王子とチート
ジョブ決めがあってから半年が過ぎた。
どうやら職業:全部なんてわけのわからないチートに対し、全国の貴族から説明の要求が来ていたらしい。
もちろん俺がそんなことに手を貸すはずもなく。いまだに保留中だ。
「もう貴族たちを抑えることもできませんぞ! 早急に説明をいたしませぬと……」
「そうは言ってもな……」
なんて会話がいつものように繰り広げられている。
先に話したほうが大臣A。名前は知らん。
そして後に話したのが王様のアレキサンダー。つまり俺の父親。
先日大臣たちが列挙して俺に
「リューフォード様、どうかご協力願えませぬか……」
と言ってきたときも、突然の5歳児モードを発動し
「お母様……怖い……」
と泣きついて難を逃れた。
ちなみに第二夫人(側室の一位?)である我が母、アイーシャは、元騎士団団長であり、人類最強クラスの猛者らしい。
怒りに顔をゆがませた母を見て、大臣たちは震えながら帰っていった。
かわいそうに。
そんな感じで俺が協力をまったくしないために、貴族たちへの説明ができない、という理由もあるが、問題はそれだけではない。
そもそも、職業:全部なんてジョブがあるなどと記されていないからだ。
この世界が神によって作られたとき(つまりあのノリノリな姉ちゃんが粘土遊びしてたとき)、人は神から、一人ひとりに”為すべきこと”――ジョブを与えた。
それは聖典に記されており、現時点で千以上確認されている、がそれは今は関係ない。
そう、問題はジョブは一人にひとつずつ渡されるものだと言うことだ。
一人ひとつ。だ。
Q,俺の職業は?
A,全部です♪
Q,それって”一人ひとつ”じゃなくね?
A,いいえ”全部”という”一つ”の職業です♪
以上、神様のQ&Aコーナーより抜粋。
意味がわからん。
そんなこんなで、そもそも俺自体もこのジョブ……? についてよくわかっていないのだ。
嗚呼、めんどくさい。




