よくある転生
いつの間にか、俺は真っ白な空間にいた。
どっとが上でどっちが下かとか、さっぱりわからない。
そんなところをフヨフヨとさまよっていると、突然、目の前に絶世の美女が現れた。
「はじめまして。私は女神です」
はぁ、そうですか。
なんて言いながら話を聞いてみると、どうやら俺は死んでしまったらしい。
生前の俺は、日本に暮らす極一般的な大学生だったようだ。享年、21歳である。
そしてよくある話のように、俺の死因あーだこーだで、異世界に転生させてくれるらしい。
「そしてそのセカイでなんでもできるように、私にできる範囲で特典をつけちゃいます!!!」
ここまで至れり尽くせりで用意してくれているのに断るのはもったいない。
俺は申し出を受けて転生することにした。
どうせ能力を限界まで上げるなら、それ以外のこともいろいろと決めたい。
英雄のような力を持っていたって、商人じゃお門違い、奴隷なんかじゃ論外だ。
「生まれの階級ってことですねー? 下は奴隷・自由民・平民などから始まり、上は貴族・王族ですよ〜。ちなみに、平民は生まれる場所を街にすれば労働者、田舎にすれば農民になったりして……」
ひとまず王族で確定だ。
とはいえ国の中枢に入りすぎても厄介だろうし、ある程度の自由もほしい。
側室から生まれた第三王子、くらいが妥当か。
「容姿はどうしますかー?」
もちろん上限いっぱいまで……と言いたいところだが、それはそれで面倒が多そうだ。
王族の平均を少し上回るくらいがいいだろうか。
そして大人になったときの身長、体重などを大まかに決めていく。このあたりは自分の食生活などで変わってくるため、大雑把にしか決められない、らしい。
「ならあとは、お待ちかねの技能ですよー!」
特に待ってはいないのだが。
それに、技能のほうがとるものが決まっている分、すぐ終わる。
全武器・全魔法を完璧に扱え、そのほか料理なんかの日常に関する技能をすべてとればいいだけだ。
「いや、それ“だけ”って、レベルじゃないと思うんですけど……」
何も問題はない。
あとは潜在能力を人外レベルの計測不能に、さらに限界突破で成長の上限をなくして、成長速度超超超アップ。
成長傾向は早熟型にしておけば、10代のうちにでも地上最強は名乗れるだろう。
「うわあ……、10歳の時点で古代竜と同等の能力……」
シュミレーション結果を見ながら女神が引きつった笑みを浮かべていたが無視。
ひとまずこれで設定は終わりだろう。
「ええっと……、これ能力的に武器とかいらずに世界滅ぼせちゃうレベルですので……、力加減とかには気をつけてください……」
大丈夫だ、問題ない。
装備がいらないのならお財布にもやさしいな。……いや、王族だから関係ないのか。
問題ないのならこれで転生させてくれ。
「まあいいですけど……。世界征服くらいだったらまだいいですけど、世界を滅ぼそうとかし始めると神々の干渉が入りますので……」
むしろ世界征服までならいいのか。
「それではお元気で〜」
俺の足元に魔方陣のようなものが浮き出ると、だんだん周りの光景がゆがんで消えた。女神の姿も、やがて見えなくなる。
ゆったりと、水の中を沈んでいく。
そうして俺は、とある王国の王子、リューフォードとして生まれることとなった。




