のバイトの秘密を知っている。


 俺が。


 友達だと言った相手。


「でも」


 俺は言う。


「急に学校で話したら変だろ」


「それはそう」


「水瀬とか絶対何か言う」


「…………」


「何」


「それは間違いない」


「だろ」


「莉央、絶対聞いてくる」


『いつから仲いいの!?』


 容易に想像できる。


「だから」


「今まで通り?」


「……基本は」


「基本?」


「全く話さないのも変じゃない?」


 自分で言って。


 少し驚く。


 俺から。


 学校でも黒瀬と話すことを提案した。


「…………」


 黒瀬も驚いている。


「何」


「いや」


「何だよ」


「朝倉君からそう言うんだと思って」


「…………」


「前だったら絶対『今まで通りで』って言いそう」


「うるさい」


「成長したね」


「Yuu先生のおかげ?」


「そうです」


「調子乗るな」


「あはは」


 でも。


 本当に。


 そうなのかもしれない。


     ◇


 夏休みは。


 思っていたより早く過ぎていった。


 バイト。


 ゲーム。


 玲司と陽斗とも何度かゲームをした。


 陽斗は。


 本当に下手だった。


『湊! 助けて!』


『どこ』


『分からん!』


『マップ見ろ』


『撃たれてる!』


『だからどこ』


『死んだ!』


『…………』


 玲司と二人で。


 何度ため息をついたか分からない。


 それでも。


 楽しかった。


 Yuu――黒瀬とは。


 相変わらず。


 ほぼ毎日ゲームをした。


 そして。


 たまに。


 現実でも会った。


 ゲームショップ。


 ゲームセンター。


 本屋。


 ファストフード。


 特別なことは。


 何もしていない。


 ただ。


 一緒に過ごした。


 それだけ。


 でも。


 去年までの夏休みとは。


 全然違った。


 去年は。


 夏休みが終わっても。


 何も思わなかった。


 学校が始まる。


 面倒。


 それだけ。


 今年は――。


『明日から学校だね』


 夏休み最終日。


 Yuuから。


『そうだな』


『嫌?』


『まあ』


『私はちょっと楽しみ』


『珍しい』


『だって』


 少し間。


『朝倉君いるし』


「…………」


 心臓が。


 一瞬。


 変な鳴り方をした。


『毎日ゲームで話してるだろ』


『それとこれとは別!』


『何が違う』


『顔見れる』


「…………」


『夏休みも会ったじゃん』


『毎日じゃないでしょ』


『…………』


 何を返せばいい。


『Nagi?』


『何』


『照れた?』


『違う』


『絶対照れてる笑』


『寝る』


『逃げた!』


『明日学校』


『はいはい』


 そして。


『じゃあまた明日』


 俺は。


 その言葉を見る。


 また明日。


 以前。


 俺には縁のなかった言葉。


 今は。


 自然に返せる。


『また明日』


     ◇


 二学期。


 初日。


 教室の前。


「…………」


 なぜか。


 緊張する。


 自分のクラスなのに。


 毎日通っていた教室なのに。


 扉を開ける。


「おっ!」


 最初に気づいたのは陽斗。


「湊!」


「朝からうるさい」


「久しぶり!」


「ゲームしただろ」


「リアルでは久しぶり!」


「三日前に会った」


「細かい!」


 玲司もいる。


「おはよ」


「おはよう」


「宿題やった?」


「やった」


「陽斗が死んでる」


「見れば分かる」


「助けてくれ湊!」


「嫌」


「提出今日なんだよ!」


「知らない」


 いつもの。


 陽斗。


 玲司。


 少し。


 安心する。


 そして。


「おはよー!」


 女子たちの声。


「由香おはよ!」


「莉央おはよー」


 黒瀬。


 水瀬。


 小宮山。


 三人が教室へ入ってくる。


「…………」


 黒瀬を。


 見る。


 夏休み。


 何度も会った。


 昨日も。


 ゲームで話した。


 なのに。


 制服姿を見るのは。


 久しぶり。


「…………」


 黒瀬も。


 俺を見る。


 目が合う。


「…………」


「…………」


 学校では。


 今まで通り。


 基本的には。


 そう決めた。


 だから。


 黒瀬は水瀬たちのところへ。


 俺は自分の席へ。


 それでいい。


 ……はずだった。


「…………」


 黒瀬が。


 俺の横を通る。


 その瞬間。


「……おはよ」


 小さな声。


 俺にしか。


 聞こえないくらい。


「…………」


 一瞬。


 遅れて。


「……おはよう」


 返す。


 黒瀬は。


 そのまま歩いていった。


 振り返らない。


 でも。


 少しだけ。


 口元が笑っていた。


「…………」


 俺も。


 席へ座る。


 学校では。


 今まで通り。


 そのはずなのに。


「湊」


「何」


 玲司。


「今、黒瀬と挨拶した?」


「…………」


「してない」


「しただろ」


「してない」


「ふーん」


「何」


「別に」


 玲司が。


 少しだけ笑っている。


「…………」


 まずい。


     ◇


 昼休み。


 陽斗と玲司が俺のところへ来る。


「飯食おうぜ」


「うん」


 もう。


 断る理由もない。


 机を寄せる。


 弁当。


「湊、唐揚げくれ」


「嫌」


「一個!」


「嫌」


「ケチ!」


「自分で買え」


 その向こう。


 黒瀬たち。


「夏休みどこ行った?」


 水瀬が聞いている。


「んー、いろいろ」


 黒瀬。


「いろいろって?」


「買い物とか」


「誰と?」


「…………」


 黒瀬が。


 一瞬。


 こっちを見る。


「友達」


「誰?」


「友達は友達!」


「怪しい」


「何が!」


「男?」


「…………」


 黒瀬が固まる。


「え」


 水瀬の目が変わった。


「その反応」


「違う!」


「男なんだ!」


「違うって!」


「由香!」


「声大きい!」


「誰!?」


「秘密!」


「怪しい!」


「…………」


 俺は。


 弁当を見る。


 聞こえない。


 何も。


 聞こえない。


「湊」


 陽斗。


「何」


「顔赤くない?」


「暑い」


「冷房効いてるけど」


「…………」


 玲司が。


 俺を見る。


 そして。


 黒瀬を見る。


 また。


 俺を見る。


「…………」


「何」


「別に」


「さっきからそればっかだな」


「気のせい」


 嫌な予感。


     ◇


 午後。


 体育祭の実行委員が前に出た。


「じゃあ二学期最初の大きい行事なんだけど――」


 黒板。


 大きく書かれる。


 体育祭


「種目決めるぞー!」


 教室が一気に騒がしくなる。


「リレー出たい!」


「俺サッカー部だから走る系!」


「女子どうする?」


「綱引き楽じゃない?」


 俺は。


 黒板を見る。


 体育祭。


 今まで。


 学校行事は嫌いだった。


 誰と組むか。


 誰と動くか。


 休憩時間をどう過ごすか。


 そういうことを。


 考えないといけないから。


 去年は。


 適当に余った種目に入った。


 今年も。


 そうなると思っていた。


「湊」


「何?」


 陽斗。


「何出る?」


「何でもいい」


「じゃあ一緒のやつ出ようぜ」


「…………」


「玲司も」


「俺も?」


「三人で出れるやつ!」


「そんな種目ある?」


「探す!」


「…………」


 陽斗がプリントを見る。


「これ!」


 指差す。


「障害物リレー!」


「嫌」


「即答!?」


「目立つ」


「いいじゃん!」


「嫌」


「玲司!」


「俺は別に」


「二対一!」


「多数決じゃない」


「湊ぉ!」


 うるさい。


 でも。


 去年とは。


 違う。


 余ったところへ入るんじゃない。


 誰かが。


 俺と一緒に出ようとしている。


「…………」


 ふと。


 黒瀬を見る。


 向こうも。


 種目を決めている。


 水瀬。


 小宮山。


 黒瀬。


 楽しそうに。


 話している。


 そして。


 黒瀬が。


 こっちを見る。


 目が合う。


 口が。


 ほんの少し動いた。


 ――何出るの?


「…………」


 声は。


 聞こえない。


 でも。


 なんとなく。


 分かった。


 俺も。


 プリントを指差す。


 障害物リレー。


 黒瀬が。


 笑った。


「…………」


「湊?」


「何」


「何で急に障害物リレー指差した?」


「……出る」


「え?」


「障害物リレー」


「マジ!?」


「気が変わった」


「よっしゃ!」


 陽斗が騒ぐ。


 玲司が。


 また俺を見る。


「…………」


「何」


「いや」


 玲司が小さく笑った。


「二学期、面白くなりそうだなと思って」


「何それ」


「別に」


 意味が分からない。


 でも。


 そのときの俺は。


 まだ気づいていなかった。


 夏休み。


 二人だけの秘密だった関係が。


 学校に戻れば。


 ずっと。


 二人だけのままでいられるはずがないことに。


 そして。


 この体育祭をきっかけに。


 俺と黒瀬の関係が――。


 少しずつ。


 周りにも見え始めることを。

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