王子とジョブ
俺が生まれてから5年の月日がたった。
早すぎる?そんなこと言われても困る。赤ん坊時代のことなど話すことはないだろう。
というより、話せるほど周りことを知らない。いつも会うのはメイドばかり。父や母には会ったこともない。
しかし5歳の誕生日を迎える今日、俺はようやく、念願ーーと言うほどでもないが、父親と母親に会うことができた。
父親はこの国の王であり、母親は第二婦人だ。
正直王の座とかには興味もわかないが、どうやら俺の継承権はずいぶん高いらしく、貴族どもがこぞって挨拶に来るため、行き着く暇もなかった。
面倒くさいしもう帰りたい。
そう思っていたのが顔に出ていたのか、少し早めにメインイベントが行われることになった。
5歳の誕生日に行われるメインイベント、それは「ジョブ決め」である。
変な薄汚れた水晶に手をかざすと、自分のつくことが出来る天職が頭の中に浮かんでくるらしい。
ようするに、学校で文系に進むか理系に進むかを決める面談みたいなものだと思う。面倒くさい。
まあこれが終われば部屋に戻れるのだし、さっさと終わらせようと水晶に手をかざすと、目を開けていられないくらいの眩い光が部屋を満たした。
こんなふうになるのかと驚いていたが、後ろの貴族どももざわついているので、どうやら普通ではないらしい。
頭の中に浮かんできたのは、戦士、騎士、剣闘士、狩人などから始まる物理系。魔法使い、魔道士や錬金術師なども含む魔道系。両方の特徴を持つ魔法戦士系。神官。巫女。侍に忍者。
……とまあようするに、たくさんのジョブが流れ込んできた。
最初は真面目に確認したが、量が多すぎて飽きてきたのでどんどん下にスクロールしていく。
すると、魔道要塞などという少年心をくすぐられるような職業……のさらに下。一覧の1番下の文字に、意識が吸い寄せられた。
職業:全部
全部ってなんだよ。
思わずツッコミを入れると、解説が浮かび上がってきた。
解説:全ての職業に、同時につくことができる。
文字通りぜんぶだった。
わけがわからない……けどとりあえずこれでいいや。
部屋で寝よう。




