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追放された「保険屋」、「保険プラン」でのんびり生きます~えっ!?この状態からでも入れる保険があるんですか!?~  作者: ウィザード・T
第一章 保険屋、追放される

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マセイとシギチャ

「あ、マセイ、シギチャ……」


 ファースではなくノジローを指差しながら笑う、男どころか青年と言えるかさえも怪しいやや大柄なそれと小柄な男性二人。

 平たく言えば、少年二人。


「んだよもしかしてお前、俺らの前に冒険者になったってのか!?」

「明日の天気は大雨ですよ、こりゃ間違いないっすねアニキ!」

「キミらは何だ、ノジローの友だちかなんかか」

「「アーッハッハッハッハ!!」」


 ワナの直撃を食らったにもかかわらず顔を崩さないファースに対し、二人はまた品のない笑い声を投げ付けた。


「ってかここまで何しに来たんだよ」

「村中で一番の弱虫が冒険者になるとかって言うから引き留めに来ただけだよ、うーん俺様ってマジで超優しいじゃん?なあシギチャ」

「そうですね、アニキの慈悲は天下一っす!」

「大きなお世話だ」


 小柄の方の少年が大柄の方の少年からシギチャと呼ばれている事からして、大柄の方がマセキなのだろう。


「もしかして罠師か」

「なんだオッサン案外鋭いじゃないっすか、俺は罠師として戦士であるアニキと一緒に冒険家になりに来たんすよ!」

 「罠師」と言うのは誰にも知られずトラップをかけて相手をはめるジョブであり、「戦士」や「保険屋」と同じ天性の素質の一つだ。それなりにメジャーなジョブであり、罠師として数多な魔物を罠にかけAランクまで上り詰めた冒険者もいる。だがやはり単独で務まる仕事ではなく、ほとんどの場合「罠師」が罠をかけて動きを止め他の専門家に倒させるのが役目である。もちろんその性格上冒険者と言っても小さな村などで野生動物を捕獲する仕事を請け負う「罠師」も多く、「Aランク冒険者」も実際にはそういう類だった。

「ってか何があったか知らないが、俺はノジローとパーティーを組んでるんだ。お引き取り願おう」

「うっわー、マジで言ってんのこの人?知らねえって事は本当に恐ろしいぜ」

「オッサンと言って悪かったっすよ、お兄さんまだ若いんでしょ」

「口だけで戦いに勝てるんなら武器は要らない」

「俺は戦いをしに来たんじゃないんです、心配をしてるだけなんです!ささノジローこんな危ないもんは」



 バシッと言う音が鳴り響く。



 親切心の権化のような顔をしながらノジローの腰の得物を奪い取ろうとしたマセイに向かって、ファースの手が全力で振り下ろされたのだ。


「いっ!」

「叩いた叩かれたと言うか斬った斬られたが冒険者だ。どうしても自分の欲望を果たしたいんならば力を見せろ」

「俺はあくまでもノジローの命が惜しいだけなんですよ!」

「ボクはもう決めたんだ、邪魔されるいわれはない!」


 ノジローが奪われそうになった得物に手を回しながらマセイを睨むと、マセイは立ちくらみでも起こしたかのようによろめいた。

「視線ひとつでひるんでどうするんだか」

「違いますよ、かけっこでも荷物運びでもいつもドンケツだったノジローが自殺する気なのかって考えるとどうしてもいたたまれなくなっちまいまして、お兄さんお名前は」

「ファースだ」

「ファースさんからもどうかおやめくださるように申し上げちゃくれませんかね」

「馬鹿も休み休み言え」


 ファースは頭を抱えたそうにうつむいた。

 二人して心配しているふりをして心底からノジローの事を舐め切っており、それこそ一生単位の屈従を求めている。一生俺たちの子分でいろと言う強権的なそれである—————。



 と言うのが、ファース自身の体験談だった。



 元より金と言う使えばなくなる物しか与えられなかったファースはコクチョたちに捨てられればソロでやって行く事は不可能であり、コクチョは大声で、クツノイは暴力で、アタムロは理詰めで、ずっと叩き込んで来た。

 彼らがなぜ自分を追放したのか、それはおそらく自分たちがAランクパーティーとそれにふさわしいレベルになったからでありもはやファースとか言う道具にこれ以上の使い道はないと見た事をファースもよくわかっていた。

 それは大げさかもしれないが、子どもゆえの無邪気さがこの上なく残酷な方向に進もうとしているとファースは強く感じていた。


「何だこれ、俺らなんかすげえ悪者扱いされてねえか!?あー悲しい、マジすげえ悲しい!」

「いやマジなんすよノジローが弱いのって、ですから俺ら本当に忍びなくって、マジ頼むっすよ!」

「せっかくやる気になってる奴の腰を折ろうだなんて悪趣味だ、去れ」

「今すぐノジローがやめてくれるって言うなら去りますけど、な、ノジロー、帰ろうぜ。冒険家なんかやめて、な」

「断る」

「てめえ!もう頭来た!」


 そのファースの感情を逆なでするかのように悲しい振りをして煽りまくるマセイとシギチャが、ノジローの二文字とも四文字とも言える単語に二人して足を踏み鳴らしながら声を張り上げた。


「お前のような弱虫は一撃でぶっ飛ばしてやる!そうなったら俺らの言う通り冒険家なんて危ないことはやめてもらうからな!」

「わかったよ。ファース、これはボクの戦いだ!」

「やってみせろ」




 そしてその流れのまま、二人は最後の手段に出たのである。

え?前回のあれは嘘じゃねえか?すいませんもう1話だけ待って下さい!

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