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8話 ベッド



エルメスとの会話を終えて、俺達はギルドの外へて出た。外はもうすっかり暗くなっており、ひどかった喧騒も少し落ち着いていた。




さっきのエルメスの話によればギルドの隣にある宿屋に行けばいいらしい。



俺達は少し長い旅の疲れをとるためにすぐ隣にある宿屋に入る。



宿屋に入り、すこし小太りの女にエルメスとノアの手紙を渡すとすぐに部屋に案内された。




だが一つ、問題があった。




「――だからお前が使えばいいだろう!?」



「いいからお前が使え!!お前は女なのになぜソファで寝ようとするんだ!!そういうのは男だろう普通」



…事の顛末を遡っていえば、簡単に説明すると、宿屋がいっぱいいっぱいでノア専用の部屋しか空いておらずフィオネの部屋が取れなかった。



フィオネは違う宿を探すといい、出て行こうとしたが、もう外は暗く危険なので俺が半ば強引にノアの部屋につれてきたのだ。




ノアの部屋は宿屋の2階にあり、とても広かった。



使っていない剣や書物、(これまた驚いたが)なんとも可愛らしいぬいぐるみや、化粧品の類や香水やら女物の服がたくさんあった。




いやそれはいい。それは。




ただベッドが一つしかなかったのだ。




それでお互いにベッドを譲りあおうと必死に言い合っていたという訳だ。



「私はお前に沢山の借りがある!!ここでまたベッドを使おうものならさすがに私の面子がたたないだろう!?」



「妙な所で変なプライドを持つな!!お前は騎士か何かか?大体俺に借りを返そうとしているならなおさらベッドを使え。」


「ぐぐぐ…」


フィオネはまだ何かいいたげだったが、渋々頷いた、その時だった。



ぐー。



フィオネの腹から腹の虫が鳴いた音がしたのだ。



フィオネは恥ずかしそうに顔を赤らめると、



「しょ…食堂に行こう。」



と部屋からさっさと出て行ってしまった。



そういえば城下町に来てから何も口にしていかったな。



俺達は下へ降りると食堂へ向かった。



夜だという事で少しは落ち着いた雰囲気だと思ったが、ギルドの時と同じくやはり騒々しい様子だった。



俺達はテーブルにつくと、食べ物を食べながら自分たちの身の上話をお互いに語った。



俺はゴアス村から来たこと、18回目の春を迎えた事、ノアやマリナの事などを話した。



俺が話している間フィオネはずっと耳を傾けてくれていた。



俺の身の上話が終わるとフィオネもぽつぽつと自分の事を話始めた。





フィオネはストラギウスとは違うあるガロアという城下町の出身でそこで、騎士の父と獣人族の母の間に生まれたという。



そこでは獣人族と人間が共存の差別は少なく、偏見もあまりなかったため、家族と幸せに過ごしていた。



フィオネの堅苦しい口調は厳格な父親の元で生まれ育った影響からだ。



今はガロアから出て世界を見るために、ギルドで活動している。



「ここについた時は本当に驚いた。特に獣人の扱いが酷く奴隷商の奴らが私達獣人を売りさばいているのを見て、そいつをて切り刻んでやろうと思った事もある。」



フィオネの父はガロアでも有名な騎士だったらしく、名前を出せばギルドには簡単に入れたという。



またそのおかげで特に酷い差別は受けなかったが、自分を見る人々の目の冷たさは暫くは慣れる事ができなかったという。


「私は人間が嫌いだ…でも」



顔を俯けながら話していたフィオネだったが、ふと顔を上げる。



「お前のような馬鹿と会って少し考えが変わったよ」



そしてニッコリ笑った。



食事が終わると一旦部屋にもどりそれぞれ風呂に入った。



男女で分かれている宿屋の風呂場は広く、疲れを癒やすのには最適だった。




部屋に戻るとまだフィオネは戻っては来ていなかった。



髪を乾かすために窓をあけて風邪を浴びる。




さっき食事を終えてあった事を思い出す。



会計をすませる為にカウンターらしきテーブルにいったが、ノアの身内という事でお金を払わなくていいらしかった。



なんでもノアは宿屋でも信頼が厚かったらしく、店員に深く慕われていて、ノアの身内にお金を払わせるのはとてもできないとの事だった。




確かにノアは村でもみんなから慕われていたな…


おおざっぱなで女らしくない豪快な性格だったがそれ故に皆から愛されていた。



まだ一週もたっていないが思い出してしみじみとしてしまう。




それにマリナの事も気になる。




後からここにくるらしいが、一人で大丈夫なのだろうか?




何でもないような所でこけたり、二人でこっそり村をでて山に行ったとき方向音痴のマリナが先導していて、道に迷い辺りが暗くなるまでさまよって…




あれ?なんかだんだん心配になってきたな…




フィオネが戻ってきたのか、ドアが開いた音がした。




後ろを振り返ると、まだ風呂から上がったばかりでほんのりと赤い顔をしたフィオネが部屋に薄着で入ってきた。




なんとも妖艶な姿で、さっきまで結んでいた髪は下げて、まだ湿っている。




服は肌着で布のシャツを上から着ているだけで、胸に布あてをまいていないのか、ふくよかな胸が歩く度にたゆんたゆん揺れている。




したも短い布のパンツをはいているだけであり、しなやかで綺麗な足が露出していた。




あんまりにも美しかったので見とれていたら、フィオネが不思議そうにこちらを見てきたので、慌てて目を逸らす。




「どうしたんだ?ヴェル」



さっき聞いたがフィオネは年は20らしい。




マリナも美しかったが18の女にはない大人の魅力って奴なのか?



フィオネは窓際に寄りかかっていた俺のそばにくると静かに夜空を見上げる。ほのかに香る甘い匂いが俺の鼻をくすぐった。



「本当にありがとう。ヴェル。感謝しても、しきれない」




俺もフィオネと同じように夜空を見上げた。




空には沢山の星がある。



村でもこの光景を見た事は何度もあるけれど、この星星を見るのは何故か初めてのように感じた。




「こっちこそ。フィオネがいなきゃ、ここまで来れなかったかもしれないしな。」


俺はそう言うと髪は乾いたのでソファに行き寝る準備をした。




フィオネも窓を閉めるとベッドに向かう。




「なあ…ヴェル」




ベッドに座ったフィオネが俺に話しかける。




「せめてこのやわらかい毛布はお前が使ってくれ。獣人族は体温が人間より高いから毛布がなくても寝れるからな」




そう言ってフィオネはベッドに一つしかない毛布を俺に渡してきた。




俺も布団なんかなくったて、と言おうとしたがまた口喧嘩が始まりそうなので素直に受け取る。




そそくさとフィオネはベッドに戻ると、「電気、消すぞ」と言って部屋の明かりを消してしまった。




俺はあまり寝付けなく、暇だったので眠くなるまでフィオネを観察していることにした。





2時位たった位か。




夜もすっかり更けて、あたりが冷え込み初めていた。




まだ眠くなれない俺はフィオネを観察し続ける。




「…ん…」




よく見るとフィオネが細かく震えていた。



両手で肩をさすっている所を見ると寒がっているのが分かる。




「……まったく」




俺は寝そべっていたソファからそっと立ち上がり毛布を持ってフィオネのベッドに行く。



その時ベッドの横に立てかけて置いたはずの木刀が倒れていたのに気付かず、足を引っ掛けてフィオネを正面から抱き締めるような形で倒れてしまった。




「……ヴェル?」




寒くて起きていたのか、フィオネが目を開けた。



「い、いやお前が寒そうにしていたから人肌で暖めてやろうと思ってな…アハハ…」



苦し紛れの冗談をとっさにいうがフィオネはこちらを見ているだけで返事をする様子はない。怒ってしまったのだろうか。




「……そうか…」



と一言いうとフィオネが俺の背中に手を回す。




(おぉう!?)




フィオネはそのまま俺の胸に顔をうずめる。




フィオネはとても暖かく、甘い匂いと、フィオネの吐息が首に当たるのが妙に心地いい。




ていうか胸!胸あたってるぞフィオネ!




思いっきり俺の事を抱きしめているので胸があたって結構ヤバい。




「……普段こういうコトを他の奴にもやったりするのか?」




胸に顔をうずめたままフィオネが聞いてくる。




「い、いや……小さい頃にマリナに添い寝してやった事なら何度かあるけど」




まだ小さい頃怖がりなマリナが昼寝している横で怖い話をしてさんざんからかった後、一人で寝れなくなったあいつの隣であやして一緒に寝た事が何度かあった。



年が上がるにつれてそういうことはなくっていったが。



「……こういう時に…他の女の話を…するな」




フィオネはそういうと俺を抱きしめていた手を一層強めてきた。




「フィ…フィオネ?」




「…………スー…スー…」




気付くと可愛らしい寝息をたて、フィオネは眠ってしまっていた。





何故か少し残念な気がしたが、安心したように眠るフィオネを撫でていると、気付いたら俺も眠ってしまっていた。




危うく官能小説を書くところでした(笑)

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