6話 城下町とギルドと偏見と
城下町に入ると、メリアは俺をさんざんにからかった後、どこかへふらりをと消えてしまった。
探してもしょうがないので、ギルドへ行くために商店街を通る。
「すごいな…」
市場には父について行った事はあったが、ここまでとは。
とにかく人が多い。特に商店街らしい所には人がわんさかいて、騒々しい。
「どうした?キョトンとして」
心配そうにフィオネが俺の顔を覗きこむ。
「ああ…いや…田舎者の俺にとっちゃあ、すごく新鮮な光景だと思ってな」
市場では確かに人は多くはいるにはいるがこんなに人が密集している所を見るのは初めてだ。
「フッ…獣人の私でさえこんな所は慣れっこだというのに…」
苦笑してフィオネが笑う。
「それにしても、王女様がいなければかなりまずい状況だったな……」
フィオネは悲しそうに俯く。
「ああいうのはやっぱ普通にあるもんなのか?」
あの門番の態度。ついさっきの事だが思い出すだけで反吐がでる。
考えてみれば門番だけじゃない。山で会った盗賊だってそうだ。
「フィオネをなんだと思ってるんだ。同じ地で生まれた者同士で仲良くできないのか?」
「…そういうものなんだよ……ほら」
ふとフィオネが歩みをとめ、商店街の一角に指を指す。
「………ひどいもんだね」
そこには獣人と思われるまだ年端もいかない少女が鎖で繋がれ檻の中に入れられていた。
目は虚ろでどこを見ているのか分からない。
足元には値札もあった。
「今この世間一般では獣人はほぼモノとしか見ていられていないんだ…人間からみたら、私達獣人は俗物なのだろう」
悲しそうに少女を見つめた後、顔を俯けフィオネはそういった。
「お前があの時門番に向かっていったのは正直嬉し……いや、愚かな事だからな?もうやるんじゃないぞ?」
フィオネは念をおすように見つめた。
「少ししんみりしてしまったな…先を急ごう!」
フィオネは笑顔で顔を上げるとさっさと先へいってしまった。
「フィオネ…」
無理して笑顔を作っていたのは俺でも分かった。
「おーい!早く行くぞ!はぐれたら危ないぞ~!」
少しさきに行ったフィオネが両手をブンブンさせながら大きな声で俺をよんだ。
まったく、可愛げがあるんだかないんだかよく分からん奴だ。
今行く!と返事をして檻の中の少女を振り返る。
(少し、待ってろよ…)
俺は胸の中でそう呟き、フィオネの元へ向かった。
商店街を抜けて、人気のない裏通りに曲がり先に進む。
「…よし、着いたぞ」
フィオネが足を止めたのは、なかなかに大きい建物の前だった。
「ここが…ギルド…」
思った以上に人がたくさんいる。
「何をぼさっとしてるんだヴェル。入るぞ」
フィオネはさっさと中に入ってしまう。
追いかけるようになかに入ると、これまた珍しい光景が広がっていた。
いや珍しいというよりもむさ苦しいという言葉の方が似合っているか。
中はおもったよりも広くて、喧騒が酷かった。
まるで酒場のようで沢山の屈強な男や女が木製のテーブルを囲んでお酒やら食べ物やらを美味しそうに飲み食いしている。
「ここは……酒場かなんかと間違えてんじゃないのか?」
俺は少し焦ってフィオネを見る。
「確かにここは酒場だけど間違ってはいないな。いつもこんな感じさ。」
フィオネはまったく動じず喧騒の中を突っ切っていく。
喧騒から少し遠ざかり進んで行くと、これまた広いスペースにでた。
長い木製のテーブルが並び、その前に人が座っている。
「あれが受付だ。あそこに言ってギルドに加入申請をとるんだ」
フィオネはそういうとぼけっとしている俺の手をとって受付の方に引っ張った。
フィオネは受付嬢に声をかけた。
「こいつがギルド加入申請をしたいそうだ。」
受付嬢が静かに頷くと、俺にたくさんの質問をしてきた。
名前だとか出身地だとか職業はなんだとかうんたらかんたら。
長く退屈な質問が終わり次は説明が入る。
「ここで簡単なギルドの説明を致します。
まずギルドの仕事は、基本的には街の人々の依頼をこなすことがギルドメンバーの仕事となります。
依頼人がギルドを通し依頼をだし、それをあなたがこなすと依頼人から報酬をもらえる、というのが基本的な仕組みです。
ただし、報酬は取り分の3割はこちらにおさめさせていただきますのであしからず。
そしてギルドにはランクというものがあります。
簡単にいえば高いランクになればなるほど危険な魔獣の討伐など危険性の高い依頼をこなす事となります。
しかしその分報酬もケタ違いに上がります。
ただし新規に加入する場合には、1から5まであるランクで一番下の1からの依頼をこなす所から始まりますので頑張ってランクを上げていってくださいね。」
あまりにも長い説明に半分寝かけていた俺をフィオネに叩かれ目を覚ます。
「最後になにか質問はありませんか?」
受付嬢は一息つくと俺にそう聞いた。
「ああ…いや……ん?」
そういや村をでる時にノアに変な手紙をもらったっけ。
「これ…ノアってやつからここに来たら出せって」
俺はその手紙を受付嬢に渡した。
受付嬢は少しの間手紙を呼んでいたが、驚いたように目を見開くと、「少しお待ちを」と受付から離れ、奥の部屋へと引っ込んでいってしまった。
俺とフィオネは不思議そうな顔をしてそれを見ていた。
「一体何が書いてあったんだ?」
「さあ…」
そんなやり取りを交わしているとさっきの受付嬢が戻ってきた。
「お待たせしました。少しお時間を頂いても宜しいでしょうか?」
受付嬢はそう言うと、奥の方の部屋に俺達を案内した。




