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7話 ノアの父、エルメス



俺達は受付嬢に連れられ奥の部屋に行き、応接間らしき所へ案内された。



そこは書斎のような所で奥にはテーブルがあり、30代前半位の男性が椅子に腰掛けていた。



見た目から判断すれば確かにそうかもしれないが特徴ある耳の形や美しい出で立ちからエルフだろうと推測できる。



またその若い風貌とはうらはらに男は落ち着きを払っていて、深い教養のある人物なのだと分かった。




男は暫く俺を見ていると手紙に目を向けながらにっこりと笑いながら俺に話しかけた。




「君が、ルイ・ヴェルヘン君だね」



男はそう言うとテーブルの向かい側にあるソファを指差し、俺達に座るようにと指示を送った。



「ああ……そうだが…あんたは?」



正直知らない奴に名前を呼ばれるのは好きではない。



俺は警戒しながら椅子に座った。



「そんなに警戒しないでくれないかい?」



男は申しわけなさそうに苦笑いをした。



「私の名はエルメス・オルサム・ビエト。ノアの父であり、ここのギルド長だよ」



驚いた。



こんな若い奴がギルド長ってのも驚いたし、ノアの父親ってのにも驚いた。



でも確かによく見ればエルメスと名乗ったこのエルフの透き通るような銀色の髪は、ノアの髪と瓜二つだ。




「その…手紙には何て書いてあったんダ…グハッ…デスカ?」



喋っている横から小声で「敬語!」フィオネが横腹に突きをいれてきたので、仕方なくケイゴとやらをつかう。



エルフはくすりと笑うと手紙をこちらによこしてきた。



エルメスから渡された手紙を見てみると、全く読めない字がつらつらと書いてある。



小さい頃魔法を覚えようとしてノアの書斎にこっそり入って見た本もこんな感じだった。



ノアから後から聞いてみると、それはエルフ族の文字だって行って「勝手に入るな馬鹿やろう!」とげんこつを食らったんだっけ。




「驚いたよ。実は彼女は何年前もの間行方をくらましていたからね……まさか村の長をやっていたとは。」



エルメスは嬉しそうな安心したかのような顔をした。



「この手紙には、君の事と、ほんの僅かにだが近況報告みたいなものが書いてあるんだ。」



エルメスが俺に向き直る。



「俺の事?」


「ああ。恐らく君がギルドに来て困らないようにとこの手紙を書いたんだろうな」



エルメスによると、手紙には俺の簡単なプロフィール、ノアが昔使っていた部屋を使わせてやって欲しい事、馬鹿をそっちに渡すことを許して欲しい、と書いてあるらしい。最後のは余計だけどな。



「ノアの部屋はここのギルドの隣の宿屋にある。元は彼女が経営していた宿屋だったんだがね…」


エルメスをそういうと、テーブルに戻り、白い紙を取り出すと、サラサラとそこに文字を書く。



「これを宿屋に渡すといい。それから…ギルドでは沢山の依頼があるからね。少しずつこなしていくんだよ」



エルメスはそう言うと俺にその手紙を渡した。



「その…ありがとーございます…」



色々して貰ったお礼に頭を下げる。



「いやいや。ノアに感謝をするといい。それと…フィオネくん」



エルメスは俺の隣でキョドっていたフィオネに話しかけた。



「は…はい!?」



突然話しかけられたフィオネは声が上擦った声で返事をした。



「受付嬢の彼女から話は聞いたよ。山賊に襲われたんだってね?災難だったね」



エルメスはそういうとまた紙を取り出すとサラサラと文字を起こす。



「ギルド再加入手続きをすると君のランクはまた1からスタートになってしまうがいいね?」



「は…はい!またギルドで活動させて頂けるのであれば…」



フィオネは懇願するように頭をさげる。



「しかし今の君は手ぶらだ。君に支給品として元々持っていた武器と防具をいってくれれば支給しようと思う」



フィオネは何をいったのか分からないと言ったような顔をした。



「いや…そんな恐縮です」



「その代わりと言ってはなんだが…」



俺は身構える。



こいつの次の要求によっては殴る事になるかもしれない。



エルメスは申しわけなさそうな顔をして口を開いた。



「ルイ君のの面倒を暫く見てやってはくれないか?ノアの手紙には彼には教育係りが必要らしくてね」



フィオネは呆気に取られた後、困った様な顔をした。



「私のような獣人の女が教育係など…つとまるはずがありません」



フィオネは伏し目がちにそう言った。



「…どうだいルイ君。彼女はこういっているが…」


エルメスは俺に目を向ける。



「あ、ああ…その、俺は全然ここの事なんか知らないし、田舎者だから…その…教えてくれる奴がいてくれたらすごく助かる…と思う。」



フィオネは顔を上げると、俺に訪ねる。



「私なんかでいいのか?獣人なんだぞ?」



またこの言葉か。



確かに今まで辛かったんだろう。だけどそんなの知るか。



「んな事言われても…フィオネはフィオネだろ?俺、知らない奴よりもフィオネと居た方がずっといいや」



そう言ったらフィオネは顔を真っ赤にして俯いて黙り込んでしまった。



「決まりだね。ではフィオネ君は暫くの間ルイ君の教育係としてつくといい」



エルメスはそういうと俺に手を差し出した。



「これからよろしくな。少年よ」




俺はその手をにぎり固い握手を交わした。

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