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(6)

「あの女……何者?」


木漏れ日が差す森の、とある一本の木の上。

ピエロがベースモチーフの、ネコの仮面を外した少女。

陽があたる場所で、自分の仲間と体術で戦っているプラチナブロンドの髪の女を上から見て、ロゼは呟いた。

最初に奇襲を仕掛けたのはロゼだ。

木の上からタイミングを見計らい、新しく戦隊長に就くという女とその副官だという男に、蹴りをお見舞いするつもりだった。

だが、二人は上から降ってくる自分に直前で気づき、避けたのだ。

もちろん、避けられた時の陣形は予測プランに組み込まれているため、その後を引き継ぐように別の仲間が応戦に入ったのだが。


(今までのブタは避けられたことなんて無かったのに…)


驚かなかったといえば、嘘になる。 

彼女を初めて見たとき、最初に思った事は『ふざけるな』だ。

今までの豚は使えない奴らばかりだったが、今回はさらにひどい。

どっかの高官の娘がお遊びで兵隊ごっこをしてみたいとでも言ったのだろうか。

次の隊長は非力で華奢な若い女ときた。

怒りと呆れ、50:50くらいの感情だった。

あくまで一般的な女性の身体、筋肉、身長の姿をセレスティアを見て、まず戦闘要員ではないだろう。

こんな奴に、戦いの主導権を委ねるだなんて冗談じゃない。


とにかく、一瞬で何もかもが気に食わなくなって、とりあえず蹴りでも入れてやろうと思ってたのに。


擦りもしなかった足を見て、再び彼女に目を向ける。

入れ替わり立ち替わり、隊の仲間たちが二人と手合わせをしていく。

今、彼女と組んでいるのは牙隊の中でも体術を得意とする男だ。

体格も攻撃の重さも圧倒的にこちらの方が有利のはずだった。

現に繰り出された蹴りや拳は、彼女に当たっている。

なのに彼女は倒れない。

それどころか何故かダメージを受けている感じがしない。

受け身をとり、次の攻撃に向けてすぐに態勢を立て直す、の繰り返しだ。


「なんか、不気味だな」


少し下の太い枝に、先ほどまでもう一人の副官の男と組んでいた長身の男ーーライコウが上がってきて、ロゼに聞こえるほどの声で呟く。

彼の頭にはロゼ同様、ピエロがベースモチーフの狼の仮面が、外しかけ程度に引っ掛けられていた。


「えぇ。……ねぇ、攻撃が当たってないわけじゃないわよね?」


「…俺は女の方と組んでないからわからねぇけど、少なくとも当たっているようには見える」


「なのに、なんであんなに動けるのよ…」


先ほどから繰り出されている打撃は、訓練を受けた兵士であっても、軽く吹っ飛ばされて気絶するくらいの威力がある。

それを、ちょっと女性が鍛えたくらいの体格で、いやむしろ戦闘職種にしては華奢なくらいの体格で、攻撃を受けている。

そして、次の攻撃に向けて何度も立ち上がっている。

はっきり言って、化け物だ。


げんなりした顔で戦闘の様子を見ていたロゼに、ライコウは苦笑しながら肩をポンと叩き、持ち場に戻りかけたそのとき。

一人の影が森から飛び出してきたのを見て、ロゼはサッと顔色を変えた。


「ちょっ、なんで!?」


その影…人物が付けている仮面は、ピエロがベースモチーフのウサギ。

この場の手合わせには不向きな、加減を知らない男の仮面だ。


「あんのバカ!!」


ロゼの焦った声で異変を感じ、ライコウもその様子を見て、額を手で覆った。


その人物ーーその男は、一直線にセレスティアの方へと駆け込んでいく。

そしてーー


ガッ!!


いまだに自分側の仲間と組み合っている彼女に向かって高く飛び上がり、彼女の首元目掛けて蹴り技を炸裂させた。



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